フリーランスになると会社勤めのように厚生年金をもらうことができなくなります。
また将来に対するリスクも、会社勤め時代よりも大きくなってしまいます。
会社からの福利厚生が受けられない分の保障を自分でカバーしなければなりません。
公的年金は会社勤めの人の場合は国民年金と厚生年金の2段構造になっていますが、独立した場合は国民年金のみとなってしまいます。
独立してフリーランスとなると、収入が少なくなるというリスクと、将来の年金支給額が少なくなってしまうという二つのリスクがあるのです。
これらのリスクに対して、フリーランスの人は民間保険への加入でカバーする必要があります。
会社勤めの人にも民間保険は必要ですが、フリーランスの場合はより自分にあった保険選びが必要になるのです。
今回はフリーランスの人のための保険選びについてご紹介します。
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年収が300万円以下の人は
最低限の保障だけ!
年収が300万円以下ならば、毎月の収入は20万円台です。
フリーランスになって間もない人に多いですが、生活するのに精一杯で保険に加入する余裕などないと考えてしまいがちです。
しかしこのような人にこそ保険が必要になります。
なぜならば、いざ自分が大きな病気をしてしまったとき医療費はどこから出るのか、その間の家族の生活はどうなるのか、自分が死亡してしまったときの葬儀代はどうなるのか、などの問題があるからです。
年収300万円以下の人には、
実際に加入した場合のプランを考えてみましょう。
被保険者のAさん
30歳男性、会社勤めをやめてフリーランスになったばかり。幼い子どもがいる。
自分にもしものことがあった場合のために、死亡保障が2000万円程度の生命保険と、自分が病気になったときのための医療保険の加入を考えている。
Aさんに必要な保険プラン
・生命保険(10年定期)
死亡保障が2000万円
・医療保険
入院給付金が日額5000円
このケースで、ある保険会社のプランでは、毎月の保険料は2210円になります。
定期型の生命保険は、掛け捨てになるため保険料は戻ってきませんが、少ない保険料で万が一のときに充分な保障を受けることができます。
医療保険は、毎月の保険料は約1800円となります。
保険初心者の方は、入院一日当たり5000円の給付が少ないと感じるかもしれません。
しかし実際には公的医療制度での保障がありますので、民間の医療保険の保障としては充分と言えます。
保険料の負担は生命保険とあわせても4000円程度ですので、収入が少なくても加入することは可能です。
年収300万円〜500万円の人は
SPONCER
貯蓄型保険も加入するべき
フリーランスで働いている人の大半は、年収300万円以上〜500万円以下が多いようです。
生活に困るほど収入が少ないわけではありませんが、これでも子どもが就学する時期になると、資金的に余裕があるとも言えなくなります。
このくらいの収入の人が必要になるのは、まず終身型の生命保険と医療保険、さらに余裕があれば学資保険です。
収入が少なく保険に入る余裕がないという人は、生命保険は定期型にして保険料を抑えた方がいいですが、ある程度余裕ができたら生命保険も終身保険にすることをおすすめします。
終身型は掛け捨てじゃないため、支払った保険料は将来しっかり保険金として受けとることができます。
実際に加入するプランを見てみましょう。
被保険者のBさん
30歳男性で、来年から小学校に進学する子どもがいる。
子どもの教育資金500万円と自分たちの老後資金1000万円の貯蓄のために保険への加入を考えている。
Bさんに必要な保険プラン
・生命保険(終身)
死亡保障1000万円
・医療保険
入院給付金が日額5000円のもの
・学資保険
18年後から5年間合計500万円の学資金
この条件では、ある保険会社の生命保険のプランでは、60歳までに保険料を支払い終わるもので、毎月の保険料は18900円となります。
定期型に比べるととても高く感じるかもしれませんが、支払った保険料の総額は約680万円であるのに対して満了時には1000万円の保険金が受けとれるのですから、非常にお得になります。
教育資金の準備としては学資保険です。
学資保険とは、子どもの教育資金を積み立てるための保険です。
親が死亡してしまった場合はその後の保険料が免除されます。
上記の条件では、毎月の保険料は21200円となります。
支払う保険料の総額は約458万円で受けとる保険金の総額は500万円であるため、9%程度多くのお金を受けとることができます。
5年間受けとる契約としているため、18歳から22歳まで毎年100万円の学資金を受けとることができます。
生命保険、医療保険、学資保険まで全てをトータルにすると、毎月の保険料は5〜6万円程度になります。これはとても高いように見えるかもしれません。
しかし生命保険は終身型にしているため将来確実に戻ってきますし、学資保険も教育資金の積立に利用しています。
これらは貯蓄を兼ねているため、保険料が割高になっているのではありません。
年収500万円以上の人は
資産運用としての保険へ
フリーランスで働いていて収入が500万円以上あるという人は、かなり仕事が軌道に乗っていてある程度貯蓄もあるのではないでしょうか。
充分な収入があれば、それだけ保険選びの選択肢も増えることになります。
収入に余裕があれば、上記に加えて資産運用のための保険に加入することも考えていいのではないでしょうか。
資産運用ができる保険には低解約返戻金型の終身保険や変額保険などがあります。
「低解約返戻金型の終身保険」と言うと難しそうに見えますが、仕組みは簡単です。
解約返戻金とは、解約したときに戻ってくるお金のことです。
低解約返戻金型の場合は、保険料の納付期間が終わるまでに解約してしまうと、返戻金がかなり少なくなってしまいます。
しかし納付期間が終わると、戻ってくるお金は増えていきます。
中には返戻率が110%を超えるものもありますので、定期預金するよりもはるかに有利に資産運用することができます。
さらに高いリターンがほしい、という人には変額保険をおすすめします。
変額保険とは、投資信託に似ている保険商品で、支払った保険料が保険会社によって運用され、その運用実績によって受けとれる保険金が変わるというものです。
また保険として死亡保障もついています。デメリットは、運用実績が悪ければ損してしまうという点です。これは通常の投資信託と同じです。
また資産運用的な保険だけでなく、厚生年金がなくなった分の将来の保障をカバーするために、個人年金保険に加入することも必要です。
個人年金保険とは例えば60歳まで保険料を支払い、60歳以降10年間にわたって毎年一定の年金を受けとる、という仕組みの保険です。ある保険会社のものでは、300万円の保険料を支払ったならば、60歳から70歳までの10年間毎年約34万円を受けとることができます。
1ヶ月に2万8千円程度、受けとることができるため、生活費の足しや趣味などに使うことができます。
保険加入は自分にあった組み合わせで!
フリーランスのための保険選びについて、年収別に解説しました。
保険商品は保険料が安くて保障も最低限のものから、保険料が高くて手厚いもの、保障内容が多様なものまで様々なものがあります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分にあった加入方法を検討することが大事です。
民間保険の加入は、自分が必要と思っている保障から公的社会保障で保障される範囲を差し引いて、その残りの部分をカバーするだけのものに加入するのが基本です。
このように計算しないと、無駄な保険に加入してしまうことがあります。
みなさんもぜひ、自分のライフプランに最適化させた保険プランを探してみてください。