処遇改善や労働環境の改善で支給されるキャリアアップ助成金の活用方法

企業活動に対して政府からお金が支給される「助成金」には様々なものがありますが、その中でも利用できる機会が多いのが「雇用関係助成金」です。
今回は、その中でも処遇改善や労働環境の改善で支給される「キャリアアップ助成金」について解説します。

雇用関係助成金には様々な種類がある

企業がもらうことができる助成金には様々な種類があります。
たとえば起業するときにもらえる創業補助金や、売り上げが減少したときの雇用調整助成金などです。
助成金は「返済不要」なため、一定の条件さえ満たせばノーリスクで経営に活用することができます。

その中でも活用できる機会の多いものが「雇用関係助成金」です。
雇用関係助成金とはその名の通り、一定の条件を満たして従業員を雇用した際に受け取ることができる助成金のことです。
この雇用関係助成金は非常に種類が多く、厚生労働省のサイトでは数十種類の助成金が紹介されています。

厚生労働省「事業主のための雇用関係助成金」

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キャリアアップ助成金

概要

このような雇用関係助成金の中でも、もっとも利用しやすく、企業にとってもメリットが大きい助成金が「キャリアアップ助成金」です。
これは派遣社員・契約社員・パートなどの非正規雇用者を正規雇用へ転換することや、人材の育成、短時間正社員制度の導入などの、労働者の処遇や労働環境の改善を行った場合に利用することができる助成金です。

キャリアアップ助成金には以下の6つのコースがあります。

  1. 正規雇用等転換コース
  2. 多様な正社員コース
  3. 処遇改善コース
  4. 健康管理コース
  5. 人材育成コース
  6. 短時間労働者の週所定労働時間延長コース

対象企業

キャリアアップ助成金を利用できるのは中小企業です。
業種によって資本金・常時雇用労働者数に条件が規定されているのですが、IT関連の業種などでは資本金3億円以下、常時雇用労働者が300人以下となっています。

コース別の助成金

キャリアアップ助成金には6つのコースがあると紹介しましたが、助成金の額や条件はコースによって異なります。
それぞれ見ていきましょう。

正規雇用転換コース

これは有期契約労働者などを正規雇用に転換、もしくは直接雇用した際に助成金が支給されるコースです。
助成金の額は以下のように設定されています。

  • 有期雇用→正規雇用:1人あたり50万円
  • 有期雇用→無期雇用:1人あたり20万円
  • 無期雇用→正規雇用:1人あたり30万円

対象となる労働者や事業主には細かな条件がありますが、6ヶ月以上雇用している有期・無期・派遣労働者が対象で、これらの労働者を転換前よりも5%以上昇給させ雇用保険・社会保険に加入させる、などがあります。
つまりは正社員に転換することで、処遇も正社員並にすることが主な条件になります。
これらの条件をクリアし、助成金の「支給申請書」を作成、二ヶ月以内に提出することで、助成金を受け取ることができます。

多様な正社員コース

このコースは、勤務地限定社員・職務限定社員制度を新たに新設して適用した場合、有期契約労働者等を勤務地・職務限定・短時間正社員に転換した場合、正規雇用労働者を短時間正社員に転換、もしくは短時間正社員を新規雇用した場合に適用されます。助成金額は以下のようになっています。

  • 勤務地・職務限定社員制度の新たな規定・適用:1事業所あたり40万円
  • 有期・無期→勤務地・職務限定社員・短時間正社員:1人あたり30万円
  • 正規雇用労働者→短時間正社員に転換、短時間正社員の新規雇用:1人あたり20万円

対象となる労働者は6ヶ月以上雇用している労働者です。
労働者の雇用形態は多様になっており、旧来のような長時間労働や全国転勤が難しい、もしくはやりたくないという人も多くいます。
また企業も多様な雇用形態を適用することで、労働環境を改善させ、従業員の職務への姿勢を改善させ業務効率を向上させるという目的を達成することができます。
従業員を雇用するにあたって、自由な働き方を実現できる、というPRもできるでしょう。

処遇改善コース

一部の有期雇用労働者を対象として賃金を2%以上増額、昇給させた場合に助成されるのが、処遇改善コースです。
処遇改善コースでの助成金額は以下のように設定されています。

  • 有期契約労働者のすべての賃金テーブル増額:1人あたり3万円
  • 有期契約労働者のすべての賃金テーブル増額:1人あたり1.5万円

対象となるのは3ヶ月以上雇用している有期契約労働者で、賃金改定によって2%以上基本給が増額している労働者です。
改定した賃金テーブルは6ヶ月以上運用しなければなりません。
助成金の支給額は少額であるためその他の助成金に比べれば、魅力は少ないかもしれません。
しかし、対象となる労働者の賃金を増額させるときには、ぜひ申請するといいでしょう。

健康管理コース

有期契約労働者等を対象として法定外の健康診断精度を新たに創設し、4人以上に実施した場合に助成されるのが健康管理コースです。
助成金額は以下のように設定されています。
1事業所あたり40万円(1回のみ)
対象となる労働者は、有期契約労働者でありその事業所において雇用保険の対象者であることが条件になります。
4人以上に健康診断を行いその費用を負担し、助成金の申請をすることで、40万円の助成金を得ることができます。

人材育成コース

人材育成コースでは「一般職業訓練」「有期実習型訓練」「中長期的キャリア形成訓練」「育児 休業中訓練」の4つの訓練を行った場合に、助成金が支給されます。
支給される額は、通常の生産活動以外の場で行われる訓練(Off-JT)と生産活動の現場で行われるOJTとで異なります。

  • Off-JT賃金助成:1人1時間あたり800円
  • Off-JT経費助成:100時間未満「〜15万円」200時間未満「〜30万円」200時間以上「〜50万円」
  • OJT:1人1時間あたり700円

訓練の種類によって時間数などが規定されており、事業主は訓練の開始の一ヶ月以上前に「訓練計画書」を作成・提出する必要があります。
対象となる労働者は、有期契約労働者もしくは派遣社員です。
訓練の終了後二ヶ月以内に助成金を申請する必要があります。
これはOff-JT、OJT共に時給の大部分が助成されますので、社内の非正規雇用の労働者に仕事に関わる訓練を行う場合はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

短時間労働者の週所定労働時間延長コース

1週間の所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等を、労働時間30時間以上に延長した場合に助成されるのがこのコースです。
助成される額は以下のようになっています。

1人当たり10万円

対象となる労働者は有期契約労働者であり、労働時間延長の措置がとられる前日までの6ヶ月間にわたって週の平均労働時間が25時間未満と設定されて雇用されており、その6ヶ月間社会保険の適用を受けていなかった労働者です。
従業員にこの制度を適用後6ヶ月以上雇用する契約を結んでおり、そして雇用保険・社会保険に加入させた場合に限って、助成金が得られます。
助成金額は少額であり、適用できるケースも少ない助成金ですが、制度のことだけでも知っておけば、いざこの条件が発生したときに役立てることができるでしょう。

必要手続きを調べておくといつでも使える

雇用関係助成金は多くの種類があり、その中でもキャリアアップ助成金は非常に魅力的な助成金です。
対象となるのは主に非正規雇用者ですが、処遇・環境の改善によって補助金がもらえるだけでなく、従業員の仕事への意欲が増して、さらに業務効率が上昇するというメリットも期待できます。

デメリットとしては適用できるケースが限られており、条件や手続きが細かいことでしょうか。
しかし、これも事前に調べて知っておけば、いつでも制度を利用できます。

細かい条件などは厚生労働省のサイトから確認してみてください。

厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」

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