いよいよはじまったマイナンバー制度ですが、マイナンバー制度の導入はフリーランス(個人事業主)の方にも様々な面で影響が出ると言われています。
マイナンバーの導入で国民の情報がすべて一元化されるという声も聞きますが、実際にヒモづけられる情報は限られています。
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マイナンバー制度による個人への影響
2015年10月から番号の通知がはじまったマイナンバー制度ですが、まだその仕組みをよく分かっていない人も多いと思います。
マイナンバー制度は主に「行政手続きの簡略化」「個人所得の正確な把握と課税」を目的として導入された制度です。
これまで別々に管理されていた情報がマイナンバーによってヒモづけられることによって、課税所得が正確に把握されるようになります。
制度についての詳しい内容については、以下の記事を参考にしてみてください。
「マイナンバー制度がもうすぐスタート!事業主が気をつけたい3つのポイント」
さて、2016年から本格的にはじまるマイナンバー制度ですが、制度の内容を正確に把握している人が少ないことから「個人の所得がすべて把握される」「会社に副業がバレる」「収支や資産がすべて政府に把握される」などの情報が氾濫しています。
しかし実際には、マイナンバー制度によって管理される情報は社会保障と税金の領域に限られています。
まず、2015年から、マイナンバー制度によってヒモづけられる情報は「マイナンバー」「氏名」「生年月日」「性別」「住所」の基本的な個人情報のみです。
ここからさらに2016年からは「収入・所得」と「雇用保険」が、そして2017年からは「健康保険・年金」の情報が加えられます。
これらの情報がマイナンバーで一括管理されることによって、年金からの徴税の漏れや確定申告せずに納税を回避している所得などが簡単に発見されるようになります。
ただし、マイナンバーの用途は限定されており、金融資産や不動産などは対象外となっています。そのため、すべての資産が政府に把握される、というのは誤りです。
マイナンバーで会社に副業がバレるのか?
マイナンバー制度でも副業はバレない
将来的にフリーランスとして独立するために、本業とは別に副業をしているという人にとって「マイナンバーで副業が会社にバレるのか?」という問題が心配だと思います。
ネット上でもマイナンバーで副業がバレるような書き方がされている記事も多いですが、結論から言うとマイナンバー制度の導入によって副業が把握される流れが変わることはありません。これまでバレなかった人はこれからもバレないですし、バレる人はこれまで通りバレます。
そもそも「副業が会社にバレる」のはなぜでしょうか?
簡単には副業の所得にかかる住民税が本業の会社に請求されることによって、会社が住民税を多く支払うことになり、会社が副業の存在を疑う、というのが副業がバレてしまう原因です。
具体的に解説します。
会社がAさんに300万円の給与を支払った場合、市役所に「給与支払報告書」を提出します。
Aさんが本業しかしていなければ、市役所から300万円の所得に応じた住民税が会社に請求され、それが会社から支払われることになります。
しかし、Aさんが副業で100万円の所得を得ていた場合、この100万円は確定申告によって市役所に把握されます。
そして、その100万円の分の所得が、会社に請求されてしまいます。
つまり会社は400万円分の所得に応じた住民税を支払うことになるわけです。
このプロセスで会社に副業の存在がバレてしまうのですが、確定申告するときに「普通徴収」を選択すれば、住民税の請求も自分で行なうことができ、会社バレを防ぐことができます。
この仕組みはマイナンバーが導入されても変わりませんので、これまでこの方法で会社にバレていなければ、これからもバレないと考えていいでしょう。
ただし、最近では普通徴収を廃止し、住民税を会社に一括で請求する「特別徴収」のみに切り替えている自治体もありますので、この点は注意が必要です。
無申告は確実に把握されるようになる?
確定申告は専業の場合で38万円以上、副業で20万円以上の所得があった方に義務づけられています。
副業といってもたまにやる程度で、これまで確定申告をしてこなかったという人は、これからは注意が必要です。
副業をして相手から報酬を得た場合、相手の事業者は税務署に支払調書を提出します。
この支払調書には支払う相手のマイナンバーを記載するため、誰が報酬を得たのかが簡単に把握されてしまうのです。
その報酬を得た人間の所得が20万円以上あって確定申告していなかった場合、それは課税逃れとみなされて追徴課税されるかもしれません。
副業の所得が確定申告のギリギリのラインである方は、正確に把握して申告漏れのないようにしましょう。
副業でもマイナンバーが収集される?
先ほど少し触れましたが、副業であっても取引先にはマイナンバーを提供する必要があります。
相手から報酬を受け取る場合は、相手の会社に番号を提供し、また自分が支払う必要がある場合は、相手からマイナンバーを教えてもらう必要があります。さらに副業でも従業員を雇う場合は、マイナンバーを収集し本人確認する必要があります。
手続きの手間は増えますが、漏れの無いように行ないましょう。