WWDC(WorldWide Developers Conference)といえば、過去にiPhoneの新モデルが発表されるなど、毎年注目の集まるイベント。
今年も例年通り、開発者やAppleファンなどの間で話題となりました。
基調講演の目玉となったのは、iOS、watchOS、tvOS、macOSの最新版に関する発表でした。
それぞれどう変わるのかまとめていきます。
iOS 10
ついに「10」となったiOS。
バージョン数と同じ10の新機能が発表されました。
ざっくり箇条書きすると以下の通りです。
1. iPhoneを立てるとスリープが解除される「Raise to wake」、ロック画面で通知内容を確認する3D Touch導入
2. Siriをサードパーティに開放、サードパーティアプリでも音声操作が可能に
3. キーボードに時系列データであるLSTMを活用、予測変換を強化
4. 写真アプリにおいて、人、場所、イベントなどをもとにスライドショーを自動で作成する「Memories」
5. マップアプリの強化、新デザインを導入、ナビゲーションに交通情報、ガソリンスタンドやレストランなどを表示
6. Apple Musicのデザイン刷新、歌詞表示など
7. ニュースアプリのデザイン刷新
8. Homeアプリ登場、HomeKit対応家電をiPhoneから一括管理
9. サードパーティアプリでのVoIP通話
10. メッセージアプリが進化、手書きメッセージ、アニメーションやエフェクトを用いた表現などが可能に
概要はこんな感じですが、「よりスマート」「より楽しく」「スマートホーム」をキーワードにどう変わるのか解説していきたいと思います。
よりスマート
まず、「Raise to wake」では、iPhoneを持ち上げるだけで画面が自動表示されます。
各アプリにアクセスするための1ステップが省ける、地味ながら便利な機能ですね。
なお、同機能を使えるのは「iPhone 6s/6s Plus/SE」に限るようです。
今までは純正アプリのみと連携していたSiriのサードパーティ開放も大きいです。
今後はSiriを通じた買い物やレストラン予約がスムーズに実現するかもしれません。
そのほかマップアプリや予測変換も強化されるなど、よりスマートかつ便利に進化しているみたいですね。
より楽しく
写真アプリに搭載される自動スライドショー作成機能「Memories」では、カメラロールに撮りためた写真を楽しく振り返り、思い出にふけることができそうです。
メッセージアプリ「iMessage」も楽しげな演出が施されています。文字を入れたふきだしを動かす、手書き文字を送る、背景全体を使ったアニメーションを表示する、LINEのようなスタンプを送るなど、メッセージを様々な方法で豊かに表現することが可能です。
スマートホーム
新たに追加される純正アプリ「Home」は、HomeKit対応デバイスをまとめて管理するコントロールアプリ。
同アプリをハブとし、複数のデバイスを組み合わせることで、生活シーンに合わせた便利なショートカットを作れます。
例えば、Homekit対応の照明と連携すれば、アラームに合わせて照明がつくというショートカットを登録できます。
HomeKit対応デバイスとしては、ecobeeのサーモスタット「ecobee3」、Elgatoの空気中の情報をモニタリングするセンサー「Eve」、iHomeの電源タップ「SmartPlug」、Lutron Electronicsの照明を制御する機器「Caseta Smart Bridge」、InsteonのiOS端末と複数のHomeKit対応製品を接続するハブ「Insteon Hub Pro」などが存在します。
対応製品がまだ少ないだけにスマートホームが普及するのはもうちょっと先の話になりそうです。
ただ、Homeが登場したことで、夢のスマートホームの実現がまた一歩近づいた気がします。
watchOS 3
Apple Watch用OSの最新版「watchOS 3」では、iPhoneでもおなじみ直近で使用したアプリが並ぶ「Dock」が用意され、ウォッチ本体のボタンから素早くアプリを起動可能です。
設定を手早く変えられる「コントロールセンター」も搭載し、watchOS自体がiOSに近づいた印象です。
また、手書きテキスト入力機能「Scribble」も導入され、Apple Watch単体での文字入力も容易になるほか、「SOS機能」では、緊急時にサイドボタンを長押しすると、接続したiPhoneから緊急連絡先に自動発信してくれます。
tvOS
Apple TV用OS「tvOS」の最新アップデートでは、iOS向けの専用アプリ「Apple TV Remote」からSiriでの音声操作が可能になります。
便利になったサインオン機能「Single sign-on」も追加。
従来はコンテンツごとに認証を行う必要がありましたが、同機能により1度のログインで認証が済むようになります。
macOS Sierra
Mac PCのOS名は「OS X」でしたが「macOS」に変わりました。
iPhoneのiOS、Apple WatchのwatchOS、Apple TVのtvOSにあわせ、名付けの規則が統一されたようです。
macOS Sierraの目玉は、ContinuityとSiriの採用です。
Continuityは、他のMacやApple製品と連携できる機能。
iPhoneで作成した書きかけの文書をMacから編集したり、Mac内のファイルを他デバイスからアクセスできるようiCloud Driveに自動保存することが可能になります。
クリップボードにコピーしたテキストなどを他デバイスにおいても貼り付けられる「Universal Clipboard」、アンロックしたApple Watchの装着時、自身のMacも自動でアンロックされる「Auto Unlock」などもContinuityの一環として登場。
複数のApple製品を使ったシームレスな作業が実現しそうです。
また、iOSに搭載中のSiriがついにMacでも利用できます。
基調講演では、ファイル検索や検索結果のピン留めといったデモが披露されました。
総括
今回のWWDC 2016からは、スマホ、PC、スマートウォッチ、スマートTVの4本柱を重要視するAppleの姿勢が感じ取れます。
目新しいハードウェアの発表はありませんでしたが、既存ハードがソフト面で大きく拡充されるようです。
個人的に待ち遠しいのは、なんといってもバージョン数が二桁の大台に到達した最新iOS。
多くのiPhoneユーザーにとって嬉しい、前述した盛りだくさんの機能に期待が高まります。
http://www.apple.com/apple-events/june-2016/
https://developer.apple.com/wwdc/
http://news.mynavi.jp/articles/2016/06/15/wwdc/
http://gori.me/ios/ios10/87420
http://gizmodo.com/apple-joins-the-smarthome-wars-with-a-siri-powered-app-1781900675
http://www.gizmodo.jp/2016/06/apple-joins-the-smarthome-wars-with-a-siri-powered-app.html