スマホの充電切れは、小さな充電器が解決

スマートフォン使用者への最近の調査によると、ユーザーがスマートフォンに一番望むのは、大きな画面でも、高性能のカメラでもありません。それは、長く続く電池の寿命だそうです。
どんなに便利なデバイスも、外出先で電池が切れたり、前夜充電を忘れてしまったのでは役に立ちませんから、これはかなりうなずけます。

1分以内でフル充電可能

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出典:http://store-dot.com

イスラエルのスタートアップ企業StoreDot社のナノテクノロジー(Nanotechnology)を使った電池は、1分以内でスマートフォンの充電が可能です。
これならスマートフォンのバッテリー切れも、その場で解決できます。
同社の電池は、従来のスマートフォンの電池ほど長持ちしませんが、短い充電時間はそれをカバーして余りあると同社は主張しています。
実はStoreDot電池は、テルアビブ大学のナノテクノロジー科でのアルツハイマー病の研究成果から生まれたものなのです。
研究者たちは、あるペプチド分子に、アミノ酸の鎖を見つけました。
それが脳の神経細胞に影響を与えて、アルツハイマー病の原因になるのです。
これらの分子は電荷を保持する能力である、高い静電容量を持つことが判明しました。
これらの分子2つが結合されると、サイズが2ナノメートルの結晶を作りだします。
この「ナノドット」が、StoreDot社の技術の基礎を形成しています。
その高められた静電容量で、電荷を急速に吸収して保持することができる電池を作ることができるのです。

「充電器自体は通常の充電器ではありません。1分で充電するためには、40/50から80ampの電流を電池に送り込まなければなりません。通常の充電器ではそれを行うことはできないので、私たちは非常に強力な充電器を開発しなければなりませんでした。それも価格的に高すぎず、ポケットに入るサイズで」
とStoreDot社CEOのマイエスドルフ氏は語ります。

エレクトロニクス業界は現在、タブレットからウェアラブルまで、バッテリー充電の長さに焦点を当てています。
どんなに便利なデバイスでも、たびたび電池が切れたのでは使いにくいからです。
ですから新しい形のバッテリーの出現は常に関心を集めます。
電話の役割が会話から、テキスト送信やビデオクリップのスクリーニングへ拡大するにつれて、電池への需要も急激に増加してきました。
ユーザーは、画面の明るさを落とし、機内モードに切り替え、Wi-Fiをオフにし、背景に流れるアプリをシャットダウンして、バッテリーを節約するように勧められています。
StoreDot社の新しいバッテリー自体は長い寿命を持っていません。
StoreDot電池は、現時点では、標準的なスマートフォンに比べて約3分の1短い寿命です。
つまりこれは、StoreDot電池のヘビーユーザーは、日中1回は充電しなければならないことを意味します。
しかし、マイエスドルフ氏は調査を引用して

「現在でもスマートフォンのヘビーユーザーの6割は、毎朝充電器をもって家を出る」
と言います。
2018年までに、StoreDot電池の寿命は、使用頻度にはよるものの、現在のスマートフォン電池同様に、終日もつようになると言われます。
製造業者たちがStoreDot技術を採用した場合、スマートフォンの価格は30ポンド(約5,300円)ほど上がるだけだそうです。
現在、約15のスマートフォンメーカーが、StoreDot社との打ち上げ契約に署名したいと協議中です。
これまでのところ同社は、サムスン、チェルシーフットボールクラブのオーナー、ロマン・アブラモビッチを含む複数の投資家から、4千8百万ドル(約57億1千5百万円)の投資を受けています。

電気自動車も5分で充電可能

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出典:http://store-dot.com

スマートフォンに使われている、StoreDot社の技術を使えば、電気自動車も5分で充電できると言われます。
5分間の充電で走れる距離は150マイル(約241キロメートル)だそうです。
またこの技術は、コンピュータやスマートフォンの画面をより明るくすることにも使えます。
スマートフォン市場は年間10億台以上を販売しており、バッテリー切れへの心配解消は、有利なビジネスだと言えます。

JUMP CABLE

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出典:http://www.nativeunion.com/

StoreDot以外にも、バッテリー切れを解消する製品は色々あります。
Native Union社 のJUMP CABLEは、5センチ四方で、重さは40グラム。
ポケットに収まるサイズのコンパクトな充電器です。
充電器とケーブルが一体になっており、USBケーブルとしてスマートフォンに充電後、自動でUSBポートから自己充電するので、充電器はいつでも満杯です。
出先でスマートフォンのバッテリー切れが迫ったら、これで最高3時間までブーストすることができます。

ZAP&GO

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出典:https://www.zapandgocharger.com/

バッテリーの代わりに、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電量が著しく高められた、電気二重層コンデンサを使った高速充電器のZAP&GO chargerもあります。
この充電器はスマートフォンを5分以内で充電します。

AMPL LABS

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出典:http://ampl-labs.com/

それでも外出が心配な人には、AMPL LABSが充電システムを組み込んだバックパックを作っています。
充電時のコードの絡まりを解消するために、1本のパワーケーブルですべてのデバイスを充電できるようになっています。
複数のバッテリーパックを搭載でき、どのポケットのUSBコネクタからでも充電できます。
さらに拡張バッテリーを使えば、ラップトップの充電も可能です。
内蔵の18.5Whバッテリーはスマートフォンなら3回、小さなタブレットは1回充電できます。
バッグ内蔵のバッテリーは高速充電技術を使用しており、通常より2.5倍速く充電して、通常より2倍長く持ちます。
ファスナーを開けずに、充電状況をアプリからコントロールできる便利さももっています。


ここにご紹介した以外にも、バッテリー切れを解消する製品は色々工夫されています。技術の進歩は目を見張るばかりですが、それらを自分らしく生活に取り入れていくことは、私たち一人一人が工夫できることでしょう。

参考

http://www.theguardian.com

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