アントレプレナーのジェイソン・フリード氏はTEDにて、「Why work doesn’t happen at work(なぜ職場で仕事ができないのか)」というタイトルで講演をしました。
オフィスで仕事をする、という当たり前を問い直すべく、オフィスの問題点と改善法を述べています。
仕事に集中したい時、どこに行きますか?
「仕事に集中したい時、どこに行きますか?」と質問を投げかけた時、返ってくる答えは大きく3種類になるといいます。
1つ目は部屋や空間、2つ目は移動手段、3つ目は時間で、具体的には、ベランダやカフェ、電車や車、早朝や週末、といった回答になるそうです。
そして、「オフィス」と答える人はゼロ。その理由についてフリード氏は、「1日の勤務時間を多くの作業時間に小分けされるから」と分析します。
出勤してデスクに座ったけれど、突然の用事で呼び出され、昼休みの時間が来て、会議がはじまる。気がつけば定時を過ぎていて、何もできなかったことに気付く。
1日の時間がバラバラに切り離されることで、意味のある仕事は何もできないといいます。
睡眠と仕事は似ている
クリエイティブな仕事には、邪魔がない一定の時間が必要だとフリード氏は語ります。
深い眠りを得るためには段階的にじっくり時間をかけるのが必要なのと同じく、仕事にも段階があって、途中で邪魔が入ればまたやり直しです。
睡眠中に何度も起こされれば、次の日の朝は決して快調とはいきません。
仕事も同様で、呼び出しや会議といった邪魔があると、定時が過ぎたときには「いい仕事ができなかった」と感じることになります。
オフィスにだけ存在する邪魔とは
もちろん、オフィスではない家にも、テレビ、ソファ、冷蔵庫などの“邪魔”が存在します。
しかし、フリード氏にいわせれば、これらは「本当の邪魔ではない」といいます。
テレビを見るのも、冷蔵庫を空けるのも個人の自由。
任意で発生する“邪魔”は本当の邪魔ではないのです。
一方、オフィスで発生する邪魔は、ほとんどが強制的な邪魔だといいます。
オフィスの大問題「M&M’s」
オフィスで仕事ができない1番の要因を、フリード氏は「M&M’s」と呼んでいます。
これは有名なチョコレート菓子の名前ですが、ここでは「マネージャー(上司)」と「ミーティング(会議)」のことです。
上司は「どれくらい進んだ?」といっては人の邪魔をし、上司が頻繁に開く会議は大したことを話し合わないとフリード氏は指摘します。
オフィス以外の場所で「M&M’s」の問題は発生しません。
それが、先に述べた「仕事に集中したい時、どこに行きますか?」の質問に対する回答に表れているといいます。
オフィス環境改善に向けた3つの提案
最後にフリード氏は、オフィスが仕事をする場所となるための3つの案を掲げます。
1つ目は、「サイレント・サーズデー」。
木曜日の午後だけはオフィス内で誰も会話をしてはいけない、というルールを作り、邪魔を生み出さない環境を生み出すものです。
月に1度、週に1度、こうした日を作ることで、価値ある時間を作り出せるといいます。
2つ目は、メールやメッセンジャーを活用すること。
オフィス内での連絡を直接の会話から、自身のタイミングで返信できるメール等のツールに切り替えることによって、強制的なコミュニケーションの発生を防げるとします。
3つ目は、会議をキャンセルすること。
予定された会議があるのならば、なかったことにしようとフリード氏は提案します。
フリード氏の提案は仕事の効率を上げるためにはとても良い提案だと思います。
このような取り組みの他にも「リモートワーク・チューズデー」などを取り入れて頂けると、リモートワークの良さがきっと分かっていただけると思います。