人事心理学の新しい研究結果で「従業員のパフォーマンスを改善したければリモートワークを許可せよ」と奨励しています。
これは米国イリノイ大学のビジネス学、ラヴィ・ガジェンドラン教授と、テキサス大学デイヴィッド・ハリソン教授、ウィスコンシン大学ケリー・デラニー‐クリガー助教授の共同研究によるものです。
この研究では、リモートワークが従業員のパフォーマンスにプラス効果を与え、彼らの励みとなるような、協力的でフレンドリーな職場環境を作る助けとなるとしています。
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リモートワークの生産性が認められてきた
2013年にヤフーがリモートワークを禁止したことをきっかけに、従業員をリモートワークで働かせることが本当に生産性の向上につながるのか、議論が巻き起こりました。
これについて、ガジェンドラン教授は「当時は、多くの議論がありましたが、証拠として挙げられるようなものは非常に少なかったのです。でも今は、自宅勤務者が生産性の高い労働者で、企業にとってよい従業員であることを証明するたくさんの証拠があります」と語っています。
リモートワークが生産性の向上に与える影響はほとんどないと思われていた
研究者たちは、多種にわたる組織の従業員323人とその上司143人からのフィールドデータを分析しました。
当初、リモートワークが生産性の向上に与える影響はほとんどないと思われていたので、生産性の向上を示すどんな小さなデータも、大きな意味をもって受け止められました。
リモートワーカーが期待値以上の働きをする理由
リモートワーカーが期待値以上の働きをする理由は、彼らが、社内で有能な人材だと認められたいからです。
自分たちのフレキシブルなリモートワークを正当化させるためにも、普通以上の努力をすることを義務だと感じています。
「彼らは、リモートワークという特別な待遇が、簡単にキャンセルされてしまう可能性があるのをよく承知しているので、必要とされる以上にパフォーマンスを向上させようとします。彼らは会社に期待以上に見返りを与える労働者なのです。もしあなたが自宅から仕事をしていたら、オフィスの同僚から怠けているとは思われたくないでしょう。リモートワーカーのあなたは、彼らから必要とされる存在でありたいと思うはずです。」
この研究では、上司とうまくいっていない従業員に、リモートワークをさせると、人間関係が向上すると述べています。
これもおそらく、リモートワークを許可された従業員が、上司に負うところがあると感じるからでしょう。
「上司といい関係を持てていない人にとって、リモートワークは、多くを意味します。そんな従業員は会社への恩返しをしようと精一杯働き、リモートワークがキャンセルされないように努力するでしょう。」
リモートワークは特別に選ばれた人だけへの特典
もうひとつ、リモートワークからポジティブな効果を生み出すための鍵として、この研究では、リモートワークの特権を、すべての雇用者には与えないことを勧めています。
誰もが同じ利益を得ると、それは特別なものではなくなり、その効用への従業員の熱情が薄れてしまいます。
これが「特別に選ばれた人だけへの特典」である場合には、彼らは「これは大したことだ」と感じます。
こうして、リモートワークに伴う自由や自治がより価値あるものとなって、従業員のモチベーションを上げ、生産性を向上させるのです。
Forbesによれば、時折でもリモートワークを許可している雇用者は、従業員のモチベーションの高揚を経験しているといいます。
最近では、企業も有能な人材を採用するために、快適な施設を提供したり、無料カフェを設置したりと、創意工夫しなければならなくなりました。
しかし「リモートワークのオプションを与えることで、昇給なしでトップタレントを雇うことができた」と語る雇用者もいます。
リモートワークの利点を感じているのは、もちろん企業側だけではありません。
マイクロソフトが従業員に行った調査では、リモートワークを愛する理由の上位に、自由と快適さ、そして家族と過ごせる時間の増加が挙がったそうです。
オフィスの外でストレスが無くなった分、生産性が上がったという人、通勤時に交通渋滞に巻き込まれることが無くなって、ガソリン代もセーブできていると感想をもらす人もいます。
従業員のパフォーマンスを上げたければ、まずは、週に1日からでもリモートワークをさせてみてはいかがでしょうか。
参考
http://www.businessnewsdaily.com/7169-work-from-home.html