Pepperがビジネスシーンを変える

感情を認識するロボット

ソフトバンクのCMで話題になった人型コミュニケーションロボット「Pepper」。人工知能を搭載し、まるで人間のように振る舞えることを特徴としています。2015年6月20日に一般家庭向けに発売され、6月販売分の1000台はわずか1分で完売になってしまいました。翌月の7月販売分1000台も同じく1分で完売するという人気ぶり。Pepperは、各種センサーを活用して人の感情を認識できるとともに、自身の感情を擬似的に生成する「感情機能」を備えています。そのため、近くに知っている人がいると安心したり、ほめられると喜んだり、周囲が暗いと不安になるなど、その時の感情により声のトーンの変化やため息をつくといった様々なアクションを見せてくれます。これは人間だったら当たり前のことですが、ロボットとしては画期的。“人間らしさ”を取り入れることで人と共生していくロボット、それがPepperなのです。

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ビジネス向けPepperが発売開始

そんなPepperが最近、正式に社会人デビューを果たすことが明らかになりました。ソフトバンクは7月30日に開催した同社の法人向けイベント「Softbank World 2015」にて、Pepperの法人向けモデル「Pepper for Biz」を発表。申し込み受付の開始は10月1日を予定しています。

Pepper for Bizは、販売中のモデルをベースに、ビジネスシーンで活用できる法人向けアプリケーションを標準搭載したもの。離れた人を呼び込み、近づいた人に挨拶する「声かけ」、ニーズに応じた提案およびアンケートを実施する「ヒアリング」、商品画像を見せながら、訴求ポイントを紹介する「プレゼンテーション」、パフォーマンスやゲームでお客さまと遊ぶ「エンターテインメント」、社内担当者に来客情報をメールで通知する「受付」といったアプリケーションがあるようです。どれも接客系の機能となっており、今後、街を歩いていたら店の呼び込みをしていたり、アンケートを実施しているPepperを見かけるかもしれません。

また、企業はPepper for Bizと一緒に提供される「Pepper for Bizプラットフォーム」を利用することで、接客情報などを蓄積してマーケティングに活用できるとしています。

月額5万5000円のレンタルプラン

料金プランとしては、月額5万5000円のレンタルプランを用意。中途解約不可の36カ月間契約で、契約期間終了後に返却しなければなりません。別途、ロボット手続き手数料の9800円も必要です。3年間でかかる金額は5万5000円×36カ月+9800円=198万9800円(税別)に加えて電気代といった感じでしょうか。同プランでは、電話やWebの専用窓口でサポート対応するほか、故障時には何度でも交換対応を受け付けるといいます。電気さえあれば仕事でき、残業も大歓迎。

すでに企業独自のアプリケーションを搭載したPepperは稼働しています。例えば、ネスレ日本や、みずほ銀行で導入され、コーヒーマシンの販売員や銀行員として仕事をしています。今回、正式に法人向けモデルが発表されたことで、導入を考える企業も増えるでしょう。

ロボットの社会進出と人間の働き方

Softbank World 2015の基調講演の中で、ソフトバンクの宮内社長は「人は当然もっと付加価値の高い仕事をすべき。接客の仕事はロボットということもありえるだろう」と最後に仰ったそうです。確かに、これまで人を雇っていた仕事も今後はPepperのようなロボットにお願いするという状況も生まれてくるでしょう。過去を振り返れば、通信技術の発達よって電話交換手がいなくなったり、インターネット環境が整備されたことで“リモートワーク”という働き方が実現するなど、大きな技術革新は仕事そのものや働き方に多大な変化をもたらしてきました。現状ではすべての販売員や受付係がpepperになるなんてことは考えにくいですが、接客業のあり方に大きな影響を与えていく可能性は十分あります。今後さらにロボット技術が発展していけば、あらゆる業種でロボットが活躍する未来が到来するかもしれません。そうなると、人間だからこそ生み出せる“付加価値”が必要になってきます。Pepper、そしてロボットの社会進出は、今後、我々人間の仕事や働き方にどんな変化をもたらすのでしょうか。

参考

http://www.softbank.jp/corp/group/sbr/news/press/2015/20150730_01/
http://www.softbank.jp/robot/

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