バーチャルオフィスで経営する企業は今後も増えていくのか

このところインスタントメッセージやコラボレーションツールによって、部分的、または完全にバーチャルオフィスで経営される企業が増えていますが、オフィスを持たないビジネスの試みはこの先も広がっていくのでしょうか。

米国の大企業の3社に2社は、部分的に在宅勤務を許可しています。その率は2005年から2013年の間に2倍に増えています。しかし常時の在宅勤務を認められている人は、2005年からこれまでに2%増えただけです。2013年の調査では、自宅を主要な職場と見なしている人は、米国人のわずか2.5%にとどまっています。

小規模企業は急進的

その一方で、小規模な企業はリモートワークの流れにより急進的なスタンスをとっており、SlackやDropboxなどのコラボツールを頼りに、オフィスワークスタイルから離れつつあります。最近のFlexJobsのバーチャル企業リストには、76社の名が挙げられていますが、前年のリストにあったのはわずか26社でした。これらの企業は大部分、または完全にバーチャルで稼働しており、ハイテクのBasecamp社、Mozilla社、Upworthy社やFlexJobs社自体もそこに含まれています。リモートワーカーの求人も2014年に比較して26%増加しています。

NodeSource社の例

オープンソースソフトウェアのスタートアップ企業NodeSource社(https://nodesource.com/)は本社を持たず、Google Hangouts、 SlackやDropboxなどのクラウドベースのツールを使用して運営されています。同社の最高経営責任者ジョー・マッキャン氏はこれを「デザインされた分散」と呼び、起業当初からこのバーチャルスタイルを計画していたそうです。同社は現在約25名の従業員を持ち、その4分の3がフルタイムで、米国内各地とロンドン、シンガポール、オーストラリアに分散しています。従業員はAirbnbの給費を受けて、年に一回一同に会すことになっています。

マッキャン氏は現在までに、まだ会ったことのない従業員がいることを「とても奇妙だ」とは認めています。しかしオフィス内で隣り同士に座りながら、ヘッドフォンをかぶって、インスタントメッセージでコミュニケーションしているエンジニア達もいる世の中なのだとうことも例として挙げています。

NodeSource社CEOの経営方針

マッキャン氏は、自社の新入社員には「大切なのは仕事ではなく、あなたの人生だ」と伝えているそうです。しかし彼らは放っておいてもちゃんと仕事をします。「それだけ信頼しているので、自治権を与えられた労働者はいい仕事をする」のだそうです。

バーチャル企業を立ち上げるというこのアイデアは、マッキャン氏自身が2010年に海外でのリモートワークで成功し、マリッサ・メイヤー氏がヤフーを引き継いで、バーチャルワーカーを招き入れた時点から始まっています。「オフィスワーク中心のビジネスを築いた場合、それをバーチャル企業に移行するのはほぼ不可能です。でも最初からそのように立ち上げれば、セールスから人事まで、作られたビジネスモデルの中に自然に織り込まれていくのです。」

分散チームの企業リストの大半は、ハイテクやスタートアップ企業で占められていますが、マッキャン氏は、創造的なコミュニケーションスペースや、ライター、デザインチームなど創造的な仕事の分野にもこのスキームは可能だと考えています。実際、彼の兄はタイの海岸から大きなファッションブランドを経営していたそうです。

採用面接もリモートで

マッキャン氏の会社では、採用時の面接もリモートで行われています。最近雇った製品エンジニアのケビン・スチュワート氏にもまだ会ったことはありません。しかし中には個人的に会った方がいい場合もあります。「製品担当副社長は特別な役割だったので、直接会った方がいいと判断し、オースティンまで会いに行きましたよ。」

彼の意見では、管理レベルのワーカーには、直接頻繁に会った方がいいそうです。彼はバーチャル会議では、会議室に全員が会して話し合うよりも、意思決定に時間がかかると感じているため、月に一回取締役会を招集しているそうです。

もうひとつの課題

分散したチームのもうひとつの課題には、会議の日時をスケジュールすることがあります。「正直、これには骨が折れるんです。全員が北米にいればいいんですが、オーストラリアに影響力のあるワーカーがいて、毎週月曜の午後6時の、もう就業したいと思っている時間に、かなり集中した会話をしなければなりません。全員にとって快適な方法を見つけ出すまでには、色々違った方法をくり返していくしかありません。私たちはUberConferenceを使っています。全員が参加できない時にもこれで録音できるので、かなり頻繁に使っていますよ。」

これらの課題にもかかわらず、マッキャン氏が取り組んでいる「デザインされた分散」は確実に稼働しています。「私たちは脳を無条件に開放して、取り組まなければなりません。でもこれまでのところ、この実験は何とかうまくいってます」とマッキャン氏は語っています。

参考
http://fortune.com/2016/03/13/robert-rubin-life/

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