自宅兼事務所の家賃や光熱費は経費にできる

フリーで働いている人の中には、事務所と自宅を兼用させている人は多いでしょう。事務所を別に持っている場合は、事務所の費用を経費として明確に分けることができます。しかし兼用させている場合は、どこまでを経費にすることができるのでしょうか?できるだけ節税するためにも、プライベートな出費と仕事の出費を分ける「家事按分」の方法について、ご紹介します。

家事按分(かじあんぶん)とは?

自宅を事務所と兼用にしている場合、家賃や光熱費、通信費、減価償却費など多くの出費を経費として計上することができます。このときにどこまでを仕事用としてどこまでを生活費とするのか区別することを「家事按分」と言います。家事按分されるのは「家事関連費」です。家事関連費とは生活費と事業費を混在して請求するものです。個人事業主の行なう家事按分はそこまで厳密なものではなく、大体何割くらい、と常識の範囲内で区別されます。

この家事按分の比率は、何%という比率で決まっているわけではありません。それぞれの比率は個人事業主が自分で決めていいことになっています。しかし自分で決めていいからと言って「比率を90%にして生活費のほとんどを経費にしてしまおう」ということはできません。根拠のない無理な比率に設定していると、税務署から説明を求められたときに説明することができません。それでは具体的に、それぞれの項目ごとに按分比率の求め方を見てみましょう。

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地代家賃の家事按分

家賃の家事按分の按分比率は、賃貸か持ち家かによって経費の計上の仕方が異なります。基本的に賃貸の場合は面積に応じて家賃を按分できますが、持ち家の場合経費にすることができません。しかし減価償却費、住宅ローンの金利などは経費として計上することができます。

賃貸の自宅の場合、面積から按分比率を計算する方法と使用時間から計算する方法があります。面積から計算する方法は、自宅の何%の面積が事務所として使用されているかで、按分比率が計算されます。例えば

  • 自宅:100㎡
  • 事務所スペース:50㎡
  • 家賃:10万円

この様なケースでは、毎月の家賃のうち50%の5万円が事務所の家賃として計上することができます。一般的には30%〜60%程度を家事按分の比率とすることが多いようです。

また使用時間によって按分する方法もあります。例えば仕事に車が必要であり、駐車場を使っていたとします。駐車場は面積の100%を使用しているため、面積によって按分することができません。そこで使用時間によって按分します。業務時間中の何時間駐車しているかで、駐車場の費用を計上することができます。

電気代の家事按分

フリーランスで働いている人は自宅で作業している時間がとても多いです。自宅で作業するときに、どのような業務でも必ず使用するのが電気です。電気料金の按分は、コンセントの数で計算する方法と、家賃の按分と同じように業務時間によって按分する方法とがあります。

コンセントの数から計算する方法は、自宅にある全てのコンセントの差し込み口の数と、そのうち業務で使用しているコンセントの差し込み口の数の割合で、按分比率を計算します。例えば

  • 自宅のコンセントの総数:10個
  • 仕事で使うコンセントの数:2個
  • 年間の電気代:15万円

このようなケースでは、電気代の按分比率は5分の1、つまり20%となります。年間の電気代15万円のうちの20%ですから、3万円を電気代として計上することができます。

次に業務時間から計算する方法ですが、1週間のうちの業務時間の割合を電気代にかけることで計算します。例えば1週間のうち業務時間が25%で電気代が月1万円の場合は、
電気代のうち2500円を家事按分して計上することができます。

水道やガス代も家事按分することはできますが、電気代に比べればそれほど仕事で使わないケースが多いです。按分できるか微妙な場合は、計上しない方がいいでしょう。

通信費の家事按分

フリーで働く人にとって顧客や取引先とのやり取りなどに使うインターネット回線は命の綱です。仕事用となると回線も大きなものにする必要があったりで、意外と大きな出費となります。しかしインターネット回線は通常、仕事用と生活用とを区別せずに契約していることが多いです。そこで通信費も按分比率を計算する必要があります。

通信費の場合は、使用日数から計算する方法と、使用時間から計算する方法とがあります。例えば毎月の業務日が15日で通信費が1万円の場合は按分比率は50%となり、インターネット料金のうち5000円を経費に計上することができます。

携帯の電話料金に関しては、大体で按分比率を決めておくといいでしょう。比率は半々くらいが常識的ですが、税務署から聞かれたときに説明できるように、利用明細などを整理しておく必要もあります。

ガソリン代の家事按分

仕事で車を使っている場合は、ガソリン代も按分して計上することができます。仕事で使っていない場合はできません。ガソリン代を按分する方法には、実際の走行距離から計算する方法と、業務に使用した日数で計算する方法とがあります。

走行距離から計算する方法は、実際に走った距離と車のリッターあたりの走行距離とを記録しておく必要があります。リッター20kmの車で、仕事で走った距離が年間500kmだったとすれば、25リットルのガソリンを業務で使用したことになります。この25リットル分のガソリン代は家事按分として計上できます。

使用した日数で計算する方法では、1週間のうちどれだけ仕事で車を使ったかで計算します。業務で車を使用したのが1週間のうち5日だった場合は、按分比率は7分の5として、それにガソリン代をかけた額を計上することができます。

比率は合理的なものにする

家賃、光熱費、通信費、ガソリン代などの家事按分の方法をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。基本的にそこまで難しい計算をする必要はないのですが、どれも税務署から聞かれたときにきちんと説明できるように、合理的な比率にしておかなければなりません。無理な比率に設定して税務署からにらまれることのないように、正確に計算できるようにしておきましょう。

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