最近日本でもよく耳にするようになった「シェアエコノミー」。
経済を共有するという、新しいビジネス構造を表すこの言葉が最初に現れたのは、2000年代半ばでした。
もともとこのアイディアは、世界人口の増加に伴う資源不足への緊急性と、多様に可能になった社会技術が引き金となって生まれたものだと言われています。
もし人間がみな自分の利益のためだけに行動したら、私たちは生きていくのに必要な共有資源を枯らしてしまうことになる、という現実がその裏にはあります。
以来15年経った今、シェアエコノミーは米国のシリコンバレーから、あらゆるところへ広がり、浸透しています。
米国では、成人の44%が共同消費の概念に精通しており、57%が「シェアサービスは新しい所有の方法だと考え」と考え、80%が「時には購入するよりも、借りた方がよい」と思っていると言われます。(PricewaterhouseCoopers (PwC) 調べ。)
シェアエコノミーに精通している人の89%が、この構造は提供者とユーザー間の信頼関係が基調になっていると言っています。
63%がシェアエコノミーは楽しく、73%がこの構造は強いコミュニティを作り出すだろうと予想しています。
PwCは、シェアエコノミーのグローバルな売上高は、2025年までに3550億ドルに達するだろうと見積もっています。
米国のシェアエコノミー企業で最もよく知られているのは、ホテルの代わりに個人がホストする宿を世界中に斡旋するAirbnb、モバイルアプリベースの輸送ネットワークUber、車の所有者が相乗りしたい人を募るLyftなどでしょう。
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自家用車は、1日の9割以上の時間、使われていない
どうして、このシェアエコノミーがこれだけ発展しているのでしょうか。
それにはいくつかの理由が挙げられます。まず好きな時に好きなサービスを自分で選んで利用できるという点です。
例えば、経済成長の行き詰まりの時に、自家用車などの高価なアイテムを購入してメインテナンスにもお金をかける代わりに、必要な時に借りられ、しかも必要な車種を選ぶことができるサービスがあったら、それを使わない理由はありません。
実際、自家用車は平均して1日の9割以上の時間使われていないと言われています。その使っていない時間を、何か他のことに使えたら、というのは効率的な考え方です。
もともとの「このままいったら世界資源を枯らせてしまう」という見地からも、ムダを防いで使えるものは使い回すという考え方は、「より多くのアイテムを所有したものが勝ち」だった米国人の生活習慣を大きく変えてきています。
また、支出をセーブするだけでなく、お金では買えないものを手に入れられるという魅力もあります。
旅先でホテルに泊まるにはそれなりの費用がかかりますが、アパートのスワッピングなら格安で宿泊することが可能になります。また、相手の人が付近を案内してくれたり、自分とは全く違ったライフスタイルに足を踏み入れることもできます。これが旅の醍醐味ではないでしょうか。
中には、だれもこんなものはシェアできないだろうと思っているようなものまで、シェアしている人たちもいます。
SUPPERSHARE
サンフランシスコのアーティスト、ジェシカ・レーンさんは、12月からSupperShareを使って食事をシェアしています。10人分の料理を用意して、1席5~15ドルで売ります。見知らぬ他人をホストをするのが心配な人には、SupperShareが3ステップで安全なやり方を教えてくれるそうです。
http://www.suppershare.com/
roost
Roostを通じて、自宅の地下室の空きスペースを貸し出しているのはヘッディ・カンドルさん。サイズによって1日4〜40ドルの使用料を取ります。地震を除く、すべての破損をカバーする保健付きです。
https://roost.com/
CARMAnation
ダン・ティンカーさんはCARMAnationで、勤務先の近くに駐車スポットを見つけています。通常の駐車場に比べて格安だそうです。
https://www.carmanation.com/about
DogVacay
飼い主さんが旅行にいく時に、愛犬をお預かりするDogVacayでは、犬好きでも犬を飼えない人が、自分に便利な時間を登録してホストになります。料金には保険料も含まれ、犬にも好評のようです。
http://dogvacay.com/
3D Hubs
アムステルダムの工業デザイナー、ジャスペル・デッカーさんは、3D Hubsを通して、手持ちの3Dプリンターを地元のアーティストに使わせています。
https://www.3dhubs.com/
昔は1000台の車を1000人に売っていたが、
今は1台の車を1000人に貸し出すことができる
これらを見ると本当にアイディア次第だと思えてきますね。
これまでのプライベートビジネスとシェアエコノミーでは仲介業者が入っているという点が大きな違いであると思います。
提供されるサービスは保険などの保障付きですから、利用する方も安心であり、また提供する側も業者からアドバイスを受けられるという利点があります。
これだけ人々の日常生活に浸透したシェアエコノミーですが、中にはこの構造が経済を破綻させると懸念する見方もあります。輸送業界の「1000台の車を作って売っていたものを、今は1台の車を作って、1000人に貸し出すことができる」という発言が、それを物語っているようです。
現在、上記のAirbnbやUberは日本での展開も強化しています。BtoC向けに必要な時に必要な時間だけ車を借りることができる、Times Car Sharingや、BtoB向けに野球場などの遊休スペースを貸し借りできる、スペースマーケットのような、日本製のシェアエコノミー・スタートアップもすでに登場しています。
今後、日本でもシェアエコノミーのサービスが幅広く受け入れられる自由な社会になると良いと思います。
みなさんも一度利用してみるのはいかがでしょうか?
参考
http://www.thefiscaltimes.com/Media/Slideshow/2014/10/29/10-Things-You-Never-Thought-You-Could-Share
http://www.brandchannel.com/2015/04/21/pwc-sharing-economy-042115/
http://theweek.com/articles/550433/how-sharing-economy-could-help-repair-sense-community
http://www.thefiscaltimes.com/2015/04/21/Here-s-Why-Sharing-Economy-Soaring