ワーク・ライフ・バランスの達成方法

仕事と生活とのバランス

誰でも「ワーク・ライフ・バランス」とか、「ワーク・ライフ・インテグレーション」について聞いたことがありますよね。
仕事と生活とのバランス-これは働く者の永遠の課題とも言えます。
一日の時間を、どれだけ仕事に費やして、どれだけ自分の生活に与えるか。
そのバランスをとること、あるいはそれらをうまく統合することに、私たちは日々工夫を凝らしています。
より満足できる労働形態を求めて転職したり、起業してみたりもします。
しかし、実際にこの「ワーク・ライフ・バランス」を達成することは、可能なものでしょうか。
このキーワードで検索してみると、どうやってこのバランスをとればいいのか、あらゆる助言が出てきます。それだけ、この件で苦労している人が多いということでしょう。

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ワークライフバランス診断

ではまず、診断編です。あなたのバランス状況を把握してみましょう。
クリスティン・ヘア氏によると、チェック項目には4点あります。

1.あなたにとって理想的なバランスとは、どのようなものか。
2.あなたに依存している人や、あなたのパートナーにとって、それはどのようなものか。
3.典型的なあなたの1週間はどんなものか。
4.理想と現実とのギャップはどこにあるか。

これらを考えてみると、あなたのワーク・ライフ・バランスがわかるというのです。
そこで把握されたバランス状況ですが、これに満足できる人はあまりいなさそうです。
中には、達成はもともと無理、と断言する人もいます。
これには女性の事業主が圧倒的に多いようです。女性にはどうしても家庭を見なければいけないという考えがありますから、これは当然でしょう。

タイプ別ワークライフバランスの達成方法

タイプ1: 就労時間と家庭の時間をはっきり分ける

米国不動産業、バーブラ・コーコランさんの場合

それではどうすればいいかとなると、「就労時間と家庭の時間をはっきり分けよ」、というアドバイスが多く見られます。
例えば、米国で不動産業に携わるバーブラ・コーコランさんの場合です。
20年間自分の事業を育ててきた彼女に子供が生まれた時、彼女は朝の家庭の時間と、その後の仕事の時間とをはっきり分けるきることでやり抜く道を見い出しました。
就業中は家族のだれも、よほどの緊急事態でない限り、一切電話を入れてこないそうです。
このように色々、努力・工夫をこらしても、やはりバランスを取ることは誰にとっても難しく、自分は仕事も家庭も十分にできていないというストレスを感じる人も多いようです。

タイプ2: 時期により仕事を優先する

ビジネスコンサルタント、ジュディ·レイノルズさんの場合

2014年のオーストラリアの研究では、過去5年間で仕事と生活のバランスが悪化している人は、500万人近くにも及んでいます。
その主な原因は、長い労働時間と雇用の不安定さだそうです。
今日の経済の中で、ワーク·ライフ·バランスを実現することに、ほとんどの人はあまりにも悲観的だと言われます。
そこで、シドニーのビジネスコンサルタント、ジュディ·レイノルズさんが勧めるのが、「意図的な不均衡」をもつこと。
生活と仕事の間で幸せな均衡を達成できないストレスを感じるよりも、この方がいいオプションだと彼女は提唱しています。
このアイデアは、仕事は生活の一部であり、特定の時期には仕事が生活時間を支配することを受け入れるというものです。
レイノルズさんは、このアプローチでは「最初のうちは物事がうまくいかないように感じるかもしれないが、あなた自身がキャリアやビジネスを築くという目標に向かって作業している限りは大丈夫だ」と言っています。
「今は家庭よりも、より多くの時間を仕事に投資する時期だ」と考えるのです。
するとストレスや挫折感から解放されることができます。
レイノルズさんは「意図的な不均衡」を受け入れたビジネスパーソンたちは、仕事へのエネルギーの復活と熱意を実感していると述べています。

彼女の挙げる「意図的な不均衡」を導入するための要点は、以下の通りです。

1.自分の目標をまとめたライフプランを書き出してみる。
2.周囲の人々とそれを共有し、あなたが一定期間、長時間働かなければならない時のために備える。
3.意図的な不均衡がどのくらいの期間続くかを設定する。
4.あなたの達成目標を、意思決定のために使用する。
5.ワーク·ライフ·バランスを達成できないことについての罪悪感を捨てる。

タイプ3: 仕事と生活のバランスを考えない

作家、ジェイコブ・モ-ガンさんの場合

これまで見てきたように、この課題には様々なアプローチの仕方があります。
最後に「The Future of Work」などの著作をもつ、ジェイコブ・モ-ガン氏がForbesに寄稿した意見をご紹介しておきましょう。
彼は「仕事と生活のバランスを取ることに焦点を当てるのは、時間の無駄だ」と発言しています。
それは、「ワーク・ライフ·バランス」というものは、非常に個性的なことだからです。
彼の場合は、標準的なフルタイムの人よりもかなり多くの時間を仕事に費やしています。
しかし、彼はホームオフィスを持ち、自分の仕事を愛しています。
妻や愛犬とも一緒にいられますし、好きな時に休憩を取ることもできます。
だから質問された時にはいつも「私はすばらしい仕事と生活のバランスをもっている」と答えているそうです。
週40時間労働で、午前9時から午後5時まで働き、午後5時にはきっちり帰宅する人にも「すばらしい仕事と生活のバランスをもっている」と言うことは可能でしょう。
仕事と生活のバランスとは、何時間働いているかではなく、当人がどう感じているかによる、というのが彼の持論です。
社会のトレンドとして、私たちは以前よりも生活と仕事を近づけ、家で働らくスタイルを採用する人も増えてきています。
彼は「ワーク・ライフ·バランス」に焦点を当てるよりも、働く人がその仕事をやり遂げるために、自分で働き方をカスタマイズしてコントロールできる機会を、組織が与えることに焦点を当てるべきだと主張します。
彼の意見では、労働の未来は、被雇用者が働き方の選択肢を与えられることなのです。

ワークスタイルや業種、家族構成などでワークライフバランスの達成方法は違うと思いますが、ジェイコブ・モーガン氏が提唱するように、働く時間や場所の制約を受けずに自由に働き方をカスタマイズし、ワークとライフの垣根のなくすことができれば、もっとも充実したバランスを得ることができるのだと思います。もし、今の生活と仕事のバランスに満足していなければ、できるところから実践してみてはいかがでしょうか。

参考

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