湿度管理でインフルエンザ予防

電車などの密室空間で、ゲホゲホと咳をされたり、くしゃみをされると、ヒヤッとするこの季節。各地では、例年よりも早くインフルエンザの流行が始まっています。毎年1~3月にインフルエンザの流行がピークに達します。インフルエンザは、38度以上の高熱、筋肉痛、倦怠感、関節痛などを引き起こし、場合によっては肺炎を発症します。冬に流行することから、寒さが原因だと考えられていますが、いくつもの研究で、湿度が大きく関係していることがわかっています。

湿度とインフルエンザの関係

ノーベル賞受賞者も輩出している、アメリカのバージニア工科大学が発表した論文、“Relationship between Humidity and Influenza A Viability in Droplets and Implications for Influenza’s Seasonality – 湿気とインフルエンザの関係。”では、「湿度が上がると、インフルエンザの生存率は低下する」と述べています。実験では、湿度を50%に上げると、ウィルスの生存率は低くなり、100%に上げると、再び生存率が上昇しました。つまり、湿気が低すぎても、高すぎても、感染しやすくなってしまうのです。また、別の実験では、気温21~24度で、湿度を20%に保ったときの、インフルエンザウィルスの生存率は、6時間後に60%。同じ気温で湿度を50%に変えると、生存率は3~5%と急激に低下しました。

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次に気温を7~8度、湿度を22~25%に下げたところ、生存率は63%。同じ気温で、湿度を50%に上げたところ、生存率は35~42%となりました。

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この実験でも、湿度がインフルエンザウィルスの生存率を、左右することがわかります。

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適切な湿度

上記の実験などから、インフルエンザに感染しにくい湿度は、50%~60%と言われています。ちょうど、夏よりも少し低いくらいの湿度です。湿度を保つことで、喉の潤いも保ちます。喉を潤すことは、喉をウィルスから守る繊毛を活発にして、ウィルスが体に侵入することを防ぎます。しかし湿度が、60%を超えると、カビが発生しやすい環境になります。適切な湿度を保つためには、部屋に湿度計を設置して管理しなくてはいけません。

湿度を保つ方法

湿度を保つ方法として、最適なのは加湿器です。その他にも、石油ファンヒーターやガスヒーターでは燃焼時に水分を放出します。昔はよく、石油ストーブのうえでヤカンを沸かしている光景を目にしましたが、湿度が高くなりすぎないように注意してくだい。適切な湿度を保つためには、湿度計をこまめにチェックしてください。

年末の忙しい時期に、風邪を引かないように、湿度管理でインフルエンザ予防をオススメします。

参考

http://www.plosone.org/
http://www.scientificamerican.com/
http://www.mext.go.jp/
http://www.city.shinjuku.lg.jp/

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