住宅手当よりも断然、社宅の方が節税できる

節税の方法には様々なものがありますが、1人社長のクリエイターや小規模な会社の経営者は、社宅の活用に無関心な方が多いです。社宅の活用は経営者でも多くのメリットがありますので、ぜひ利用することをおすすめします。

従業員への社宅はメリットばかり

会社を経営している多くの経営者の方は、合法的な範囲でできるだけ経費計上を大きくして、納税額を減らそうと考えていることと思います。もしも1人でも従業員を雇っている方は、社宅を活用して節税&福利厚生の向上を行なうことができます。また自分(役員)での社宅の利用でも節税することができます。まずは従業員への社宅の貸借についてみてみましょう。

一定額の家賃の支払いで給与として課税されなくなる

従業員に社宅制度を設けている会社は多いと思います。しかし制度の内容を理解して正しく利用しなければ、うまく節税することができません。なぜなら社宅の家賃を全額会社が負担すると、給与とみなされて課税されるからです。給与としての課税を避けるには、その社宅に住んでいる従業員から「一定額の家賃」を徴収する必要があります。

この一定額の家賃には計算式があるのですが、その一定額の家賃を従業員が支払っていれば、給与とみなされず課税されることはありません。一定額の家賃とは以下の①〜③の合計になります。

  1. その住宅の固定資産税の課税標準額×0.2%
  2. 12円×その住宅の総床面積÷3.3
  3. その敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

この計算結果は実際の家賃よりずっと少なくなるケースがほとんどで、実際の家賃の10%〜20%ということが多いです。またその住宅の課税標準額は固定資産課税台帳を見る必要がありますが、これは住宅のオーナーが見せてくれないこともあります。その場合は、実際の家賃の10%程度を従業員に支払わせるケースが多いです。

例えば社宅の実際の家賃が毎月5万円だった場合、この5万円全額を会社が負担すると、給与とみなされて課税されますが、5000円〜1万円程度を従業員に負担させると課税されないのです。実質、4万〜4万5000円分給与が増えるのと同じ効果があります。

家賃の10%程度を従業員に支払わせることで課税を回避すると、これは従業員だけでなく会社にもメリットがあります。給与を増額させるとその分社会保険料が増加してしまいます。しかし社宅を利用して従業員の実質の手取りを増額させれば、社会保険料の負担の増加も回避できます。そしてもちろん会社が負担した分の家賃は経費として損金算入できます。家賃が5万円、従業員が10%の5000円分を負担するならば、4万5000円が毎月損金算入できるということです。つまり従業員にとっては所得税・住民税の課税を回避し、会社にとっては社会保険料の負担増加を回避しつつ法人税の節税もできるという、とても優れた方法なのです。

「従業員を雇う時」、また「すでに雇っている従業員の待遇の向上を考えた時」に、社宅の利用を説明し、給与のかわりにすることを提案してみましょう。会社にとっても従業員にとってもメリットがあるのですから、従業員も条件次第では受け入れてくれることでしょう。

住宅手当との違いは給与として課税されないこと

社宅の貸借と似た制度で「住宅手当」があります。これは家賃分をお金として支給するわけですが、実際には給与が増えているのと同じ効果があります。そのため手当は給与とみなされて課税されてしまいます。住宅手当を利用するならば社宅を利用した方がずっとお得です。

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役員への社宅の貸借

次に経営者(役員)が社宅を利用する場合のメリットを解説します。経営者の場合も一定額の家賃を支払って残りを会社負担にすれば、課税を回避することができます。しかし経営者の場合には、社宅の規模によって条件があります。

小規模住宅

住宅の床面積が木造ならば132㎡以下のもの、それ以外のマンションなどは99㎡以下のものが小規模住宅になります。この小規模住宅の場合は、従業員と同じ計算方法で一定額の家賃を算出し、それを経営者が自分で負担することで、社宅のメリットを享受できます。

小規模住宅でないもの

上記の小規模住宅の条件に該当しないものは、以下の計算方法で一定額の家賃が算出されます。

  1. その住宅の固定資産税の課税標準額×12%(木造以外は10%)
  2. その敷地の固定資産税の課税標準額×6%
  3. (①+②)÷12

しかし小規模住宅でない借り上げ住宅(会社が保有しているのではない住宅)の場合は、経営者が法人の支払う家賃の50%以上を支払わなければなりません。例えば家賃が毎月15万円の家ならば、7万5000円以上は経営者が負担しなければ、給与とみなされて課税されてしまうということです。そのため小規模住宅に比べるとメリットは小さくなります。

自分も従業員も社宅を利用すればかなりの節税になる

社宅の活用はうまくやれば会社の負担をまったく増やさずに、節税や福利厚生の向上を行なうことができるとても魅力的な方法です。1人社長、リモートワークしているクリエイターや、数人しか従業員を雇っていない経営者の方は、社宅の活用など考えていない人がほとんどです。しかしリモートワークだから事務所はいらない、という人でも家は必要です。その場合会社が住宅を借りて家賃を払、自分が一部だけ負担して住む、という形にするだけで節税できるのですから、利用していない人はぜひ利用を検討してみてください。知り合いに税理士などがいれば、細かい住宅の要件などを聞いてみることをおすすめします。

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