交渉する店を選ぶなら、クライアントの食事に対する価値観を意識すべし

フリーになれば接待も自腹

フリーランスや自営業になると、サラリーマン時代とはちがって、クライアントに対して、ベタな接待をすることは少なくなると思います。
なにせ、接待費も自分持ちですから、そうそう派手にお金は使えないですしね。
とはいえ、大型プロジェクトの指名を受けたい時や、大事な企画をしっかり煮詰めたい時は、接待費を計上して、お店を予約してきっちり決めるなんてことも少なくないと思います。

仕事とはいえ、食事を楽しみながら、クライアントの話に耳を傾けつつ、最後は仕事を任せてもらえるなんていう優雅な流れが作れるようになりたいものですね。

実際、第一線で活躍されている人を見ると、仕事と遊びの「飲み」に境目がない方も少ない気がします。肩の力が抜けているというか、最初の乾杯をした時から話がはずんで、気がついたら、企画の話でもりあがっていて、「じゃあ、次も頼むよ」なんて流れになってしまっている。
もっとも、そんな術が使えるのは、相当の経験を重ねなければ無理です。とはいえ、一緒に食事をすることは心の距離が一気に近くなりますから、あなたがプレゼン下手だと思っているなら、クライアントを食事に誘うのは悪い方法ではありません。

グルメサイトで接待する店を選ぶと地雷を踏むことも

さて、問題はどんな店に誘うかです。普段から食べ歩き飲み歩きをしない人なら、グルメサイトでよさそうなお店を選ぼうとするかもしれません。でもこの方法は注意したほうがいいですね。事前にお店に下見をして、ゆっくり話せる席が借りられるかといったことをチェックしておいたほうがいいでしょう。

クライアントの情報を、ある程度仕入れておくのも重要です。タバコを吸わない方も増えていますから、煙もうもうの飲み屋さんに連れていけば、せっかくまとまる話もまとまらなくなる可能性があります。
ここは、伏線をはらずに、クライアント様に聞いてしまいましょう。
今度の打ち合わせは、飯でも食いながら打ち合わせたい。嫌いなものや、食べられないものはないか。タバコが吸える店はNGかなど。
そのうえで、あなたが飲食に造詣が深くないなら、決してしったかぶりをしないこと。

「僕、ワインとか詳しくないんですけど、○○さん、お好きと聞いたものですから。こちらでいいですよね?」

というようにクライアント様に店を選ばせてしまう。身も蓋もないようですが、こういった方法をとれば、クライアントが男性の場合、乾杯の後、必ず蘊蓄を語りたがります。
「いいか。オーストラリアワインはだな」なんて薀蓄タイムがはじまったら、短調にならず、相槌を打ちながら、クライアント様の話をよく聞いてあげましょう。一通りの話が終わったら、本題を切り出せば、重要案件を落とせる可能性が高いです。
残念ですが、これは万能の方法ではありません。あなたが若くて、クライアントが年配の方の場合にのみ使える方法です。クライアントの方が、同年代、もしくはさほど年が離れていない場合は、少し、工夫が必要でしょう。
自分よりクライアント様のほうが飲食に造詣が深ければ、
「今度の打ち合わせなんですけど、飲みながらアイデア出しでもできればと思ってるんですけどいいですか? そこで、失礼なんですが、○○さんのおすすめのお店でお話をうかがいたいんですけど」
とでも切り出せば、まず失敗しません。

自分より若いクライアントの値札を読む

問題は、クライアントの方があなたより若くて、あまり飲食に造詣が深くない場合です。
大体の場合、あなたが主導してお店を決めて、接待をしなければなりません。
タバコはNGか? 嫌いな食べ物やアレルギーがあるものはないかを尋ね、ゆったり話せる席を予約できる店を探すこと。
この時、大事なのは、クライアントが経験したことがない食事や酒を必ず1つ加えること。
そして、なによりクライアントの値札を見極めることです。

クライアントの値札? 意味がよくわからない方もいるでしょう。

先にも書きましたが、案件のことでわざわざ食事をするのは、心理的に距離が近くなって、商談がしやすくなる作用を利用するためです。
ふだん、飲食に2000円くらいまでしか使わないクライアントを、数万円もするような食事に誘ったらどう思うでしょうか?
私は、不審に思って逆に心を閉ざす可能性が高いと思います。(もしくは遠慮せずじゃんじゃん食べられて、仕事が受注できず、大赤字になるなんてことになるかもしれませんが)
その方の飲食に対する経済的価値観をよく見極めて、その予算で、まだ経験したことがない料理や酒を楽しんでもらえるよう、工夫してみてください。「クライアントについている値札を読む」というのはこういうことです。
ふだん使う程度の金額で、新しい世界観を感じられる味を体験したら、心が動かない人はたぶんいないでしょう。

そうそう、あなたが男性で、クライアントが女性の方の場合は、個室は避けたほうがいいかもしれません。
また、足元が冷えないようにひざ掛けを用意してもらうなど、さりげない気遣いを忘れないように。

言うまでもありませんが、飲食で打ち解けたら、案件のことはビシビシ攻めましょう。
たかが飲み会ですが、きちんと企画して実行できるのであれば、自分がきちんと責任を持って仕事を完遂できることを印象づけられます。
接待の後日、お礼のメールに添えて企画書や、案件に関する資料を送ると、受注できる可能性は高くなるはずです。

クライアントへの接待も、企画と同じで洞察力と行動力がモノを言うということですね。

SPONCER
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