5月上旬に行われたTechCrunch主催のイベント「Disrupt NY 2016」では、Viv Labs社によるAIアシスタント「Viv」が披露されました。
“Siriの父”が手がけた理想のAIアシスタント
Viv Labs社のダグ・キトラウスCEOは、iPhoneなどに搭載されている音声アシスタント「Siri」の開発者です。
もともとSiriは、サードパーティーアプリとして2010年に公開され、その後Appleに買収されます。
ちなみに、米国の携帯キャリアVerizonが自社のAndroidフォンにSiriを搭載する計画もあったそうで、もしAppleと組まなければSiriはAndroidの機能となっていたかもしれません。
Apple買収後の2012年、ダグ・キトラウス氏は会社を去ることになります。
理由は、Siriのサービス方針をめぐり、当時のCEOスティーブ・ジョブズと意見があわなかったからだとされています。
そして、ダグ・キトラウス氏が思い描いた機能を取り入れたAIアシスタントこそが、今回披露されたVivです。
サードパーティーアプリ連携、マルチプラットフォームでSiriの上を
Vivは、マルチプラットフォームで、他アプリと連携する点が特徴です。
1つのアプリとして動作するSiriに対し様々なアプリに組み込んで利用できるほか、音声を認識してWeb上の情報を返すだけでなく、他アプリと連携しながら質問に対応します。
Disrupt NY 2016では、
「ゴールデンゲートブリッジのあたりは明後日の午後5時以降、華氏70度より暖かい?」
という質問に答えたり、
「昨日の飲み代20ドルをアダムに払って」
と命じると決済サービスを開いて送金するデモを実施。
質問に対する高精度な回答や、他アプリと連携する様子を示しました。
また、それぞれの質問ごとに対応するSiriと違い、質問を記憶できる点も特徴としています。
そのため、1つの質問に答えた後で、最初の問いを踏まえた質問を受けた場合も適切な対応が可能です。
Vivが広く利用できるようになる具体的な時期は未定ですが、「最初の提携アプリは2016年後半に登場する」とダグ・キトラウス氏はコメントしているようです。
AIアシスタントの未来
Siriだけでなく、Google Now、MicrosoftのCortanaなど、
AIアシスタントの分野では各社が、しのぎを削っています。
AIアシスタントの進歩は著しく、音声認識技術やAI技術の向上により、ユーザーができることは確実に増えているといえるでしょう。
今後は買い物や各種サービスの予約が音声だけで行えるような進化が予想され、今回のVivも同分野をさらに盛り上げてくれると思います。
現状としてスマホユーザー全員が活用しているとは言い難いAIアシスタント機能ですが、より便利かつ多機能に進化することで、生活に欠かせないパートナーとなりうるかもしれません。