アジャイルな生き方

アジャイル開発という言葉を耳にしたことはあるだろうか。

アジャイル(agile)には、「俊敏な」という意味があり、ソフトウェア開発現場で、長期間かかる大きなプロジェクトも数週間単位に分割してしまい、短い期間で開発とリリースを繰り返し行っていく新型手法として注目されている。

自らが天才プログラマでもあるFacebookのマーク・ザッカーバーグがFacebookの開発者達に“Done is better than perfect. – 完璧を目指すよりまず終わらせろ”と指示をするのは有名な話だ。
これがまさに、アジャイルな考え方である。

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出典 : http://www.w3eminent.com

Done is better than perfect.

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プログラミングの革新「アジャイル開発」

アジャイル開発が取り入れられる前の開発現場と言えば、3ヶ月先の納期と戦いながら無言でパソコンに向かい、目と指先が限界を迎えると足元の寝袋に潜り込む。
3ヶ月先の納品時までは、ほぼ変わらずに毎日が過ぎていく。こんなことが当たり前に行われていた。
この手法の最もマズイ点は、成果が見えるまでに時間がかかりすぎること。
リリースするころには、市場環境がすっかり変わってしまっていて、役に立たなくなっている。
そんな悲劇が、進歩の早いネットの世界では、当たり前になってしまっていた。
そこで、出来上がった成果ごとに俊敏にリリースすることで問題解決を図るアジャイル開発が注目されるようになったのだ。

アジャイルは技術ではなくスタイルだ。

アジャイルは、アジャイル開発やアジャイル経営といった、ビジネスのシーンでよく使われる言葉だが、アジャイルは単なる開発手法ではなく、価値観や信念や思考パターンなどのマインドセットなのだ。
つまり、ビジネスだけに留まらず、普段の生活にアジャイルを活用しても効果を発揮する。

昔ながらの考えを持った完璧主義者であれば、

海外に行きたいが、英語を習得するまでは行かない。
250ヤード飛ばせるまでは、ゴルフコースは周らない。
開業したいが、貯金が1000万円貯まるまでは独立しない。

などと考えがちだが、そこにアジャイルを取り入れれば、


挨拶程度の英語を勉強し、海外に行く。
ボールが前に飛ぶようになれば、ゴルフコースデビュー。
少額で始めれる事業からスタートする。

など、ゴールを近くに設定して、達成したら、また近くにゴールを設定する。そしてまたトライする。こんなしなやかなやり方が可能になる。
こちらのほうが、何度も達成感を味わうことができ、モチベーションを維持したまま、楽しく理想の自分に近づくことができる。

アジャイルを私生活で実践する

ここで、アジャイル手法で料理する女性、Aさんを例に紹介しよう。

大学仲間とのバンド練習が終わり、いつものようにメンバーの部屋でアルコール片手の反省会。
そのお目当ては小腹のすいたメンバーにはたまらない、メインボーカルが作る絶品料理だ。
冷蔵庫を開けて材料をサクッと品定めして、何が作れるかを瞬間的にイメージする。
足りないものをメモしたら、魅力的な笑顔で「ごめん、お願い!」と誰かに頼む。
頼まれた方は、彼女の笑顔に免じて買い物に急いで出かける。
ぜんぜん面倒じゃない。なぜなら彼女の作る料理がどれほどおいしいか知っているからだ。
むしろ彼女が作る賞賛を浴びること間違いなしの料理作りに、自分が関われたことをちょっぴり誇りにだって思ってしまう。
彼女は頼んだ具材が到着するまでの時間を一秒も無駄にしない、出来ることはすべてやっておく。最高のタイミングで使い走りの友人が帰ってくるのを待つためだ。
かと言って自分の作業に集中してしまって、他の人たちを退屈させることもないのが彼女のすごいところ。
下味をつけたら小皿にとって「どうかなあ」とみんなに配って回る。
料理をやる人は分かってるけど、料理をやってる途中でみんなの意見を聞くのは冒険だ。
いろんな感想をフィードバックしてもらい、適切に理解して、現在進行形で作ってる料理をもっとおいしく作り変えることはけっこうむずかしい。
もちろんみんなそんな彼女の料理の実力を知っているし、信頼関係もあるから、かなりスケズケいろんなことを言う。
そして「今度はどう?」と出してきた料理に的確に自分の意見が反映されていることに密かに舌を巻いてしまう。
さっき買い物に行った友人だけでなく、このとき全員が彼女の料理を一緒に作っているという実感に浸ったのだ。
「買ってきたぞ」お使いのお帰りだ。
「お帰り、料理は完成直前だ!お前の帰りを待ってたぞ」
全員が少し興奮気味でお使いをお出迎え。
トッピングが終わったら、最高の料理の出来上がり!
Aさんがみんなと作る、このアジャイルな料理の味は格別のはず。

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こんな素敵な手法を開発の現場に閉じ込めておくのはもったいない!
あなたもぜひ、Aさんのように、アジャイルを私生活に取り入れてみてはいかがだろうか。

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