急激に注目を集めているマーケティングオートメーションとは

マーケティングに従事するものであれば、誰もが一度は耳にしているマーケティングオートメーション(MA)。
近年、日本でも認知が広まり、その市場規模は拡大しています。
マーケティングオートメーションと一口にいっても、各社の機能は様々です。
個の時代といわれ、消費が多様化する昨今、このツールはどのように役に立つのでしょうか。

マーケティングオートメーション(MA)とは?

マーケティングオートメーションとは、一言でいうと、一人ひとりの見込み客の購買意欲、購買行動の変化を客観的なスコアで可視化・管理し、適切なタイミングで、最適なコンテンツを自動的に訴求し、売上や利益を最大化するためのツールです。
具体的には、次のような特徴があります。

  • チャネル横断的にマーケティングを効率的に行う
  • 一人ひとりの個客へと、一貫したメッセージを送れる
  • 顧客との関係性を醸成し、長期的な関係性を築ける(顧客生涯(Life・Time・Value)の向上)

マーケティングオートメーションが広がった背景

マーケティングオートメーションは、2006年、米Unica社(現:IBM)からはじまり、Marketo社やPardot社など米国で発展し、その後日本へと広がりを見せています。
近年、大手外資(例えば、Adobe、Oracle、Microsoft)が次々とマーケティングオートメーションの企業買収を行うなど、その成長性の高さを伺い知ることができます。

欧米では既に一般的なツールですが、日本では、2013年頃より徐々に広がりを見せており、日本ではまだ導入している企業はそれほど多くないのが現状ですが、急拡大しています。(矢野経済研究所の売上高ベースでは、2015年は前年比で約30%伸長)
また、広がりを見せている要因の一つは、自社で大掛かりなシステム構築をせずにすむ、SaaSでの提供であるということです。

それでは、なぜマーケティングオートメーションが今、有効なのでしょうか。
これまでの店舗や雑誌・DMや交通広告、TVといったリアル中心の媒体から、デジタル化の進展・スマホの登場により、いつどこでもデジタルの媒体(ECサイトやSNS、比較サイトなど)に容易にアクセスできるようになりました。
これまでは、どの媒体がどれだけ実際に効いているのか、その効果を厳密に測定することが困難でもありましたが、デジタル化により、どの程度顧客がアクセスし、Web上でどのような行動をとった、また口コミなどで、その評判までもがわかるようになりました。
デジタル化、スマホ化により、顧客の購買プロセスに変化が起こったのです。
顧客は、オンラインとオフラインを行き来し、その反応は早く、スピードもぐんと増しています。
マーケターは、このような変化に対応すると同時に、数値として、その施策の効果を示すことが求められているのです。

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マーケティングオートメーションの種類

マーケティングオートメーションと一言でいっても、その種類は様々です。
一括りにされることも多いですが、大別すると、狭義のマーケティングオートメーションとCCCM(クロスチャネルキャンペーンマネジメント)に分類され、また、CCCMは、メール配信由来とキャンペーン・マネジメントツール由来にわかれます。
マーケティングオートメーション各社、ツールそれぞれに特徴がありますので、自社に適したものを選択することも重要です。

その特徴を簡単にご紹介します。

1. 狭義のマーケティングオートメーション

例)Marketo、Eloqua、Hotspot、Pardotなど
目的:見込み客の管理・育成(ナーチャリング)
対象:見込み客
ユーザー:BtoBが主

2. CCCM(クロスチャネルキャンペーンマネジメント)

例)ExactTarget Marketing Cloud、Probance Hyper Marketingなど
目的:クロスチャネルでのOne to oneマーケティング
対象:BtoC
ユーザー:既存顧客

マーケティングオートメーションの概観

マーケティングオートメーションとは、リード(見込み客)を獲得し、その獲得したリードを育成し、商品やサービスへの関心・購買意欲の高い見込み客を、その行動から選別し、アプローチしていくためのツールです。

マーケティングオートメーションの前提となる基本概念から理解していきましょう。

マーケティングファネル

これは、見込み客をその状態に応じステージ分けをして、管理する考え方です。
(出所:「マーケティングオートメーション」イーマーケティングワン)

下記の図を参照し、その流れをまずは押さえましょう。

ma01

各用語の意味するところは下記の通りです。

リードジェネレーション

見込み客を獲得することです。
例として、SEOやSEM、広告やSNS、イベント、アプリ、モニター登録などです。

リードナーチャリング

獲得した見込み客を育てることです。
例として、メルマガやアプリのプッシュ通知、DMの送付などにより、顧客との関係性を深めていくことを指します。

リードクオリフィケーション

見込み客の商品やサービスへの興味関心度合を測ることです。
興味の度合が低いのか、実際に購買検討をしている段階なのかなど、見極めます。

マーケティングオートメーション活用へ最初の一歩

マーケティングオートメーションという名前から、「自動的にマーケティングをやってくれちゃうツールで、超楽なんでしょ?」などと誤解をする人もいるかも知れません。
いいえ、マーケティングオートメーションを活用するうえでは、しっかりとした準備が必要です。
まずは、自社でのマーケティング施策を洗い出し・棚卸をすることから始めます。
戦略を定め、現状の課題の認識をし、組織内で共有しておくことは重要なことです。
また、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションにおいても、マーケティングオートメーションを機能させる(自動化)ために、下記のような準備をしておきましょう。

ペルソナの設計

ターゲットはどのような人物なのか顧客像を明らかにする

カスタマージャーニーの設計

顧客体験をシナリオ化し、カスタマージャーニーMAPを作成する
※参考: https://anywher.net/2016/06/customer-journey-map/

コミュニケーションのためのシナリオ作成

見込み客に対し、具体的にどのような施策を実行するのかシナリオを作成する

マーケティングオートメーションは、うまく活用できれば非常に有効なツールとなります。
導入に際しては準備が必要ですが、欧米では一般化されたツールでもあります。
運用ノウハウがない初期段階においては、マーケティングオートメーションベンダーや、専門コンサル、外部にアウトソーシングするなどをすることも視野におきつつ、検討してみてはいかがでしょうか。

参考
マーケティングオートメーション各社HP
「マーケティングの教科書」日経BPムック
「マーケティングオートメーション入門」電通イーマーケティングワン
「CCCM入門」岡本 泰治、橋野 学

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