海外のバーチャルオフィス産業の現状

バーチャルオフィスはこれまで、小規模企業や成長過程にあるビジネスをサポートしてきました。しかし、残念なことに、バーチャルオフィスが、違法行為に使われる例は少なくないようです。顧客の身分証明の確認や、データの保管、情報セキュリティのための様々なソフトウェアやプラットフォームはすでに使われていますが、バーチャルオフィスの運営には、まだ疑問視されている部分があるようです。

マレーシア法廷の判決

その一例として、昨年夏マレーシアの法廷は、バーチャルオフィスで運営する法律事務所の禁止を裁決しました。Law Firm Suitesの創設者ステファン・フルナリ氏は、これは単なる根拠のない懸念に基づいたもので、この決定は不当であると主張しています。バーチャルオフィス産業への調査は続いており、それが不正に使用されるのを未然に防ぐ方法、顧客情報を守る方法が探られています。

現行のビジネストレンドに反するマレーシア法廷のこの決定は、弁護士達を苛立たせています。法律事務所がバーチャルオフィスを借りることで、弁護士は使用量に合わせてリース料を支払い、郵便物を受け取る住所、顧客と会うスペース、会議室、管理サービスやオフィススペースを得ることができるのです。

フーン・チェン・リアング弁護士は、顧客のファイルをデジタルで保存している数多い弁護士の一人です。「幅広いクラウドサービスなどの新技術で、弁護士の仕事も変化しています。伝統的な法律事務所がエレクトリックデバイスに置き換えられる日が来るのではないかと思わされるほどです。」

伝統的なオフィスへの変化

バーチャルオフィスは、弁護士にプロの外観を与えます。コストを削減して、弁護士は低収入層の顧客にもサービスを提供できます。テクノロジーは「オンライン法律サービス」という弁護士の競争相手も作り出しましたが、専門分野を深めたり、新しいサービス地域を開発することで、弁護士はこれに太刀打ちすることができます。バーチャルオフィスの利用はこれを安価に達成する助けとなります。従来の法律事務所に閉じ込められないことで、弁護士達は動きの速い市場での競争力を保つことができるのです。

機密性への懸念

マレーシアの法廷評議会は、バーチャルオフィスの従業員が法律事務所員ではないことで、顧客の機密が外に漏れるのではないかと懸念しています。弁護士はバーチャルオフィス従業員に適切な訓練を施す必要があります。
顧客にとっては、弁護士事務所に足を運ぶよりも、ビデオチャットで相談する方が楽に違いありません。評議会は弁護士ライセンスをコントロールするという実力行使に出るかもしれませんが、銃規制が犯罪を減らさないように、バーチャルオフィスが規制されても、故意に違反しようする人は違反するのです。この禁止は、バーチャルオフィスレンタルから利益を得ることができる倫理的な弁護士達の負担を増やすだけです。

英国の例

昨年英国で行われた大規模な犯罪捜査の例もあります。この捜査では、バーチャルオフィス業者の不十分な顧客チェックが明らかになりました。週末にやってきて、身分証明は月曜に送るから、オフィスを貸してくれという顧客もいます。
BCAのエグゼクティブディレクターのジェニファー・ブルック氏は、必要書類などを示した、バーチャルオフィス業者用ガイドの参照と、業者の直感が犯罪防止につながると述べています。「オフィスの住所の不正使用や、情報を盗むなどの犯罪への完璧な防止策はありませんが、Contego社の身分証明照合など、バーチャルオフィス業者を支援するリアルタイムシステムで顧客を検証することで、人的エラーを防ぐことができます。Pin It Downのようなシステムは、だれがビジネスアドレスを使っているかを知らせてくれます。」

グローバルなアプローチ

同じことは他国のバーチャルオフィスにも言えます。主に米国で活動しているAlliance Virtual Officesは、厳しい身分証明とデータの収集を怠りません。最高マーケティング責任者マイク・サリバン氏は説明します。「顧客の詳細を確認するJumio社のNetVerifyなど様々なシステムを利用しています。また我々は最近、写真の識別を評価する無料のオンライン公証サービスの提供も始めました。」

オンライン公証のNotary Camは、完了まで数分で済みます。もちろん資格公証人が関与すれば、不正行為のリスクは大幅に低減されます。「すべての関連文書が受信されて、検証されるまで、バーチャルオフィスにサインアップすることはできません。」
GWA(グローバルワークスペース協会)も「FraudWatch誓約書」を持ち、メンバーに最高の実行ガイドラインを提供しています。
これらの企業は、顧客のために自動化を導入してプロセスを容易にすると同時に、潜在的な詐欺行為を起こりにくくしようと努めています。安全性の問題への意識を高め、スタッフを訓練することで、合法的な企業へ重要な支持機構を提供しているバーチャルオフィスレンタル業のイメージを改善する支援を続けています。

参考
https://www.officingtoday.com/2015/11/malaysian-bar-bans-virtual-office-rentals-solos-frustrated/
https://www.officingtoday.com/2015/11/virtual-office-companies-clamp-down-on-fraud/

Image Credit : Benjamin Combs via unsplash

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