都市をITで変えるGoogleの新会社「Sidewalk Labs」

検索エンジンやAndroidOSでおなじみのGoogle。人工知能や自動運転車など、さまざまな最先端事業に取り組んでいることも知られていますが、今度は「都市」をターゲットにした新事業を本格始動させそうです。

都市問題を解決する第4の革命へ

Googleは2015年6月、“都市生活の改善”を目的とする新会社「Sidewalk Labs」の設立を発表しました。都市とテクノロジーを事業領域とすること以外、詳細は不明となっていますが、設立の経緯や理念などは公式HPにて説明されています。設立経緯の部分では、都市における3つの革命に触れられています。

第1の革命は、機関車を生んだ「蒸気」。第2の革命は、照明を実現した「電気」。第3の革命は、行動範囲を広げた「自動車」です。ただ、そうした革命は私たちの生活を便利にした反面、大気汚染や交通渋滞など、弊害も生み出したと指摘します。第3までの革命が残した弊害を取り除く第4の革命が、Sidewalk Labsの掲げる「デジタルテクノロジー革命」です。スマートフォンが普及し、人々が都市とつながる手段をもった今こそ、時は満ちているといいます。

革命を生み出す8つのキーワード

理念の部分では、8つのキーワードを紹介しています。

People(人)
Opportunity(機会)
Adaptability(適応)
Shared Values(共通価値)
Interractions(相互作用)
Sharing(共有)
Diversity(多様性)
Coordination without Control(自動調節)

都市の改善には、これらの理解がマストだと述べています。どれも概念的な言葉ですが、8つ並べてみると、「人ありき」であることが感じ取れます。デジタルテクノロジーを駆使して都市を改善する、というと無機質な印象を抱きがちです。でも、理念を見る限り、人の関係性により都市が存在する、といった前提を大切にしているような感じがします。

街の無料Wi-Fiプロジェクト「LinkNYC」


具体的なプロジェクトとしては、ニューヨーク市内の公衆電話ボックスを、Wi-Fiアクセスポイントとなるキオスク端末「Link」に置き換える計画「LinkNYC」を明らかにしています。同計画では、半径150フィート(約45m)の範囲に、Wi-Fi環境を24時間無料で提供します。また、端末から米国内への無料通話を行えるほか、携帯電話の充電も可能です。

日本でもそう遠くない未来の都市像

都市の至る所に「Link」のような便利な端末が設置される風景は、とても近未来的です。こうした“スマートシティ”への動きは、海外だけでなく、日本でも見られます。例えば、シャープは2015年夏、スマホの無料充電スタンド「シティチャージ」を東京都内に設置することを発表しました。Wi-Fiアクセス機能はないようですが、最近では、訪日外国人の増加なども見据え、自治体が街におけるWi-Fi環境の整備に尽力していることが伺えます。東京オリンピックが開催する2020年頃には、日本においても未来都市が実現するのでしょうか。

採用強化でいよいよ本格始動か

さて、Sidewalk Labsですが、2016年に入り、各職種の採用活動を開始しました。2015年6月の発表以降、大きな動きはみられませんでしたが、今回の採用強化により事業も加速していくとみられます。ネットの世界で多くのイノベーションを起こしたGoogleが、現実の都市空間に新たなイノベーションを巻き起こせるのか。今後の動向に期待が高まります。

参考
http://www.sidewalklabs.com/
https://www.link.nyc/

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