リモートワークに適している人とそうでない人

リモートワークの歴史

米国で、現在の「リモートワーク」の元となる「telecommuting(パソコンなど情報端末機器を用いた在宅勤務)」が始まったのは1970年代のことと言われています。
それ以来、リモート労働者の人口は急速に増加してきました。
1997年までに米国人労働者の10万人がテレコミュートしており、2014年までには330万人が自宅をメインの勤務場所としています。
グローバルな経済傾向と雇用システムの結果、この数字はこの先も増加の一途をたどることが予想されています。
一般にリモートワークは社会から好感をもって受け入れられていますが、その利点と欠点について、科学がどう判断するのかについては、これまで曖昧なところがありました。
リモートワークについての調査は、様々な所で行われてはいるものの、リモートワークの定義すら、一貫していません。

リモートワークはどのような人に適しているのか

最近「Psychological Science in the Public Interest (公益心理学)(Volume 16, Number 2)」誌上に発表された研究では、南フロリダ大学のタミー・D・アレン氏、レンセラー工科大学のティモシー・D・ゴールデン氏と、ニューヨーク市立大学のクリステン・M・ショクレイ氏が、リモートワークの利点と欠点について、そしてリモートワークがどのような人に適しているのかについて、バランスのとれた広範な意見を提供しています。

この研究結果では、まずリモートワークには、労働者の仕事への満足度の上昇、組織のコミットメント、業務パフォーマンス、仕事のストレスや疲労の軽減などをもたらすことができるという利点が挙げられています。
しかし、これまでにオフィスワークを経験したことがある労働者は、孤独感や、同僚との知識交換レベルの低下を感じるという欠点もあることが指摘されています。
自宅勤務では、仕事と家庭との境界があいまいになるため、仕事時間以外での労働が続いて、過労になりがちだという指摘もあります。

発見された、キーとなるファクターのひとつには、被雇用者へのリモートワークのインパクトは、リモートワークに費やされる時間や労働者の性格、組織の構造などの、多くの異なった要素が噛み合わさっているということです。

リモートワークは、適度に実行された時、もっとも利益を生み出します。
週に何回、いつリモートワークをするか、いつ仕事を納品するかの決定権を持たされた労働者は、リモートワークのアレンジメントから最も多くの利益を生み出しているのがうかがえます。
したがって、リモートワークは、自身のゴールを決められない人や、自分で仕事へのやる気を起こせない人にとっては、見合わない働き方と言えます。

また、ある種の職場では、労働者同士の対面でのコミュニケーションが特に大事な場合もあります。それらは、共同作業によって革新的なアイデアや創造性を生み出していこうとする職場です。

リモートワークを行う企業が気をつけるべきこと

組織がリモートワークを成功させようと努力している企業の従業員には、リモートワークはとてもいいものです。
トレーニングマネジャーは、どのような条件の下で、どのような方法でのリモートワークが自社の従業員に適しているか、また、リモートワーカーの仕事の達成はどのように評価されるのかを、事前に明確にしておく必要があります。

リモートワーカーには、オフィス外からタスクを有効に完了させるために必要なテクノロジーが支給されていることと、オフィスの同僚との近しい関係を保つことも必要です。
また、リモートワークの候補者の選定は、慎重に行われなければなりません。
誰もがオフィスのない環境から働く、自己抑制能力を持っているわけではないからです。

したがってリモートワークを有効に活かすためには、それが成り立つようなシステム作り、リモートワーカーが孤独にならないための頻繁な連絡や、オフィスの同僚との関係を維持して、疎外感を削除する方法、必要機材の支給やテクニカルサポート、情報交流など企業側からのサポートと、労働者自身のこのワークスタイルへの適正が、もっとも重要になってくるでしょう。

この研究報告書に添付されたフィードバックでは、「家族と仕事研究所」のケネス・マトス氏とエレン・ガリンスキー氏から、「グローバル市場の発展で、企業雇用者の多くは、もはや在宅勤務が許可されるかどうかを企業に尋ねることはなくなっており、むしろそれを正しく行う方法を知りたがっている。」と指摘されています。
また彼らは、リモートワークから最も恩恵を受けるタイプの労働者の理解について、この研究が強調している点を称賛しています。
そうすることによって、アレン氏らは、成功するリモートワークのプログラムの青写真を、雇用者と被雇用者に向けて提供していると解説しています。

参考
http://www.huffingtonpost.com/entry/working-from-home-productive_56045dcce4b08820d91c40f2
http://www.psychologicalscience.org/index.php/publications/telecommuting.html

Image credit: Olu Eletu via unsplash

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