米国のソーシャルメディア・ツールのBuffer社は、フルリモートワークの企業です。
以前はAutomattic, GitHub, Basecampなどのように、リモート企業でありながら、メインオフィスをもっていました。
それはソーシャルメディアスペースとして、主にサンフランシスコやシリコンバレーに本拠地を置く、他のソーシャルネットワーク企業の近場にいることが大切だったからです。
しかし、従業員が50人に達し、サンフランシスコ在住の従業員数が、全従業員の中で少数になった時点で、オフィスレンタルにかかる費用の削減も考慮して、オフィスを閉じることになりました。
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Buffer社の世界各地のリモートワーク社員の給料の違い
同社では現在、従業員の約半数が米国の外から働いています。
しかし、公けには米国企業なので、従業員への賃金の支払いは米ドルで行っています。
同社のインターナショナル・メンバーは年間平均$852(約10万1100円)を会計サービスに費やしているそうですが、その内訳は、国によって当然異なっています。これらのインターナショナル・メンバー6人の例から、彼らがリモートワーカーとして自分のビジネスをどのようにセットアップしているか、税金をどう支払っているかを見てみましょう。
イギリス在住、コリンさん
2013年2月に同社に加わったコリンさんは、英国ケンブリッジ近郊に、妻と住んでいます。
問題を解くのが好きで、解決を導き出すことで他人の生活を改善することが楽しみというエンジニアです。
2013-2014年の彼の年収は$90,000(約1千69万円)でした。
英国では彼は「自営業」として登録しています。
この年の年間所得税は、彼の収入の28.79% に当たる、$25,844(約307万円)でした。
その内訳は多い順から、福祉(24.52%)、健康(18.87%)、教育(13.15%)、国民年金(12.12%)、国家債務利子(7%)、防衛(5.31%)、司法(4.4%)、交通(2.95%)、産業2.74%)などとなっています。
サンフランシスコ在住、メアリーさん
サンフランシスコ在住のメアリーさんは、2013年11月に入社しました。
サンフランシスコに「スタートアップのフルタイム労働者」として登録しており、2015年の年収$90,017(約1千69万円)のうちの32.5%に当たる$29,251(約347万円)を税金に払いました。
その内訳は、連邦税$15,731(約187万円)、社会保障$5,581(約66万円)、健康保険$1,305.26(約15万5千円)、州所得税$5,822.68(約69万円)、身体障害保険$810.16(約9万6千円)となっています。
カナダ在住、アンドロイド・エンジニアのトムさん
カナダ在住で、アンドロイド・エンジニアのトムさんは2014年6月に入社しました。
年の途中の入社だったため、その年の年収は$52,872.33 (約627万円)で、カナダの必須年金制度に$13,513.66(約160万円)を支払いました。
「自営業」として登録してあるので、雇用保険は払いませんが、年金制度には、企業の被雇用者が払う額の2倍を支払っています。
2015年の実効税率は〜33.1%だろうと推定しています。
クロアチア在住、ソフトウェア・エンジニアのイヴァーナさん
イヴァーナさんは、ソフトウェア・エンジニアとして、同社で働いています。
年収は$92,000 (約1千93万円)です。クロアチアのザダルに夫と娘と住んでおり、収入の約55%が税金に取られています。
クロアチアでは、州税・その他のすべてを支払うのは、被雇用者ではなく、雇用者の責任です。収入の額によって、12%、 25%、 40%の3段階の税率があり、収入が多いほど税率も上がります。
イヴァーナさんの場合は40%で、その上、市税の12%も支払わなければなりません。
彼女は「個人企業」として登録することで、収入を下げて、税率も25%へ落とすこともできます。
しかし、そうすると法人税30%がかかり、サラリーを下げない限り、合計55%を税金に支払うことになります。
スペイン在住、バックエンド開発者のホセさん
スペインのマドリッドに住むジョセさんは、バックエンド開発者です。
2014年12月に入社し、現在スペインでは「フリーランス」として登録しています。
この身分では、公的医療保険の支払いが必須です。
これは、退職費用にも関連付けられています。
彼には32%の税金と4.23%の健康保険の、合計36.23%の税金の支払いが義務付けられています。
南アフリカ在住、フロントエンド開発者のニールさん
南アフリカのケープタウンに住むニールさんは、フロントエンド開発者で、2013年8月に入社しました。
現在の年収は $101,141(約1千200万円)です。
南アフリカで彼は「フリーランス/契約業者」として登録しています。
彼は年間を通じて得られる収入を予測して、半年ごとに暫定税を払っています。
新会計年度の初めに、オンラインの税務申告サイトに、暫定納税の予備報告書をリクエストします。
そしてその年Bufferから得られる金額を予測します。
そうすることで、年に2度税金に支払うのに必要な額を、毎月取り置いておくことができます。収入を少し過大評価しておくと、後でいくらかのお金が戻ってくるそうです。
彼の税率は、約33%です。
Buffer社は現在、Foresight社の会計サービスを使って、インターナショナル・メンバーへの給与の支払いをしています。
メンバーによっては、ビットコインで支払いを受けている人もいるそうです。
メンバーの国でのステータスを研究して、それぞれに見合った方法で支払いをすることで、年間$100,000(約1千184万円)以上の支出をセーブすることができています。
国それぞれに色々な納税の仕方があるものですが、世界の様々な場所から働くことを視野に入れているリモートワーカーは、こうしたことも研究しておくと何かの役にたつかもしれません。
https://open.buffer.com/international-pay/
Image credit: Tim Gouw via unsplash