リモートワークの課題と懸念

調査に参加した500社の企業の96%がリモートワークを許可している

グローバルデータの保管と、情報セキュリティのImation Corp社の最近の調査によると、リモートワークの人気の上昇に伴って、データ漏洩への懸念が高まっているようです。
英国とドイツのIT企業500社を対象としたこの調査では、参加した企業の96%が従業員にすでにリモートワークを許可していると回答しています。
そのうちの98%が、リモートワークは組織にとって有益であると述べています。
このうちの5社に3社は、リモートワークが従業員のモチベーションを高めたとしており、その理由には、62%がフレキシビリティを挙げ、61%が従業員が複数の場所から働けることで生産性が上がったとしています。
リモートワークの仕事場所については、家から働く人が62%、BYOD*が51%、VDI*が 46%、顧客先から働く人が32%だそうです。

* BYOD: Bring your own device – 私的デバイスの活用
* VDI: Virtual Desktop Infrastructure – デスクトップ仮想化

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92%の企業がリモートワークは何らかの問題を引き起こすと考えている

状況はこのようにリモートワーク志向にシフトしているとはいえ、企業がリモートワークの導入を考える際に、データ漏れとビジネスコストが一番大きな課題で、92%の企業がリモートワークの導入は何らかの問題を引き起こすと考えています。
さらにこれらの問題点について掘り下げてみると、回答者の3分の1が、リモートワークではデータセキュリティが一番心配だと強調しています。
その半数以上が、デバイスを置き忘れたことによるデータの喪失、61%がインサイダーの脅威、およびリモートワーカーがデータ漏洩で組織にリスクを与えることへの懸念を挙げています。
従業員が社外へ持ち出すデータをトラックすることは不可能だと組織の42%が認めていること、31%の従業員が情報を印刷したり、27%がファイルを自分向けにメール送信するなど、潜在的に安全ではない方法をとっていることから考えれば、これは驚くには値しません。

基本的なセキュリティ対策もあいまい

リモートワークの人気の高まりに反し、調査参加者の67%が、従業員がリモートで働くために社外へデータを持ち出して、組織のセキュリティルールを破っていると答えています。
しかし、回答者の54%は、従業員が組織から日常的に持ち出している機密情報や貴重な企業データは、優れたITセキュリティポリシーを介せば、守ることができると信じています。
現実には、回答した41%の組織が現時点でITセキュリティを考慮したリモートワークポリシーを持っておらず、ITプロセスを介したポリシーを実施している/実施しようとしている企業は21%しかありません。

リモートワーク導入にかかるコスト

リモートワークのもうひとつの主要な課題は、リモートでの作業を可能にするための技術を企業が提供するのにかかるコストで、45%がこれを懸念しています。
すでにリモートワークを許可している企業のうちの99%は、従業員にリモートワークを可能にするためのテクノロジーを提供しています。
普通、オフィスからファイルを持ち出すのに使われるのはラップトップですから、リモートワークにかかるコストが心配されるのは驚きではありません。
欧州では、昨年の英国の法律改正が、より多くのオフィス労働者にリモートワークを現実のものとしました。
リモートワークは近い将来、ほとんどの組織の標準になるだろうと、61%の人が感じています。

安全性への意識改善

IronKeyの欧州・中東・アフリカおよびアジア太平洋地域担当副社長のニック・バンクス氏は、「企業がリモートワークを擁護することは大切だが、データセキュリティを管理して、データを保護するポリシーを実装することが最優先事項であるべきだ」と述べています。
「従業員にリモートワークを許可することは利益があるが、リスクへの高いコストが、依然として多くの企業にリモートワークを導入し難いものにしている。企業は社外に持ち出されるデータの種類や量に十分な注意を払っていない。従業員が家に仕事を持ち帰るために、会社のルールを破っていることは承知していても、不完全なセキュリティシステムと、企業データを守ることへのナイーブさが、企業をデータ漏れの危険にさらしている」と語っています。

この調査結果は、複数のメディアで報じられていますが、中には「ほとんどの企業は、まだリモートワークのための準備ができていない」というサブタイトルの付いたものもあります。
基本的なセキュリティ対策すら取られていないのでは問題がありすぎますが、準備ができるまで待たずに、よい潜在性のあるものに飛び込んだ会社は、この先それを改善していく方向へ向かうのでしょう。

参考
http://www.net-security.org/secworld.php?id=19151
Image credit: Luke Chesser via unsplash

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