確定申告をしないと損をする

確定申告は何度やっても面倒なものです。しかし、確定申告は面倒だからといって申告しないと、様々な面で損をすることになります。今回は確定申告はなぜやらなければならばいのか、やらなかったらどのようなことが起きるのか、解説します。

確定申告の仕組み

会社員の方の中には、自分がどのようにして税金を払っているのか、ちゃんと把握していない方が多いです。それは会社が源泉徴収・年末調整という仕組みで、税金を代わりに計算して支払ってくれているからです。しかし、自分で事業をはじめて個人事業主となれば、きっちり自分で計算して支払わなければならなくなります。自分で支払う必要があるのは、所得税・住民税です。

確定申告では1年間でどれだけの収入があり、どれだけの経費がかかり、どれだけの所得が出たのかを明らかにします。所得から各種控除を差し引いて、最後に残ったのが「課税所得」であり、課税所得にその額に応じた所得税率をかけて支払う所得税が算出されます。これが確定申告の簡単な仕組みです。

多くの個人事業主にとって、確定申告は面倒な作業です。確定申告するにあたって帳簿をつけなければなりませんし、申告手続きをしなければなりません。副業で収入も少ないから申告しなくてもいいや、と考える方も多いです。しかし、確定申告を行わないことは脱税行為になりかねず、あとから追徴課税という形でより多くの税金を支払うはめになります。また場合によっては、税金を知らないうちに必要以上に多く支払ってしまっていることすらあります。

確定申告しないことで税金を多く支払ってしまうケース

多くのフリーランス(個人事業主)として働いている方は、取引先から報酬を受け取るときにすでに源泉徴収されていることがあります。基本的に企業であっても個人事業主であっても、なんらかの事業を行っていて報酬を支払う必要が出た場合は、該当する所得税を差し引いた上で報酬を支払う必要があります。現在フリーランスで働いている方は、自分が報酬を支払う側になることも、報酬を受け取る側になることも、両方あると思いますが、今回ポイントとなるのは報酬を受け取る側になった場合の問題です。

報酬を受け取る場合、相手が企業であれ個人事業主であれ、源泉徴収された上で報酬が支払われているわけですが、源泉徴収とはあくまで概算で所得税が差し引かれるという制度であり、厳密に計算して支払っているわけではありません。たとえば、企業ならば法人税を支払うときに、1年間の売り上げから経費を差し引き、利益を出し、そこから控除を差し引いて、残った部分に法人税率をかけて支払う法人税額を算出します。個人事業主も同じで、売り上げ(収入)から経費を差し引くわけですが、クリエイター職の場合は売り上げ(収入)の大部分もしくはすべてが、取引先からの報酬であるケースがあります。クリエイターは自分で商品を販売するわけではなく、取引先から仕事を受注しそれを納品するだけのことが多いからです。

単純に考えるために、すべての収入が取引先からの報酬であったと仮定しましょう。そのようなケースでは、取引先から源泉徴収された報酬が支払われているわけですが、このとき問題が発生します。源泉徴収は報酬額に応じて概算で税額が計算されているのであり、厳密な計算に基づいていないという点です。会社員の場合は、毎月の給与支払時の源泉徴収は概算になっていても「年末調整」の仕組みによって、支払いすぎた税金は還付され、不足分は徴収されます。しかし、個人事業主の場合は会社が年末調整の手続きを行ってくれることはありません。そのため、所得税を支払いすぎていても、その分を自分で計算していなければ還付されないどころか、支払いすぎているという事実にすら気付けないのです。

自分で確定申告を行うことで、1年間の収入と経費がどれだけで、どのような控除が適用でき、課税所得はどれだけになるのかを計算すれば、自分が所得税を支払い過ぎているか逆に不足しているか明らかになります。確定申告は国民としての納税義務を果たすためだけではなく、節税のためにも必要なのです。

申告しなかったらばれてしまった、、その理由

確定申告を行わないことは、あとから追徴課税されるケースがあると書きました。しかし、たとえば知り合いの仕事を手伝って直接報酬を手渡しで受け取った場合など、報酬を受け取ったこと自体バレないのではないか、と考える方もいます。しかし、このような考え方は危険です。たとえ直接の取引でも、収入の存在はバレてしまうことが多いのです。

なぜ現金の手渡しのような直接の取引で、確定申告をしなくても、収入の存在がバレてしまうのでしょうか。それは自分が申告しなくても、相手は報酬の支払いを「支払調書」に記載するからです。支払調書とは、たとえば会社が税理士などの士業の方や、ライターやデザイナーなどのクリエイターに報酬を支払ったことを証明するために作成される法定調書です。会社も個人事業主も、事業を行っている以上お金の移動のプロセスを明確にしなければならないため、誰にどれだけのお金を使ったのか、はっきりと記録し税務署に届け出ます。支払調書もその一つなのです。支払調書には支払った相手のことや、いくら支払ったのかということが記載されて税務署に提出されるため、自分が申告しなくても自分にお金が支払われたことが分かってしまうのです。また、今後は取引先にもマイナンバーを通知することが義務づけられ、法定調書にもマイナンバーが記載されるようになります。そなれば、よりお金の流れを追うことは簡単になっていくでしょう。

まずは目先の面倒さや納税回避に向かうのではなく、一度手続きを行ってみて、自分でお金の流れを把握することからはじめてみてはいかがでしょうか。

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