米国ギグ・エコノミー事情 労働者の34%がフリーランス

「ギグ・エコノミー(gig economy)」という言葉をご存知ですか。
もともと音楽愛好家には、ロックミュージシャンの「一夜限りのライブ」という意味で知られていた「gig」という単語は、現在では「日雇い仕事」という俗語でより知られるようになってきています。
これに「エコノミー」を付けると「空いた時間を利用したサイドビジネス」「タスク仕事で成り立った経済形態」といった意味で使われます。
アメリカ経済では、このギグ・エコノミーに頼る割合が増え続け、現在では30%-50%を占めるようになりつつあると言われています。
この経済形態では、企業は短期間の仕事を行ってくれる人をアウトソースで探して、正社員にやらせるよりも安く、その仕事を完了させることができます。

ギグ・エコノミーのWEBサービス

これらのマッチングを執り行うのは、数々のWEBサービスです。

TaskRabbit

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便利屋的な仕事を斡旋するTaskRabbit。
仕事の依頼主は企業から個人までで、家具の組み立てや、庭の手入れ、料理をしてくれる人なども、クリックひとつで見つけることができます。
https://www.taskrabbit.com/

Uber、Lyft、Sidecar

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配車サービス。「早朝に空港へ行くんだけど…」といった場合にも、オンデマンドで運転手を派遣してくれます。
https://www.uber.com/
https://www.lyft.com/
https://www.side.cr/

Shyp

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郵便局へ小包を届けるサービス
http://www.shyp.com/

Uber やShypなどのように、企業向け専用のウェブサイトを持っているところもあります。

Wonolo

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Wonoloは、中小企業専門にオンデマンドの労働力を提供しています。
サンフランシスコのチョコレートショップ「Lieu」には数人の社員しかいませんが、年末の書き入れ時には、Wonoloを通してギグ・ワーカーを招いています。「社員を増やさなくてもいいし、時間外給与を支払う必要もないから」とオーナーのウェンディは言います。
http://wonolo.com/

Crew

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クリエイティブ系のCrewは、フリーランスのデザイナーやデベロッパー、コピーライターをクライアントとマッチングするサービスを運営しています。
現在の登録者数は1000人以上。同社のウェイティングリストには、さらに3000人が名を連ねているそうです。
https://pickcrew.com/

SPONCER

ギグ・エコノミーで安定した収入を得ることはできるのか。

ギグ・ワーカーの利点は、何といっても就業時間が自由なこと、好きな仕事を選べることですが、果たしてこの就業方法だけで、十分な収入を得ることは可能なのでしょうか。

35歳(3児の母)ギグ・ワーカーのケース

昨年2014年8月16日付のニューヨークタイムズ紙は、複数のサイトに登録してギグ・ワーカーとして働いている35歳の女性(3児の母親)をレポートしています。
彼女は夜明け前に起き、子供たちが目覚める前に運転手としてひと仕事。子供たちが学校へ行っている昼間はTaskRabbitからの仕事をこなして、一家の家賃と食費を賄っています。
時には高収入を得られる日もありますが、スケジュールの不定期さと不安定な収入のために、このままギグ・エコノミー労働を続けるべきか、正規の仕事に就くべきか迷っているとのこと。

ギグ・エコノミーでは、雇う側から言えば、労働力を安く手に入れることができる。雇われる側から言えば、自由に仕事を選べるものの、社会保障も失業保険もなく、安く叩かれてしまう。
これは呼び名が変わっただけで、実際の内容は昔の内職制度とまったく変わらないではないかという意見もあります。
また、正社員として同じ仕事をしている人の中には、ギグ・ワーカーが職場に多く入ってくることへの懸念もあるようです。
ウェブサイト経由と人事課経由で職場に来た人たちが同等、あるいはそれに近い条件で働くように法律を改善しなければ、このギグ・エコノミーが将来、国の経済を破壊しかねないという危機感をもつ人もいます。

米国労働者の34%がフリーランス

今日、米国労働者の34%がフリーランス(本業以外にサイドビジネスとしてやっているフリーランスも含む)と言われていますが、米国でのギグ・エコノミーの発展には、失業率の高さという背景もあるようです。
正式な仕事が見つかるまでのつなぎとして、あるいは限られた時間にしか働けない育児中の女性や勉強中の学生、追加収入源を求める人たちがウェブサイトから簡単に1度きりの仕事を見つけられる、という手軽さは否めません。

ギグ・エコノミーの課題と日本の現状

ギグ・エコノミーに社会保障がないことについては、斡旋サイトの中にも、最低賃金を定めたり、タスクごとに労働保険をつけるなどの改善策を徐々に導入し始めているところもあります。
また、孤立しているギグ・ワーカー同士が団結することが必要だという考え方も出てきています。

ところで、まだ米国ほどギグ・エコノミーが浸透していない日本では、どうでしょうか。
終身雇用制が崩れつつある社会では、もう企業を頼りにするだけでは不十分だと唱える、堀江貴文さんのような人もいます。
しかし総体的に言って、ギグ・エコノミーのような労働形態は、独立しても仕事のできる技術を持った「優秀な人」や、企業に勤めながらサイドビジネスを営むような「やる気のある人」だけに向いている。多くの凡人は保障のある正社員に留まった方が確実だという考え方が、まだまだ主流のようです。

参考

http://www.nytimes.com/
http://www.kqed.org/
http://www.marketplace.org/
https://soundcloud.com/

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