低リスクに小さな規模で行う「スモールビジネス」には、多くのメリットがあります。
その反面、小規模事業であるため安定して利益を得ていくためには、いろいろな工夫が必要です。
今回はスモールビジネスを始めるうえでのポイントをご紹介します。
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スモールビジネス=低リスクな小規模事業
会社員をやめて自分で事業をする、というと多くの人は「リスキーなことをするやつだ」と思うかもしれません。
しかし、自分で事業をおこすというケースのすべてがリスキーであるわけではありません。
また、事業をおこすためにすべての人がイノベーションを起こさなければならないわけでもありません。
適切なマーケットを見つけて、適切な計画と戦略のもとで事業を行うならば、リスクは最小限にできるのです。
大きな事業にするわけではなく、世の中に多大な影響を及ぼすことを目指すものでもない小規模なビジネスを行うものとして、少し前から「スモールビジネス」が注目されています。
具体的には、プログラマー、デザイナー、翻訳、ライターなどや、ニッチ産業、個人輸入ビジネスなどがあります。
スモールビジネスで長期的に利益を出していくには、いくつかの工夫が必要です。
誰でも稼げるビジネスならば、誰でも参入して需給のバランスが崩れ、いずれは稼げないビジネスになることは確実だからです。
それでは、スモールビジネスを実践するうえでの7つのポイントをご紹介しましょう。
スモールビジネスに必要な仕組み
1.利益率の高いビジネス
どのようなビジネスにも「スケールメリット」があります。
大規模であるほど利益が出しやすく、競合に勝ちやすいということです。
日本語で規模の経済とも言います。スケールメリットというと多くの方は製造業などでの大量生産方式を思い浮かべるかもしれませんが、IT関連の業務やクリエイター系の職業でもそれはあります。
規模が大きければ分業化して作業効率を上げることができますし、複数の業務をパッケージにして契約できたりと、小規模ビジネスにはできないメリットが多くあるためです。
小規模ビジネス・スモールビジネスの場合は、多くが個人事業主や少人数会社での事業です。
そのため当然スケールメリットはありません。
そこで、できるだけ利益率の高い事業にフォーカスしていくことが必要になるわけです。
クリエイター系の仕事ならば初期費用はほとんどかかりませんから、利益率の高さ=時間あたりの単価の高い仕事になります。
たとえば、同じ作業時間ならばできるだけ利益率の高い取引を優先させていく、という工夫が必要なのです。
2.ニッチな領域
さて、上記のような利益率の高い取引を優先させるためには、自分だけのマーケットをつくる必要があります。
自分だけのマーケットとは、自分だけが稼げる領域ということです。
たとえばライターならば、ウェブライターは大量にいるため、一般的な取引ならば作業時間あたりの利益率は非常に低くなります。
そこで、自分だけが稼げて、かつ一定の需要のあるマーケットを見つける、もしくは作り出す必要があるのです。
自分のライティング能力、取材力、人脈、経験、知識でしか書けない領域で需要を見つける・作り出すということです。
需要のある限り、できるだけ専門性の高い、かつ競合の少ないニッチなマーケットを探しましょう。
3.需要が安定しているかリピート率の高いモデル
自分しか供給者のいないような、非常に専門性の高い、ニッチなマーケットを見つけることができたとします。
それだけで、そのビジネスは一安心でしょうか。
そんなことはありません。
専門性が高いということは、需要が少ないということでもあります。
需要が少なければ、たとえば大きな企業がそのマーケットに参入してきた場合に、自分のビジネス領域が大きく狭まってしまう可能性があります。
また、そもそも特殊な条件のもとでしか需要がないため、構造的な変化によって仕事がなくなってしまうという可能性もあります。
そこで、専門的であるという条件のうえに、需要が安定している、取引のリピート率が高いという条件も必要です。
両方を完全に満たすことはできなくても、両方の要素を考えておくようにしましょう。
4.できるだけ小さくはじめる
スモールビジネスは、事業規模、初期投資する費用をできるだけ小さくするというのもポイントです。
会社員の時期から副業としてはじめて、徐々に規模を大きくしていくというやり方をおすすめします。
なぜ小さく始めるのか、というと小さくはじめると撤退しやすいからです。
まとまったお金を最初に投資すると、心理的に撤退することが難しくなります。すでに投資したものの回収が困難になったコストを「サンクコスト」と言いますが、特に1人で事業を行っていると、サンクコストを回収するまではやめられないと、事業が泥沼にはまっていくケースもあります。
そこで、小さくはじめること、そして最初に撤退ラインを設定しておくことが特に重要になります。
5.複数の収益源を持つ
できるだけ小さく始めるというポイントと重なりますが、複数の異なる事業を持つというのもひとつの手段です。
異なる複数の収益源を持っていれば、1つの事業が不振になっても、他の事業で収益を得ることができてトータルでは安定的に事業を行うことができます。ただし、複数の事業を行うためにそれぞれの事業が半端になってしまう危険性もありますので、1つに絞ってやるのか、複数の事業を持つのか、自分の事業戦略に適当な方をとるようにしましょう。
6.可能な限りアウトソーシング・自動化
スモールビジネスは、多くが個人事業主や一人社長です。
そのため、できるだけ事業のコアにあたる部分に自分の力をフォーカスしなければなりません。
そこで、できる限りの業務をアウトソーシングすることをおすすめします。
また、経理などITの活用で自動化できるものは、どんどん自動化しましょう。
アウトソーシングや自動化は短期的に見れば支出が増えることにはなりますが、その分の時間を本業に割くことがでるため、長期的に収益を拡大できます。支出したコストは回収できるはずです。
7.生活との線引きを明確に
スモールビジネスは、どうしてもプライベートと仕事の距離が近くなってしまいます。
線引きが曖昧だと、プライベートの時間を圧迫してしまったり、仕事の効率が悪くなってしまったり、ということにつながっていきます。
そこで、仕事は何時から何時までなのか、今日のタスクはどこまでなのか、明確にしておくことが大事です。
「明日のことは明日やる」スタンスも必要です。
スモールビジネスは時間が資源
スモールビジネスを実践していくうえでの7つのポイントをご紹介しました。
個人でビジネスを行ううえで常に意識しておかなければならないのが、時間が資源であるということです。
何十人、何百人と従業員のいる会社と違って、個人でのビジネスは自分の時間を削って仕事を進めなければ、安定して収益を上げていけるようにはなりません。
かといって、会社員以上に生活が仕事で圧迫されてしまうと、スモールビジネスに移行する意味がありません。
個人での仕事は時間が資源であるということを常に意識して、有限な時間をいかに配分していくか、よく検討しておきましょう。
Image Credit: AlexanderStein via PIXABAY