ここに「世界で一番賢い人はリモートワークをする」というタイトルのビデオがあります。
この中で紹介されているのは、4年間ニューヨークタイムズでベストセラーを続けた「The 4-Hour Workweek(週4時間労働)」の著者で、起業家兼投資家のティム・フェリス氏と、WordPressのAutomattic社の創設者兼最高経営責任者のマット・マレンウェグ氏です。
マレンウェグ氏の会社は、2005年にサンフランシスコを拠点に約20名でスタートしましたが、現在では世界47か国に400人近い従業員をもち、その95%がサンフランシスコの外に住んでいるそうです。
2007年に発行されたフェリス氏の「The 4-Hour Workweek」は、起業して一日14時間働き続けたフェリス氏が、新しい「ライフスタイルの設計」を試みた経験に基づいており、この本に感銘を受けた多くの若者がデジタルノマドになるきっかけとなりました。
フェリス氏はその後も数冊の自己啓発本を著作し、Facebook、 Twitter、 StumbleUpon、Evernote、Uberなどのエンジェル投資家、アドバイザーとしても活動しています。
もう1本のビデオでフェリス氏は、彼の信じる起業成功のための10のルールを説明しています。その内容は以下の通りです。
Contents
起業成功のための10のルール
1. 起業家は、ビジネス以外のことにも時間を費やすべきだ。
起業して全ての時間をビジネスだけに集中していると、気が詰まってしまいます。
成功している起業家は、岩登りや、その他様々な活動をしています。その中のひとつがうまくいけば、ビジネスにも好影響になります。
2. 自分が十分理解しているものにだけ投資する。
彼の経験では、それ以外のものに手を出した時は必ずお金を失ったそうです。
3. 製品を宣伝するのに最適なタイミングを計る。
よい起業家はみな語り上手です。自分の体験に結び付けたり、トレンドと結び付けたり。
フェリス氏がものの語り方を学ぶために読む本は、 Al Ries & Jack Troutの「Immutable Laws of marketing」、Kevin Kellyの「1000 True Fans」、Rick Frishman の「Bestselling Book Publicity 」等だそうです。 メッセージが準備できたら、メディアに製品を宣伝してもらう。
準備不足で宣伝しても、お金を失うだけです。
4. 自分の強みを知る。
自分(チーム)ができることだけではなく、到達すべきことをも含めて考えます。
スポンサーがついている時にはなおさらです。
5. 売る能力があること。
そのためには、ビジネス以外の本(書くこと、コミュニケーション等)も読むことです。彼が読んでいるのはWilliam Zinsserの「On Writing Well」、Anne Lamottの「Bird by Bird」、David Ogilvyの「Ogilvy on Advertising」。
成功者はみなコミュニケーションの大家です。この能力を高めるには、練習しかありません。
それも話すだけではなく、記録が後に残って復習できる「書くこと」が大切です。
ちなみにフェリス氏は、買った物とそれを買うことを決めた理由をすべて記録しているそうです。
広告がよかったのか、電話の勧誘だったのか。すべての広告は既に作られているので、新しい宣伝方法を発明する必要はありません。
自分が買った理由を復習するだけで、どのように他人に物を売ればいいのかがわかります。
6. アイデアには価値がない。
どんな起業家も毎日新しいアイデアを出し続けることはできません。
自分の情熱のあることで起業するか、好き嫌いにかかわらず、ビジネスの好機会に乗って起業するかでいいのです。
自分のクレジットカードをよく観察して、年齢、居住地、何にお金を使っているかをみれば、どんな製品が売れるかわかるはずです。
7. 起業家は、全てのことを正しくやろうと思いがちですが、1つか2つのことを選んで、それらを効果的にやることです。
よい起業家はそれ以外のことはアウトソーシングしたり、他人にやらせています。
8. 現実的に、悲観的でいること。
事業を始める前に、潜在的なお金や時間のロス等についても考えておきます。
それをしないと、最初の壁であきらめることになります。起業の際には、最善を願いつつ、最悪に備えておくことです。
9. メトリック(測定法)をもつこと。
特に小規模のビジネスでは、週ベースのメトリックにチーム全員が集中すべきです。
10. 失敗を糧にする。
失敗をどうするかで、道は分かれます。
35か国語に訳され、135万部売れた「The 4-Hour Workweek」も、発行されるまでには25社以上の出版社から断られたそうです。
フェリス氏は、現在リモートワーカーは企業で2年働いた後、また別の企業に2年というように、2年コースのビジネススクールに通うかのように経験を積んでいると言います。「CEOの仕事は、有能な人材をいかに自社に留められるかでしょう。」
優れた仕事とコラボレーションはオンラインでできるはずだといつも信じてきたというマレンウェグ氏は、笑顔で語ります。
「時には直接会うことも必要なので、従業員には年に4週間ほど出社してもらい、あとの48週間は機密な連絡を取る限り、世界のどこにいてもかまわないことにしています。どこの企業でもフレキシブル勤務を導入しています。それが有能な人材を魅了するからです。有能な人は、どうして会社に通勤しなければならないかと考えます。将来彼らは私の会社を受け継ぐかもしれないし、自身の会社を持つかもしれません。世界で一番有能な人材はこのように働くものなのです。」