リモートワークの種類と生産性

情報化時代が私たちにもたらした最も大きな影響は、場所を無視して非常に多くのことができるようになったことでしょう。
Yahooが最近リモートワーカー全員をオフィスに戻したことが話題になったように、Netflix やGoogleなどの大手ハイテク企業も、同じオフィスで従業員を働かせることを好んでいます。
このような動きは、スタートアップのEtsy、Basecampや Githubに言わせれば、時代錯誤も甚だしいものです。
議論されることの多くなった、リモートワークとオフィスワークですが、この議論は特にソフトウェア業界で盛んなようです。
ソフトウェアの開発コンサルタント、ThoughtWorks社のマルティン・フォウラー氏は以下のように考察しています。

多様化する労働形態

彼はまず、リモートワークとオフィスワークという、はっきりした二分法はないと主張します。
それらの中間に、いくつかのパターン、いくつもの色合いがあるのです。
それらを挙げてみましょう。

シングルサイト・チーム

single
従業員全員が物理的にひとつの場所にいて、同僚とは数歩の距離。
たとえ小部屋のあるオフィスでも、必要な時すぐに歩いて行って会話ができる、コミュニケーションを保つには最適な環境です。
このようなチームでは、誰もが同僚のしていることを知っています。

マルチサイト・チーム

multi
大きなグループ内に、2つ以上の同じ場所で働くグループを持ち、それらは物理的には離れた距離で働いていますが、大きなグループの監督下にあります。
この例には、分裂したMelbourneとXi’anの開発チームなどがあります。

サテライト・ワーカー

satelite
チームの大部分が同じオフィスで働き、数人だけが自宅やその他の場所から働く形態です。

リモートファースト・チーム

remote
メンバー全員が家などから働いており、コミュニケーションはオンラインでとります。
ほとんどのオープンソースプロジェクトがこの形態をとっており、多くのスタートアップがこの形態を採用しています。

このようにリモート度にはバラエティがあります。
チームを2つのグループに分けて、同じビルの別の階に配置するだけでもリモート感は感じられるものです。
そこに距離やタイムゾーンの違いを加えればリモート度はさらに上がるわけですが、ほとんどの人は自分の席から立って同僚のところへ行く代わりにメールを送るような環境になった場合にリモート感を感じると言われています。

生産性が高いのはどの形態か

フォウラー氏によると、ソフトウェアの開発には数多くの議論が伴うため、一概に100人の開発者にインタビューしたところで、生産性についての正確な調査はできないと言います。
生産性には労働形態以外にも、様々な要因がかかわっているからです。ソフトウェア業界の多くの人と会話を交わしてきた彼の印象では、一般的にはオフィスワークの方が生産性は上がるけれども、中にはリモートワークの方が生産性が高いという少数派もおり、特に若い世代ではリモートワークに傾倒する傾向が強くなっているそうです。
「リモートワークの方が生産性が上がるという人は少数派」だとすると、私たちはオフィスワークを採用すべきなのでしょうか。
彼は、そうではないと言います。
オフィスワークでは、オフィスに通える人しか雇えません。
この条件で人材は限られてきます。
オフィスワーカーが一丸となって効率を上げて仕事をするのに対し、リモートワークではベストの人材を獲得できるという大きな利点があります。

フォウラー氏はまた、国によって異なる状況もあると指摘します。
オフショアの盛んな所では、リモートワークの採用は、コストの削減に適した方法だと受け止められます。
またこれまで長時間オフィスにいられなかった女性労働者の業界への進出もありえるのではないかとも予想しています。

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コミュニケーションの重要性

ソフトウェア開発では、コミュニケーションが重要な軸となりますが、リモートワークを採用した場合、この方法に常に注意を払う必要があります。
リモートワークでコミュニケーションをとることは、オフィスワークほど容易にはいかないからです。
まず短時間のコンタクト・ビジットで人間関係を築くこと。
多くの企業がこの重要性を忘れがちなので、定期的に時間をとって行うことが必要です。
サテライトワーカーのいる形態では、サテライトワーカーだけが効率を下げてしまう場合があります。
彼らに積極的にオンサイトチームを訪問させましょう。

新人のリモートワークは難しい

リモートコミュニティで一番難しいのが、新人の育成です。
リモートファースト・チームには、経験豊富なスタッフだけを採用せよと勧められるのもこのためです。
駆け出しのワーカーを採用する場合には、少なくともチーム全体の事業が順調に稼働するようになってから、徐々に行った方が賢明です。

結論

フォウラー氏は、オフィスワークが生産性を上げられる大きな理由は、コミュニケーションの容易さにあると結論します。
よりよい才能を集めることのできるリモートワークでは、それを上手く稼働させるために、テクノロジーや実際の訪問を含めた、コミュニケーションの向上に時間を費やすべきだと言います。
彼の分野であるソフトウェア開発では、よりよい人材を得ることが今ますます重要になってきており、この傾向は今後ますます強まるだろうと予想されます。
またよい開発者の間にはオフィスワークを好まない傾向が見られ、それは上級開発者になればなるほど強まる傾向だそうです。
企業経営者はこの傾向を無視して、オフィスワークに賛成する労働者を雇ってもいいですし、またリモートワークをよりよく働かせる手段を探求してもいいでしょう。
リモートワークを効果的に稼働させることのできる組織は、この先、競争力を持つ企業になるだろうとフォウラー氏は予想しています。

参考
http://martinfowler.com/articles/remote-or-co-located.html
http://martinfowler.com/

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