リモートワークが抱える問題

急速に社会に広がりを見せるリモートワークは、労働者にとって通勤時間をセーブできる、フレキシブルな時間帯に働ける、雇用者にとっては、より大きな人材プールにアクセスできるなど、明らかな利点があることは言うまでもありません。
しかし、リモートワークを広く受け入れることには弊害もあると、VividCortex社の創設者兼最高経営責任者で、MySQL専門家のバロン・シュワルツ氏は語ります。

リモートワークは孤独が深まる

2013年の米国人事管理報告では、2010年以来、リモートワークの対象と見なされる企業労働者数は49%増加し、リモートワークの契約をした企業労働者は84%増加、一年間に、実際にリモートワークで働いた労働者は24%増加したそうです。
その前年、作家スティーブン・マルシェ氏は 「Facebookは我々を孤独にしたか?」という記事をThe Atlantic誌 に発表しました。
(これは後に、2013年米国の科学と自然に関するベスト執筆に選ばれています。)
その中で彼は、華々しい外見にも関わらず、ネットワーク技術は、しばしば人々を結びつけるよりは、分離していると雄弁に主張しています。
彼の主張によれば、表面的な接続性にもかかわらず、インターネットやデジタル通信技術は、冷たい、人間味に欠けた環境を作り出すというのです。
それは「接続と絆とは同じではない」からです。「これは社会に向けられた静かな警告だ」。
リモートワーカーの数の上昇は、効率の向上の印ではなく、深まる孤独ではないのか、と問いかけます。
Facebookから浮かび上がるリモートワークの問題は何かというと、それは、労働者の主な対人関係がデジタルである場合に生じる孤立感と、コンスタントに接続していることが、労働者のスケジュール感をゆがめることだそうです。シュワルツ氏は「もちろん、これらに前向きな解釈を与えることもできる。『孤立』は『フレキシビリティ』、『コンスタントな接続性』は『いつでも対応可能』だというように」と解説します。

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仕事と家庭生活との区別がなくなる

理想的なリモートワークの状況とは、

  • 労働者が健康的な睡眠パターンを保っていること
  • 一貫性のある労働時間を維持するために自己規制していること
  • 労働時間外の社会生活を維持していること
  • 上司の許可を得る必要なしに、通院の予定を入れられること

などが挙げられます。

シュワルツ氏によると、上記の理想に反して、現実のリモートワークのライフスタイルでは、スケジュールが曖昧になり、仕事と家庭生活の区別がなくなり、リモートワーカーはいつも時間に追われているように感じ始めていると言います。
モバイルデバイスの届く範囲にあることが、労働の場所に自らを置くことになるからです。
ワーク・ライフ・バランスをとることは、より複雑になっており、リモートワークは、労働者に「家族は仕事へ干渉するものだ」と考えさせる原因になっているというのです。
また、座りがちな生活様式は、労働者の健康をむしばんでもいます。
毎日の通勤ラッシュを楽しみにする労働者はいないでしょうが、家の寝室やデスクチェアから離れる理由をほとんど持たないことは、人間に悪い日常習慣を作り出すと、シュワルツ氏は指摘します。

コミュニティの感覚が失われる

リモートワークを好む我々の文化の、より抜本的な問題は、コミュニティの大切さを過小評価していることです。
オフィス文化には、たしかに悪い評判はありましたが、物理的なワークスペースでは、仕事の成り行きについて労働者間の対話がありました。
現在、コワーキングスペースがリモートワーカーやフリーランサーでいっぱいなのは、彼らがコミュニティの感覚を取り戻したいと考えているからです。
この昔ながらのコミュニティの代替になるようなものは、デジタル世界にはまだ存在しないと氏は訴えます。
彼の率いるVividCortex社では、ひとつの場所に集中せず、世界の複数の焦点にスタッフを分散しています。
本社は柔軟にコミュニティのバランスをとって、健康な文化を創っているそうです。

彼の意見では、
「企業は世界中に労働力を分散して、毎日本部に全員を呼び出す必要はありません。妥協が必要な場合には、何に妥協するかを知っておくことが大切。会社と従業員の両方にとって最適なことを考え、目の前のことだけでなく、組織の長期的な目標と、投資して訓練するスタッフについて考えることが必要です。リモートワークが最良の選択肢であるような従業員がいる一方で、近くから監督して、他の方法を試してみる必要があるケースもあります。会社の構造にかかわらず、いつも尊重すべきものはコミュニティです。そこから始めてみてください」
と彼は勧めています。

参考
http://www.fastcompany.com/

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Photo: Flickr user Barn Images

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