フリーランスの語源と、それが私たちをハッピーにする理由

リモートワーカーの中には多くのフリーランサーがいます。今日広く使われている「フリーランス」という言葉は、いったいどこから来たのでしょうか。Deskmagに寄稿しているジム・ブラックストックさんは、ある日P.G. ウッドハウスの短編The Inferiority Complex of Old Sippyの中に「he was what they call a free-lance, bunging in a short story here and a set of verses there and generally enjoying himself (彼はフリーランスと呼ばれ、短編小説や詩を売って、楽しく暮らしていた)」という文章を見つけます。ここで「フリーランス」は”free-lance”とハイフンを使って綴られています。

この「フリーランス」という言葉がいつから使われ出したのか、インターネットで検索すると一様に、この言葉が最初に印刷物に現れたのは1819年のサー・ウォルター・スコットの著書Ivanhoe であるという回答が出てきます。そこではこの言葉は「傭兵が落札者に彼の作品と武器を提供する」という文脈で使われています。しかしこれらの記述はみなウィキペディアを元にしたものです。ブラックストックさんはそれだけでは満足せず、さらに検索を続けることにしました。

Google Books のNgram viewer では、書籍の大規模なデータベースを検索することができます。グーグルのこのライブラリープロジェクトは、出版社や著者の権利を保護しつつ、古くて稀な、絶版書籍の検索が誰にもできるように作成されています。本質的にはヴァーチャル・カードカタログですが、クールなのはこのNgram viewer です。Ngram viewerはデータベース内の書籍に関連して、過去数百年にわたって、関連する単語の使用や頻度を比較し、チャート化することができます。

ブラックストックさんが “free lance”、”free-lance”、”freelance”の3語を入力すると、過去500年間に、それぞれの言葉がどう進化してきたかを表す3本の波線チャートが現れました。
Google Books が見つけ出した、この言葉の最初の使用例は、Ivanhoeより100年以上も前の1716年でした。データ内の多くの本は著作権の関係で閲覧できなかったものの、1809年にトーマス・ブラウンによって書かれた The Life and Times of Hugh Miller が”free lance”という言葉を、これも傭兵の文脈で使っていました。

どうやら「フリーランス」という言葉の起源は、当時の傭兵の「自分の仕事をバイヤーに売る能力」ツールと関係しているようです。18世紀には、傭兵というアイデアはすでに新しいものではありませんでしたが、彼らが利用できるツールを記述した言葉は、本の印刷費が下がるにつれて人々に浸透していったようです。それはちょうど今日コワーキングスペースへ足を踏み入れると、インターネットアクセス、ソフトの詰まったノートパソコン、ぎっしりデータの入ったスマホなど、フリーランサーのツールが目に飛び込んでくるのと同じです。

過去同様、今でも彼らの仕事と武器が、フリーランサーを形作っているのです。今では世界中で多くのフリーランサーが「独立していながらも、繋がっている」コワーキングを武器として選んでいます。

2語に分けて綴られた”free lance”は1800年初頭、他のどの綴りよりも多く使われていました。それが1920年代には、ハイフンで繋いだ”free-lance”にとって代わり、1970年代になると”freelance”と綴られるようになりました。時間の経過とともに、私たちは単語を合理化してきたのです。

今では私たちは、ブリーフケース1つでオフィス全体を運ぶことができます。コンテンツをデジタル化することによって、物理的なワークスペースも簡素化しています。これも合理化の流れです。

ところで、1930年代にP.G. ウッドハウスが、幸せに暮らしているフリーランスライターを記述した頃には、フリーランスはすでにかなり一般的なアイデアとなっていました。一般的にフリーランサーは、伝統的な労働者よりもハッピーで、自分の仕事に対してよい感情をもっているものですが、それはどうしてでしょうか。「フリーランス」という言葉自体の中に、その理由を見つけることができるかもしれません。

“free”という単語は、「愛する」ことを意味する、ゲルマン起源の語幹から来ています。そして”lance” は、古いフランス語の launchに関連し、「投げる」ことを意味します。この概念は、2通りに解釈できそうです。フリーランサーは「自分の好きなことに身を投じて、自己の創造性を仕事に費やすことができるので幸せだ」。または、彼らは「愛をもって仕事を想像し、それを他の人たちが活用できるように世界に発信する」。解釈はどうあれ、このタイトル通り「フリーランス」は本質的に仕事で幸せになれる労働形態のようです。

「フリーランス」という言葉は当初、傭兵を記述するのに使われましたが、歴史を通じて労働者たちも、自分の可用性やスキルを売っています。ツールが変わっただけで、現代でもフリーランサーは、誇りと充実感のために自分の労働を売っています。もちろんこれは平坦な道ではありません。ですからもしフリーランサーとして行き詰った時には、この言葉のルーツを思い出してみてください。そして自身を、愛することに再投入してください。あなたの情熱は、製品や幸福の質に必ず反映されるでしょう。

参考
http://www.deskmag.com/

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