写真に写った車のナンバープレートはなぜ隠さなくてはならないのか

ブログやSNSが発達して、誰もがネット上に自分で撮影した写真をアップする時代になりました。
そこで問題になるのが「個人情報」です。
悪意がなくても、アップした写真によって他人の個人情報を公開してしまう可能性があります。
今回は、利用する写真の個人情報はどこまで意識しなければならないのか、解説します。

ナンバープレートで個人情報はバレない

ネット上に画像を上げるときによく言われるのは「車のナンバープレートは隠さなくてはならない」ということです。
その理由として言われるのは「ナンバープレートから個人情報が分かってしまう」ということです。しかし、これは実は間違っています。
車の登録情報は、陸運局で管理されています。
そのため以前までは、ナンバープレートだけ分かれば、請求者が請求理由を記入し、身分証を提示すれば、その車の保有者の情報を取得することができました。
しかし、これでは犯罪に利用されてしまうことがあるため、2007年からは法律が変わり、その車の車体番号が分からないと、所有者の情報は取得できないようになりました。
つまりは、ナンバープレートだけでは個人情報は取得できなくなったのです。
そのため写真に車のナンバープレートが写り込んでも、それだけで住所や名前がバレる、という危険性はありません。

しかし、それでも写真に写ったナンバープレートは隠す必要があります。
写真に写っていることが、知り合いに見られたら困るようなケースがあり得るからです。
例えば写真に他人の顔や身体全体が写り込んでしまった場合、本人の承諾がないまま公開してしまうと、肖像権の侵害になってしまう場合があります。
悪意がなくても、例えばその写った人物が見られたくない場所や姿で写ってしまっていた場合、プライバシー権が侵害されるからです。
車の場合は肖像権の対象にはなりませんが、その車の所有者が見られてはまずい場所で写ってしまっている場合もあり得るわけです。
車のナンバープレートをそのままネット上に公開しても、法律上は問題ありません。しかし、このようなトラブルを避けるためにも、ネット上にアップする写真のナンバープレートは、一応チェックして隠しておくことをおすすめします。
ナンバーを隠す加工は、無料のアプリで簡単に行なうことができます。

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ネット上での個人情報漏れのケース

ナンバープレートで個人情報が漏れる可能性はなくても、やはり隠してからアップした方がいいのはなぜか、お分かりいただけたでしょうか。
ネット上に画像をアップするときにもっとも気をつけなければならないのは「肖像権」についてです。
これについては以前の記事「肖像権の侵害になるケースとならないケース」で解説しました。
人物については、肖像権の侵害の可能性がある場合には、本人の同意を得る必要があり、また著作物を撮影する場合も利用の許諾を得る必要があるケースもあるということを解説しました。
しかし、それ以外にも個人情報保護のため、気をつけなければならないことがあります。

自分で撮影した画像をそのままネット上にアップする場合、自分の個人情報を保護するために、「位置情報」を削除する必要があります。
プロのクリエイターの方ならばよく知っていると思いますが、自分で撮影した画像をそのまま使うことのあるライターやブロガーなどの場合は、特に気をつけておく必要があります。

なぜ画像から位置情報が分かってしまうのか

なぜ画像から位置情報が分かってしまうのでしょうか。
撮影した写真には「Exif(イグジフ)」と言われる、撮影日時や撮影場所の情報の記録があります。
デジカメやスマホで写真を撮影したときに、自動的に記録されます。
その撮影した写真をそのままネット上にアップすると、その人の自宅の場所や行動記録などが丸わかりになってしまうのです。
これは画像を保存してその画像のデータの詳細を開くと、誰でも簡単に見つけることができます。

位置情報を残さないためには、デジカメやスマホのGPS設定をOFFにした上で撮影する必要があります。
すでに撮影してしまった写真については、Exifのデータを削除するツールを使って削除したうえで使うようにしましょう。
FacebookやTwitter、大手のブログなどでは、このExifのデータは自動的に削除されるようになっていますが、ネット上で使う画像については、Exifの記録は一応すべてチェックすることをおすすめします。

個人情報保護法の対象が拡張

ネット上で使う画像に関しては、個人情報保護の対象となるケースが多数あります。
以前まで個人情報保護法では、5000件以上の個人情報を扱う「個人情報取扱事業者」しか対象としていませんでした。
しかし2015年からは1人でも個人情報を扱う事業者は、個人情報保護法の対象となるようになりました。
そのため小さなデザイン会社から個人事業主であっても、個人情報の取扱に不備があると処罰されてしまいます。
どのようなケースが個人情報の侵害となるのか、よく調べておく必要がありますね。

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