リモートワーカーが継続的に仕事を受注するためにやるべきこと

前回、「実は、名刺交換の後、あなたの名刺は捨てられている。」という記事を寄稿しました。
「名刺交換は意味がない」と感じた方もいるかもしれませんが、熟読していただくと、「名刺もプレゼンテーションの一部であること」また、「自分がどのようなスキルを提供できるか」ということが一目でわかるようにし、クライアントの心証に残るようなデザインにしないと、そのまま捨てられてしまう可能性すらあること」
この2点についてご理解いただけたかと思います。

極端なことを言えば、名刺が捨てられたりしなくても、クライアントサイドで案件が発生した時に自分のことを思い出してくれないとしたら、名刺交換をした意味がないということです。

そのため、前回寄稿した記事では、名刺の中で、自分が提供できるスキルが明確にし、案件発生時に、あなたのことを思い出してもらえる方法にフォーカスを絞ってお話させていただきました。

とはいえ、あんな小さな紙に、自分が持っているスキルの全てを書き連ねるのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、リモートワーカーとして長く仕事をしていると、「おそらくこの仕事は対応できると思うが、自分の専門から少し外れる」という案件に多数遭遇すると思います。

たとえば、コピーライターの方が、テープ起こしの仕事をすることは可能だと思います。
ですが、自分の専門分野の内容でなければ、本当にテープに記録されている音声をそのまま文字に起こすだけしかできません。

編集・校閲の経験があるリモートワーカーなら、「本当に文字に起こすだけで大丈夫なのか? 編集や校閲的な仕事は行わなくて大丈夫なのか?」と疑問に思い、クライアントのオファーに対して尻込みすることもあるでしょう。

実は、こういった依頼は相当数を占めています。
経験豊富で真摯に仕事を進めるリモートワーカーほど、自分が責任を背負いきれないのではないかと考えて、オファーを断ってしまうことが多いのではないでしょうか。

自分が抱えきれない案件が来た場合は断るか、他のリモートワーカーにあっせんすればよい。

クライアントからなんでも相談してもらえる状況を作ることが大事。
実際に、クライアントのヒアリングを行って、自分の専門ではない仕事や、自分では対応ができない仕事だった場合どうするか。

結論から言いますと、しっかりヒアリングを行った後、ありのままをお伝えすれば、まずクライアントの信頼を損ねることはまずありません。
自分でも対応可能なものの、専門から外れるために案件を受注することが心配なら

「お伝えいただいた案件は私でも対応が可能ですが、本来は専門ではありません。プロの間では専門の方に比べると、私のスキルは見劣りがすると思っているのですが、御社の案件に耐えられるスキルを提供できるとは考えています。見本作品をご覧いただいて検討いただけますでしょうか」

もしくは、まったく太刀打ちできない守備範囲を外れる案件なら

「ご相談いただいた案件ですが、これはプロの間でもまったく守備範囲が分かれていまして、私では対応できない状態です。大変恐縮ですが、知り合いの専門家をご紹介させていただきたいのですが、いかがでしょうか?」

このように自分と交流がある専門のリモートワーカーを紹介する方法も取れます。
またそういった知り合いがいない場合は、専門のリモートワーカーを探す方法をお伝えするだけでもよいでしょう。

むしろ、自分の専門外だからといって、まったくヒアリングも行わず、すぐに断ることを繰り返していると、そのうち問い合わせも来なくなります。
このような状況に至らないようにすることが極めて重要です。

詳細は割愛しますが、実はどんなことでも相談できる「なんでも屋さん」であることは、リモートワーカーにとってあまりいい状態ではありません。

ですが、クライアントから相談が来る状態を作り出すことは、安定した受注を確保する上で極めて重要です。

要は、「自分が責任を持って仕事に当たれる」「対価が仕事として十分見合う」この2点について納得できる案件だけを、クライアントの心証を損ねず、選り分けられるような体制を作っておけばよいのです。

クライアントから常に問い合わせが来る体制を作るために名刺を工夫する

まずはクライアントから問い合わせをもらうことの重要性については理解していただけたと思います。
複数のリモートワーカーの中からまずは自分に問い合わせてもらうためには、実際にミーティングした際に渡す名刺にも工夫をしたほうがいいのは間違いありません。

名刺のデザインを整理し、自分が提供できるスキルを明確にすることの重要性は、前回寄稿した「実は、名刺交換の後、あなたの名刺は捨てられている。」という記事の中で述べました。

今回提案するクライアントに思い出してもらえる簡単な方法として、名刺に手書きのメッセージを記載する方法は、肉筆で書かれたものは捨てにくいという人間の心理を利用したものです。

ワードで機械的に書かれた美しい文字よりも、たとえ美しい字でなくても肉筆でコメントが書かれている名刺は、とても捨てにくいと感じる方が多数です。

どのようなコメントを書くかについてはあまり関係がないとされています。
自分の提供できるスキルなどを明確に記載するのも結構ですし、簡単なあいさつを書いてもよいでしょう。多くの心理学者が指摘していますが、大多数の人は、最初に会った時の第一印象でその人の人となりを決めてしまうといわれています。

初対面の際に、できるだけ印象に残ることを伝えれば、名刺に書かれたコメントを見た時に、自分を思い出してくれて、その後、クライアントから定期的に問い合わせが来る可能性は高いです。

SNSの更新やメールでの定期的なあいさつは効力がないのか?

では、名刺交換もせずに、FACEBOOKやLINEで友達申請を承認したりするのは問い合わせにつながらないのかというと、そうではありません。
要はクライアントが、自分に対して関心を持ってくれる状態であればいいわけですから、使い分けをすればいいと私は考えています。

ただし、SNSやネットだけで仕事の受発注を行う関係を維持する中で、どうしても相手の人間像が見えにくくなるのも事実です。仕事を受注するリモートワーカーとしては、常に問い合わせを受けられる体制を作ることが極めて重要になります。

前回寄稿させていただいた「SNSを毎日更新できないライターにクライアントは期待しない」では、ほぼ毎日SNSを更新できないライターにクライアントが問い合わせる可能性が少なくなることについて触れました。

これはライターだけでなくリモートワーカー全ての職種に重なると思います。 
何気ない日常をSNSでつづるとしても、クライアントにとって興味をそそる「引き」の内容が込められていることが重要です。

SNSに日常をつづることでフラストレーションを発散させるのも結構ですが、あまりに生々しいことはクライアントの心証を損ねるだけです。
ヤフーニュースなどの時事的な問題について、自分がどのように思うかを書き連ねると、フラストレーションを発散させることができるだけでなく、リモートワーカーとしての自分に関心を持ってもらえる可能性が高くなると思いますので、トレーニングしてみてはいかがでしょうか。

公私混同と言われるかもしれませんが、SNSにつづる内容を記載する方法について意識することで、

仕事の中に余裕を持たせること
プライベートでも仕事のチャンスは見逃さないこと

この2つの重要な視点を養えるのではないでしょうか。

SPONCER
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