イーロン・マスクによるSFのような超高速列車「ハイパーループ」

起業家のイーロン・マスク氏が計画する時速約1200キロの超高速列車「ハイパーループ」。
2013年に明らかにされた構想であり、2016年5月には初の試験走行が実施されました。
そんなSFみたいなハイパーループ構想を紹介するとともに、日本のリニアモーターカー計画にも触れながら未来の高速列車について考えたいと思います。

ビジネス界のカリスマ イーロン・マスク

まず、ハイパーループの発案者であるイーロン・マスク氏を紹介します。

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Source: http://www.emreyuasa.com/wp-content/uploads/2015/05/Elon-Musk-Tesla-SpaceX-and-the-Quest-for-a-Fantastic-Future.jpg

彼は1971年生まれの44歳。
インターネット決済サービスを手がけるX.com社(のちのPayPal社)を設立したり、自動車のテスラモーターズや宇宙開発のスペースXを立ち上げるなど、幅広い分野の起業家として知られています。

2014年9月には来日して安倍首相と会談したことも話題になりました。
Japan Premier Silicon Valley
Source: http://i.huffpost.com/gen/2900672/images/o-ELON-MUSK-facebook.jpg

米TIME紙の「世界でもっとも影響力のある100人」で表紙を飾るほか、フォーチュン誌の「最優秀ビジネス・パーソン」に選ばれた実績もあり、いまや多くのビジネスパーソンが憧れる存在です。

南カリフォルニア大学マーシャル経営大学院の卒業スピーチに登壇した際に残した、「超多忙であれ」「有能な人材と仕事をしろ」「商品やサービスにフォーカスせよ」「トレンドを追うな」「リスクを負え」といったメッセージは彼のビジネス観を表しています。

今をときめくビジネス界のカリスマであるイーロン・マスク氏から学ぶことは多いはずです。

ハイパーループの概要

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さて、話を本題に戻しましょう。
ハイパーループ構想とは、ロサンゼルスとサンフランシスコを超高速列車により30分程度で結ぶアイデアです。
カリフォルニア・サンフランシスコ間は約600キロ、車で約6時間の距離であり、ハイパーループがいかに衝撃度の高い計画か分かるでしょう。

ハイパーループは、加圧チューブ内で列車を走らせる仕組みとなっています。
チューブでは、上空にある飛行機のような低圧状態を作り出すため、チューブ内を移動するカプセル型の車両には通常ほどの摩擦抵抗は生じません。
そのうえで、磁力を使って車両を浮上させ、高速で推進させます。

線路の役割を果たす鉄製チューブは、上り用、下り用の計2本を重ねて高架に設営。
電源はチューブを覆ったソーラーパネルと、車両搭載のバッテリーから調達するといいます。
架線いらずでコンパクトかつエコな交通手段となりそうです。

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1車両の収容人数は28人を想定しており、近未来的なデザインも特徴となっています。
問題のコストですが、計画当初の予想では60~100億ドル(5900億~1兆円)。
ちなみに日本で2005年に開業し、東京・秋葉原と茨城・つくばの58.3キロを最速45分で結ぶ「つくばエクスプレス」の総費用は約1兆円といわれています。

実際、開通を目指すとなると土地の取得が問題となりますが、低コストで利便性の高い理想の鉄道計画といえるでしょう。

実現に向けて試験走行を開始

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2013年の計画発表から注目を集めていたハイパーループですが、2016年5月、いよいよ初の試験走行が実施されました。
同実験はベンチャー企業の米ハイパーループ・ワンによるもの。
4秒間の走行で、時速186キロを達成したとしています。

実は、このハイプーループにおいては、今回の実験を行ったハイパーループ・ワンとハイパーループ・テクノロジーズという2つの企業が競い合うようにして計画を進めています。
先を越されたハイパーループ・テクノロジーズも2016年内には試験走行を実施したい考えです。

2社のうちどちらが先に実現するのか、それとも他の企業が現れるのか、夢の列車の実現に向けて期待が高まります。
なお、ハイパーループ・ワンの計画では、2019年までに貨物列車の運行を開始し、2021年までに旅客列車の運行開始を目指すそうです。

日本のリニア計画は

話題を日本に移しましょう。日本でも超高速列車であるリニアモーターカー計画があります。
リニアモーターカーは、磁石の原理を応用した超電導リニアモーターを使用し、車両とレールの間で「引き合う力」と「反発する力」を発生させて進む仕組みです。

リニア中央新幹線として東京-名古屋-大阪を結ぶ計画で、東京-名古屋は2027年、全線開業は2045年を予定しています。
もし実現すれば東京から名古屋は最速40分、東京から大阪は最速67分で移動できるそう。
信じられないですね。

高速列車がもたらすもの

米国や日本など、世界各国で高速列車の計画が進行しており、異次元の速さで駆け抜けるSF列車が近い将来登場するでしょう。
歴史をさかのぼっても、特急列車に新幹線と次々に高速列車が登場してきましたが、人間の速さへの野望は尽きることがないようです。

移動手段における究極はドラえもんに登場する「どこでもドア」だと思いますが、超高速列車では「どこでもドア」のようなワープ感覚を味わえるかもしれません。
現状の在来線で東京-鎌倉間が1時間程度ですから、東京-名古屋が40分、東京-大阪が67分だとすると通勤も可能です。

もしリニアをはじめとする高速列車が日本全国に広がれば、地方で仕事をしつつ週1で東京で打ち合わせ、なんて働き方もしやすくなります。
東京と地方の距離が縮まり、田舎でのリモートワークも捗るでしょう。

ただ、乗車料金は相当高くなると予想されます。
最近では北海道新幹線の開通もありましたが、今後ますます日本全国が近くなりそうです。

イーロン・マスクが描く時速1200キロの「ハイパーループ」に日本のリニアモーターカー、ぜひとも乗車して超高速を体感してみたいものです。

参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/イーロン・マスク
http://logmi.jp/43469
https://ja.scribd.com/doc/159810602/Hyperloop-Alpha
http://www.gizmodo.jp/2013/08/post_12965.html
http://blog.hitachi-net.jp/archives/50259757.html
http://wired.jp/2016/05/13/hyperloop-one-rebrands-announces-test/
http://www.cnn.co.jp/business/35082469.html
http://forbesjapan.com/articles/detail/12053/3/1/1
https://ja.wikipedia.org/wiki/中央新幹線

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