今、事業を取り巻く環境は消費の低迷、新興国企業の躍進、技術の進歩による製品差別化の困難さ、消費者の価値観の多様化などで厳しい状況です。
このような時代は、モノが簡単に売れないうえに、消費者の価値観や購買行動の多様化で顧客が見えなくなり有効なマーケティング施策が実施できません。
このような時代だからこそ、自社の顧客となるべき消費者の購買プロセスを可視化できて、有効なマーケティング施策を可能にする「カスタマージャーニー」が注目を集めています。
Contents
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、「ユーザーが自社の商品やサービスを知り、購入に至るまでの行動や思考のプロセス」のことです。
ユーザーの購買行動や考え方、感じ方、価値観が分かれば、何を行えば効果的に自社の商品やサービスが売れるかが簡単に分かります。
一方で、なぜ売れていないのかが分からないと対策の立てようがありません。
そのようなときに役立つマーケティングツールがカスタマージャーニーです。
消費者は商品やサービスの購入決定にあたっては、購入に至るまでに、さまざまプロセスにおいて大きな影響を受けます。
そのため、同じ商品やサービスでも、価格が安い店ではなく高い店で購入することがあります。
例えば、消費者はブランドや店舗に対するイメージや接客の良い・悪い、あるいは広告の内容など企業が提供するさまざまな接点を通じて購買に至る行動や感情に変化が起き、安い商品を探していても高い商品を購入することが起こります。
このとき、どのようなタイミングで、どのような手段で企業が提供する接点に接したのか?
そしてその結果、どのような体験をしたことで、どのような感情の変化が起きたかなどがわかると、その時点でのユーザーの潜在ニーズや最終的に購買決定に至った重要なポイントが何かが分かります。
購入に至る決定のポイントが分かると、どの接点で何をどのように訴求すれば良いかという有効なマーケティング施策を明確にできます。
カスタマージャーニーマップとは
Source: http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/11/27/16409
カスタマージャーニーは「ユーザーが自社の商品やサービスを知り、購入に至るまでの行動や思考のプロセス」のことですが、このプロセスを分かりやすく可視化したのが、カスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップは、自社がメインターゲットとするユーザーが購入を決定するまでの行動と思考の状況を目に見えるようして、一覧できるように作成します。
作成にあたっては、自社がターゲットとするユーザーがさまざま接点で体験することで得るであろう価値観をどうすれば高められるかに着目して作成します。
ユーザーが体験する価値観は、UX(ユーザーエクスペリエンス)と呼ばれます。
UXとは、商品やサービスそのものを単に所有する価値ではなく、使用したときに得られる心理的・感覚的な満足感・価値観のことです。
今のユーザーは、商品やサービスの性能や機能がいくら優れていても、それだけでは購入しなくなっています。
売るためには、ユーザーが商品やサービスを購入してから得られる満足感や価値観を効果的に訴求できなければなりません。
そのためには、UXを高めることが非常に重要です。
カスタマージャーニーを実践するメリットとは
かつては、企業が考えた新機能や性能を向上させた商品やサービスを販売すれば、売れた時代がありました。
しかし、今はモノ余りや消費者の価値観の多様化などでユーザーが望むニーズを把握して開発した商品やサービスでないと売れず、ユーザー目線の重要性が強く叫ばれています。
カスタマージャーニーを実践することで以下のメリットが得られます。
ユーザー目線で考えられる能力が身につく
カスタマージャーニーのメリットの1つは、カスタマージャーニーマップの作成は、一連の購買行動をユーザー目線でその行動や感情を考えて作成します。
そのため、自然にユーザー目線で考える能力が身につきます。
特に、UXを訴求することがマーケティング施策上、強く求められていることからユーザー目線で考えられる能力はきわめて重要です。
担当者間の認識の共有化
現代はインターネットやスマホの普及で、消費者はさまざまな接点で企業が発信する情報に接しています。
このような状況下では、商品企画、広告・販促、店舗営業、直接営業などの各部門でマーケティング施策のベクトルが微妙にずれていると、せっかくマーケティング施策を実施しても効果が弱くなります。
カスタマージャーニーマップの作成は、企業活動の全プロセスにわたるため、各部門が集まって行います。
そのため、カスタマージャーニーマップを作成していく過程で、各部門の担当者が共通の認識を持てるようになり、ベクトルにズレのないマーケティング施策が実行できます。
複雑化して見えにくくなった消費者の行動・感情に対応が可能
インターネットやスマホの普及で消費者の購入行動は複雑で見えにくくなっていますが、カスタマージャーニーマップを作成することで、消費者の行動や感情が予測できます。
カスタマージャーニーのデメリット
カスタマージャーニーは、これまで説明してきた通り企業経営にとって強力なツールとなり得ます。
しかし、効果をあげるように作成するには時間がかかるというデメリットがあります。
また、すべてのマーケティングツールに共通しますが、カスタマージャーニーマップを作成すれば売上が自動的に上がるものではありません。
あくまでも、ツールなので作成してから、それを検証し修正していくプロセスが必要です。
この点に注意して根気よく作成、実施、修正、実施のサイクルを継続することでマーケティング施策の効果をあげられます。
まとめ
モノが売れにくい時代、ユーザー目線が必要な時代のマーケティングツールとして有効な「カスタマージャーニー」と「カスタマージャーニーマップ」を紹介しました。
「カスタマージャーニーマップ」の作成を通して得られるユーザーに関する知見を活用することで、効果的なマーケティング施策を立案し遂行できます。
これにより、厳しい経営環境下でも売上・利益を確保した経営を可能にします。