リモートワークのチームに優秀な人材を採用する方法

米国を拠点に、起業をサポートするソフトウェアなどを開発しているHelp Scout社は現在、世界の28都市に従業員をもつフルリモートワーク企業です。
しかし、同社の共同創設者ニック・フランシス氏によると、当初はフルリモートワークにしようというはっきりした考えはなかったそうです。
初期に採用したスタッフが「リモートワークでなければ」という条件を出してきたことから、必然的に現在の形が生まれました。
以来同社は意識的に時間とお金をかけて、従業員がよりよい仕事をできるリモートワークの環境を作り上げてきましたが、リモートワークカルチャーを創り出すことだけでなく、雇用過程を変えることがとても大事だったと、フランシス氏は語っています。
優秀な人材を獲得することは、会社を強めることです。これはリモートワークの企業ではなおさらです。
しかし、才能は向こうからやってきてはくれません。ワールドクラスのチームを築くためには、採用側の努力が要るのです。
優秀な人材を惹きつけるには、通常企業とは異なった戦略が必要になってきます。

ハードレッスン

最初の3年間、フランシス氏は雇った人のほぼ4割を解雇しなければなりませんでした。
それは、雇う側の彼の責任でした。リモートチームへ人を雇ったことがなかったために、どんな人材がリモートワークに向くのか、採用過程で見極められなかったからです。

リモートワークのペルソナ

サンフランシスコのスタートアップに雇用されることを目指す人と、リモートワークで働こうとする人のモチベーションには大きな違いがあります。
従って採用プロセスも大きく違って当然です。独自の雇用のペルソナを作ることは、リモートワーク企業の助けとなります。

以下は、フランシス氏が同社の価値観に基づいて、優秀な人材を採用するために雇用のペルソナを開発しつつ、発見した事柄です。

仕事への喜び

リモートワーカーは、特典やストックオプションではなく、自分が最高の仕事をした時に、最も満たされた気持ちになります。
優秀なリモートワーカーは、自分の仕事に特別な情熱を持っており、彼らがリモートワークで働きたい大きな理由のひとつは、仕事に集中できることです。

優れたワーク・ライフ・バランス

リモートワーカーは、自己規律を持ち、優れた仕事習慣を確立する必要があります。
いつ働いて、いつ家族と過ごし、いつ趣味に時間を費やすのかをコントロールできなければなりません。
Help Scout社では毎週「あなたの最高の40時間を」と提唱しているだけ。
自己管理能力がない人は、リモートワークにフィットしないでしょう。

しっかりした意見

意見は、特定の分野での長い経験を通じて洗練されるものです。
リモートワーカーが日常的に、会社に代わって重要な決定を下すためには、経験に頼る必要があります。
リモートワークでは、決定に必要な承認が少ないからです。
あなたが雇う人が良い決定をすることを、信頼できなければなりません。

雇用担当者は、十分な数の面接をこなせば、10分間のビデオコールでもこれらの気質を見抜くことができるようになります。
その際大事なのは、履歴書に書かれている素晴らしい事柄を無視して、候補者があなたの創ったペルソナにフィットするかどうかを見極めることです。

潜在的な才能ではなく、開花した才能を雇う

オフィス文化では、潜在的な才能を雇うという贅沢ができます。優秀な新卒者を雇って、直に仕事を教え込むこともできます。

しかし、リモートワーカーは、毎日4-6時間の集中した作業時間を持たなければなりません。
独りで問題を解決し、周囲の手助けなしに生産性も上げなければなりません。
これらを行うためには、スキルと経験に代わるものはないのです。フランシス氏は、すでに実績のあるリモートワーカーを雇うことを勧めています。

メンバー全員が優れたプレイヤーであるチームの利点は明快です。
それぞれが挑戦し合い、魅了し合って、少数で生産性を上げられることです。

もうひとつ明らかなことですが、優秀な人材を雇うのは高くつきます。
彼らはその才能に見合った賃金を受け取るべきだからです。オフィススペースを無くして浮いたお金は、あなたが雇った従業員に直接還元されるべきです。

プロジェクトの必然性

Help Scout社では採用過程に、4-6時間のプロジェクトを導入しています。
プロジェクトの利点は、チームの誰もが、候補者の名前や背景を知ることなしに、その仕上がりを評価できることです。
また、候補者が批評をどう受け止めるかを見ることもできます。同社では多くの場合、批判的なフィードバックを与えて、候補者の反応を見ることで、実際にその人と働くとどうなるかを判断しています。

オフィスワークでは、優秀な才能をいち早く採用しようとする企業間の競争があるため、プロジェクトをやらせるような、時間の余裕はありません。

リモートワーク企業では採用過程がより長く、通常は2-4週間でしょう。
その期間を使って候補者とよりよい関係を築いたり、適任者であるかどうかをよく判断することができます。

また、ここでいうプロジェクトは、ビジネスとは無関係のものです。
エンジニアリングのプロジェクトは仮想シナリオで、幾通りにも解決策が立てられ、候補者の創造性を見られるものがいいでしょう。

ワーク・ライフ・バランス

会社がワーク・ライフ・バランスに力を注げば注ぐほど、よいタレントを魅了し易くなります。
Help Scout社では、休暇なしに働き続けると、会社から注意が入ります。
バランスがリモートワークの継続には欠かせないからです。

オフィスワークでは、ワーク・ライフ・バランスを確約することは不可能ですので、この利点を強調して、優秀な人材にアピールするといいでしょう。

モーメンタム

Help Scout社の採用プロセスは既に信頼のおけるものとなっており、毎回よりよくなっていっているそうです。
同社では半年に1回、全従業員が集まって交流を深めています。

新しい企業には、まず理想のチームメートについて書き出し(その都度更新)、それに見合った採用過程をデザインすることを、フランシス氏は勧めています。
そして何よりも大切なのは、理想の人材がおのずと魅了されるような会社づくりをしていくことです。
ひとたび、基準に見合った人々を採用するリズムに乗れたら、あとはより早く、自信をもって決定を下すことができるようになると、フランシス氏は語っています。

参考
http://www.entrepreneur.com/article/254838
http://www.helpscout.net/

image Cregit: Alejandro Escamilla via unsplash

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