近年、スタートアップ企業においての資金調達は「大型化」の一途をたどっています。2018年上半期に続き、下半期も巨額の資金調達を完了したスタートアップ企業が目立ちました。中でも注目を集める拡大市場であるwebサービスに限定し、資金調達額が4億円以上の国内スタートアップ企業20選を金額順にご紹介します。
Contents
資金調達額30億円以上のwebサービス
2018年下半期で最も大型だった資金調達を完了したwebサービスは3つです。
65億円:「freee」
https://www.freee.co.jp/
freee株式会社は2012年設立のスタートアップ企業ですが、今期ですでに65億円の資金調達を第三者割当増資にて実施しました。中堅企業向けクラウド会計ソフト「freee」は、予算・実績管理機能を実装した、経理の見える化の推進に一役買うサービスです。利用事業者数も100万の大台を突破しており、多角的なパートナーを築いています。
主な資金引受先
- LINE
- 三菱UFJ 銀行
- ライフカードなど
https://www.wealthnavi.com/
ロボアドバイザー「WealthNavi」は、2015年に設立されたばかりのウェルスナビ株式会社がリリースしている、資産運用全自動サービスです。全自動でありながら、その質は世界レベルであり信頼を集めています。第三者割当増資により40億円を調達しました。
主な資金引受先
- グローバル・ブレイン
- SBIグループ
- 未来創生ファンド
- Sony Innovation Fund
- SMBCベンチャーキャピタル
- みずほキャピタル
- 三菱UFJキャピタル
- 千葉功太郎氏
30億円:「トレタ」
https://toreta.in/jp/
株式会社トレタがリリースしている、顧客台帳サービス「トレタ」は、NTTドコモと資本業務提携を結ぶことが決定しました。第三者割当増資と一部株主譲受で30億円を調達すると同時に堅牢なパートナーができたと言えるでしょう。「トレタ」は、業務提携によりドコモのポイントサービス「dポイント」や、ドコモのスマホ決済サービス「d払い」の利用を促進していく模様です。
主な資金引受先
- NTTドコモ
資金調達額10億円以上のwebサービス
10億円規模の大型資金調達にもかかわらず、ローンチしたてのwebサービスが目立ちました。
19.5億円:「One Tap BUY」
https://www.onetapbuy.co.jp/
スマホ証券取引アプリ「One Tap BUY」を提供している株式会社One Tap BUYは、2013年に設立し、今期で第三者割当増資により19.5億を調達しました。「One Tap BUY」は、米国株、日本株を合わせて約30銘柄扱う他、スマホで1000円から手軽に取引できることが最大の魅力です。
主な資金引受先
- 東海東京フィナンシャル・ホールディングス
- ソフトバンク
- みずほ証券
12.8億円:「pring」
https://www.pring.jp/
お金をコミュニケーションするように気軽に送り合うことがコンセプトの、スマホ送金アプリ「pring」は、メタップス傘下の株式会社pringが提供しています。シリーズAのラウンドで12.8億の調達に成功しました。IPOを視野に今後も業務拡大していく見込みです。
主な資金引受先
- 日本瓦斯
- SBIインベストメント
- UFI FUTECH
- 伊藤忠商事
- SMBCベンチャーキャピタルなど
10億円:「CREW」
https://crewcrew.jp/
株式会社Azitがリリースしているスマホ送迎アプリ「CREW」は、一般の方をドライバーとして登録し、近くで送迎を必要としている誰かを乗せる、という画期的なアプリです。任意の謝礼で済むので、良心を可視化したサービスとも呼べるでしょう。配車から支払いまですべてスマホで完結できます。当社は、9月4日に直近のラウンドで10億円の資金調達を完了しました。
主な資金引受先
- Eight Roads Ventures Japan
- グローバル・ブレイン モバイル・インターネットキャピタル
- クルーズの各社
- 個人投資家
10億円:「LIPS」
https://lipscosme.com/
150万ダウンロードを突破したコスメアプリ「LIPS」は、2016年にローンチしたばかりの株式会社AppBrewがリリースしています。ユーザーがコスメの使用感を伝える投稿ができ、すでに口コミは50万件を超えるなど、リアルな口コミが集まるコミュニティプラットフォームです。当社は第三者割当増資で10億円もの調達資金を獲得しました。
主な資金引受先
- グリー
- 個人投資家
10億円:「favy」
http://www.favy.jp/
グルメメディア「favy」を運営する株式会社favyは、マイナビと資本提携を結び、第三者割当増資によって資金を10億円調達しました。今やぐるなびや食べログに追従する存在として注目を集める「favy」で全国に基盤を持つマイナビとタッグを組み、飲食店向けの採用事業やマーケティングサービス販売での連携協力を開始するとしています。
主な資金引受先
- マイナビ
資金調達額4億円以上のwebサービス
資金調達額4億円以上10億円未満の、今後の動向が気になるwebサービス12選です。
7億円:「メトロエンジン」
https://metroengines.jp/
ディープラーニングを活用した宿泊業界のプランニングを助ける「メトロエンジン」は、2016年に設立したばかりのメトロエンジン株式会社が提供しているサービスです。顧客のビッグデータを集積・分析することで適切な客室単価を算定できます。今期のラウンドで7億円もの資金調達を実施しました。
主な資金引受先
- SBI インベストメント
- NEC キャピタルソリューション
- エボラブルアジア
- JR 東日本スタートアップ
- タップ
- ベクトル
- ベンチャラポーインベストメント
- 菅下清廣氏
7億円:「THEO」
https://theo.blue/
株式会社お金のデザインがリリースしているロボアドバイザーサービス「THEO」は、AIによる個人資産運用を提案します。ユーザー個人の多角的な情報から最適なポートフォリオを導いてくれ、現在は20~30代に人気があります。当社は第三者割当増資によって7億円の資金調達を完了しました。
主な資金引受先
- 損害保険ジャパン日本興亜
- 凸版印刷
6.5億円:「Pathee」
https://pathee.com/
株式会社Patheeが手がける、マップアプリ「Pathee」は目的に合わせた徒歩5分圏内のローカル情報を検索できるサービスです。当社は、第三者割当増資によって6.5億円もの資金を調達しました。
主な資金引受先
- 三井物産
- Eight Roads Ventures Japan
- 地域創生ファンド
- 第一勧業信用組合
- シークウェル
- SMBC ベンチャーキャピタル
5.3億円:「Readyfor」
https://readyfor.jp/
クラウドファンディングサイト「Readyfor」を運営する、READYFOR株式会社は初のエクイティファイナンスによって5.3億円の資金調達を実施しました。
主な資金引受先
- グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)
- Mistletoe
- 石川康晴氏(ストライプインターナショナル代表取締役社長兼 CEO)
- 小泉文明氏(メルカリ取締役社長兼 COO)
5.2億円:「Holmes」
https://www.holmes-cloud.com/
契約書に関するワークプロセスを一元化するクラウドサービス「Holmes」は、株式会社Holmesがリリースしています。当社は、シリーズAラウンドで5.2億円を資金調達しました。
主な資金引受先
- BEENEXT2
- SMBC ベンチャーキャピタル
- 500 Startup s Japan
- 青柳直樹氏(メルペイ 代表取締役)
- 永見世央氏(ラクスル CFO)
- Paul Kuo 氏(元クレディスイス証券 CEO)
5億円:「ideagram」
https://i-deagram.com/
特許取得済みの技術でクリエイティブ能力を数値化するサービス「ideagram」は、VISITS Technologies株式会社が提供しています。当社は、第三者割当増資によって5億円を資金として調達完了しました。
主な資金引受先
- CAC CAPITAL
- 未来創生ファンド
- FFGベンチャービジネスパートナーズ
- みずほキャピタル
- 個人投資家
4.5億円:「CPA」
https://welmo.co.jp/
株式会社ウェルモが提供する、介護におけるケアプラン作成支援AIエンジン「CPA」は、初回のケアプランをAIが提案してくれるため、介護業務における負荷を軽くします。当社は、第三者割当増資によって資金を4.5億円調達しました。
主な資金引受先
- フェムトパートナーズ
- アイ・マーキュリーキャピタル
- SXキャピタル
4.3億円:「Baseconnect LIST」
https://sales.baseconnect.in/
企業情報データベース「Baseconnect LIST」は、株式会社Baseconnectがリリースしているサービスです。当社は、第三者割当による増資があり、4.3億円の資金を調達しています。
主な資金引受先
- ジェネシア・ベンチャーズ
- YJキャピタル
- キャナルベンチャーズ
- 京銀リース・キャピタル
- 池田泉州キャピタル
- ユーザベース
- みずほキャピタル
- イーストベンチャーズ
4億円:「farmnote」
https://farmnote.jp/
株式会社ファームノートは、クラウドを使った牛群管理システム「Farmnote」をリリースしており、日本全国のみならず海外展開も視野に入れています。当社は、シードラウンドに続くラウンドで4億円調達しました。
主な資金引受先
- リアルテックファンド(1号ファンド、2号ファンド双方)
- 北海道成長企業応援ファンド
- 北洋SDGs推進ファンド
- FFGベンチャービジネスパートナーズ
- みやぎん地方創生2号ファンド
- かごしまバリューアップファンド
- DGインキュベーション
- D2 Garage
- リバネス
- 小泉文明氏(メルカリ取締役社長兼COO)
- 長沼真太郎氏(BAKE創業者)
- 千葉功太郎氏
4億円:「note」
https://note.mu/
コンテンツ配信サービスとしてすでに抜群の知名度を誇る「note」は、株式会社ピースオブケイクによって運営されています。当社は、日本経済新聞社との連携を図りつつ、新たなコンテンツを仕掛ける模様です。今期の第三者割当増資によって資金を4億円調達しました。
主な資金引受先
- 日本経済新聞社
- 日本ベンチャーキャピタル
- 新潟ベンチャーキャピタル
4億円:「Ancar」
http://ancar.co.jp/
中古車個人間売買マーケットプレイス「Ancar」は、株式会社Ancarが運営しています。合わせて、整備工場会社のマッチングも手掛けており、中古車市場に革命をもたらすことを目標としています。当社は、第三者割当増資によって資金を4億円調達しました。
主な資金引受先
- ベクトル
- AGキャピタル
- クロスベンチャーズ
- 個人投資家
4億円:「BizteX cobit」
https://service.biztex.co.jp/
BizteX株式会社は、クラウドRPAサービス「BizteX cobit」を提供しています。当社は第三者割当による増資があり、4億円もの資金を調達しました。
主な資金引受先
- WiL
- ジェネシアベンチャーズ
まとめ
大型化が進むスタートアップ企業の資金調達ですが、いずれも「BtoB」「IoT」「新規性」が共通項として多く見られました。特に、手軽さが際立つ、スマホだけで完結するサービスやアプリの躍進が目覚ましいです。新しい提案であることは必須ですが、社会の共感を得るアイデアであることも鍵でしょう。つまり、既存の企業との親和性が高く、未来が感じられることが重要です。この点は今後もスタートアップのトレンドになると見られます。