ミュージシャンの為のコワーキングスペース

1999年をピークに、音楽業界は大幅に変わりました。ミュージシャンは今ではYouTube、 Bandcamp、 Soundcloudなどのデジタルプラットフォームを使って、自らの音楽をプロモートしています。多くがクラウドファンディングを使って、アルバムの録音、ツアーの資金集めをしています。いかに革新的で成功しているとはいえ、クラウドソーシングは今やプロジェクトや資金集めをする人々で充満しています。オンラインのプラットフォームを使っている何百万人もの人と競争するためには、協力的なコミュニティを持つことが成功への鍵かもしれません。
米国コロラド州フォートコリンズのCohereコワーキング の創設者エンジェル・クヴィアトコヴスキさんとコミュニティコネクターのジュリー・サターさんは、ミュージシャンのためのコワーキングスペース Cohere Bandwidthを計画し、2年半の歳月をかけて2015年6月にオープンにこぎつけました。音楽リハーサルの設備を持つ2部屋は、オンラインでブッキングが可能です。

「ここに来るまでに長い時間がかかりましたが、それだけのものができました。ロケーションも最高です」とエンジェルさんは語ります。1時間のリハーサル料は$20(約2,300円)、月額$145(約16,900円)で8時間の使用も可能です。

計画から最初の1年半、Cohereチームはコミュニティを作り、資金を集め、ミュージシャンたちが自分たちだけのスペースを与えられたら、いったい何を望むだろうと考えました。新しいスペースは、閉鎖されたドラム&パーカッションストアに設置され、この建物をアーティスト集団のThe Downtown Arteryが共有しています。

ミュージシャンのためのスペース

Cohere Bandwidthが作られたきっかけは、ある日、エンジェルさんの友人たちが、楽屋の共有ストレージに置いておいた2万ドル(約234万円)相当の機器を盗まれたことに始まります。「あの一件が、素晴らしい音楽を作るために、私たちの町に安全で手ごろな価格のスペースをミュージシャンのために作ろうと思ったきっかけです」と、すでにコワーキングスペースを経営していたエンジェルさんは説明します。
ミュージシャンのためのCohere Bandwidthは、コワーキングスペースのニッチなカテゴリーに属しますが、ジュリーさんはそれがコワーキングコミュニティ全体の重要な部分となっていることを強調します。「ここに参加する全員に、自分がCohereの大きなコミュニティの中にあることを知ってもらうことが大切です。もちろん、防音など設備的な違いはありますが、全体が一つのコミュニティなのです。」

コミュニティの構築

過去にCohereチームは、いくつかのフィールドワークを行いました。 ガレージや居間でのバンドのリハーサルに出席して、フォーカスグループや地元のミュージシャンと定期的にコミュニケーションをとったのです。ジュリーさんは「私たちが作っている〝入れ物″が有用で、彼らのニーズに応えるものにしたかったから」と説明します。彼女はまたCohere Bandwidthをオープンするために必要な家賃を調達するために、クラウドソーシングも組み合わせました。
「幸いにも、家主さんが、暖房や換気、空調のインフラの大部分を支払うことに合意してくれただけでなく、部屋の構築費も出してくれたので、それ以上の資金集めはしなくて済みました。」ジュリーさんは、地元のアートギャラリーDowntown Arteryとのパートナーシップで、より大きなコミュニティを作ることができたと話します。
実地の調査と、請負業者や専門家と会うことを通じて、Cohereチームは、音楽コワーキングスペースに不可欠な防音など、コミュニティの特別なニーズを理解していきました。

ミュージシャンがコワーキングから得られる利益

共有されたリハーサルスペースは、ミュージシャンにとって新しいものではありません。それは、これまでにもしばしば、彼らを素晴らしい音楽のコラボレーションに導いてきました。しかし、コワーキングの要素を共有スペースに加えることによって、ミュージシャンたちはネットワークして、音楽のレベルを超えて仕事に貢献する人々と出会える機会を持てるようになったのです。
「私たちの希望は、通常のコワーキングコミュニティと、リハーサルスペース・コミュニティ間のクロスオーバーを作り出すことです。そして、内部の学びがより広範なトピックや、クロスコミュニティの視点を含んで、拡張することができるようになることです」とジュリーさんは語ります。
ミュージシャンたちは、新しいアイデアに肉付けすることができる、サポートネットワークを持つことに加え、リハーサルスペース、パフォーマンス会場、ワークショップ、訪問アーチストの宿泊施設などのリソースへのアクセスも得られます。「Downtown Arteryを含めて、Cohere Bandwidthと私たちの Cohereオフィスのコミュニティ全体のオープンハウス・イベントも企画しています。」とエンジェルさん。通常のコワーキングスペースの方は、1日24時間利用可能だそうです。彼女自身は「午後8時以降、午前6時以前は仕事にならないとはいえ、世の中には夜中にもいい仕事のできる人がいるはずだから」というのがその理由だとか。
Cohereチームは、ミュージシャンが他の方法では入手できないようなツールや楽器も提供しようと考えています。「彼らにそれらを実験させて、成長してもらいたいと思っています。それがスペースの価値も高めることになるからです」とジュリーさんは結んでいます。

参考
http://www.deskmag.com/en/coworking-spaces-for-musicians-cohere-bandwith-904
http://coherecommunity.com/blog/tag/cohere-bandwidth
http://coherecommunity.com/
http://www.downtownartery.com/about/

Image Credit: Derek Truninger via unsplash

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