リモートワークの「働きすぎ」にはバランスのとれたゴール設定が有効である

リモートワークを実践する際に生じる問題として、「働きすぎ」があります。

リモートワークは、好きな時間に一人で働くことが多いために生じる問題です。

今回の記事では、リモートワークでの「働きすぎ」の問題をコーチングではどのように考えるかについて書いてみたいと思います。

ウェーバーによる資本主義精神の分析

宗教社会学の泰斗マックス・ウェーバーは、主著「プロテンタスティズムの倫理と資本主義の精神」で、ベンジャミン・フランクリンの以下の言葉を引用しました。

「時間は貨幣であることを忘れてはならない。一日で10シリング稼げるのに、遊んだり怠けたりして半日過ごすような人は、実際には6ペンスしか娯楽に使っていないとしても、最低5シリングはドブに捨てているに等しいのだ」

ウェーバーは、この言葉を引き合いに出しながら、資本主義は勤労が美徳であるという信念によって支えられていると考えました。

資本主義社会の中で働く私たちは、いつの間にかこの信念に浸ってしまい、つい働きすぎてしまうものなのかもしれません。

勤務時間が固定されていないリモートワークであれば、なおさらそうでしょう。

コーチングはゴール設定からはじまる

コーチングには「ゴール」という概念があります。

「ゴール」はもっとも重要な概念であり、「ゴール」を設定しなければコーチングははじまりません。

「ゴール」とはその人が心から達成したい目標のことでした。

そして、その重要性については、これまでの記事でも何度かお伝えしてきました。

コーチングで正しいゴールを設定すれば、リモートワークはうまくいく

ゴールの共有こそがリモートワークのチームマネジメントには必要である

バランスホイールとは何か

実はこのゴール設定にはさらに先に進んだ考え方があります。

「バランスホイール」です。

バランスホイールとは、複数のゴールをバランス良く持つことを推奨する考え方です。

私はかつて、医者、弁護士、不動産投資家といった、社会的地位が高い職業に就いている親に要請され、子供の教育指導にいくことが多々ありました。

職業という面では成功者とみなされる彼らですが、家庭内を覗いてみると幸せそうには見えませんでした。

夫婦や親子の関係、プライベートと仕事のバランス、健康状態など、人生には色々な側面があるはずですが、彼らはそれらを軽んじているように見えました。

結果、働くことのウェイトがあまりにも大きくなっていたのです。

コーチングではこのような事態をまったく評価しません。

本当の幸福とは、人生のゴールをバランス良く達成することでしか得られないと考えているからです。

バランスホイールの中身とは

「バランスホイール」では、以下のゴールをそれぞれ設定することが望まれます。

  • 「人間関係」のゴール
  • 「家族」のゴール
  • 「仕事とキャリア」のゴール
  • 「心身の若さと健康」のゴール
  • 「ファイナンス活動」のゴール
  • 「教育と生涯学習」のゴール
  • 「趣味」のゴール
  • 「地域での役割とボランティア」のゴール
  • 「老後」のゴール
  • 「信仰」のゴール

これらのすべてに心から達成したい状態を設定し、同時に満たされていくことで幸福な人生を送ることができます。

リモートワークこそゴールのバランスがとりやすい

リモートワークこそ、「バランスホイール」を意識した生活設計に向いている働き方であると言えます。

特定の場所や時間帯にとらわれないリモートワークの特徴が、仕事以外のゴール達成に貢献するからです。

たとえば、旅行が趣味の人が企業に勤めていては、年のうち数回しか趣味の時間をとることができません。

しかし、リモートワークであれば旅をしながら仕事をすることが可能です。

このように、リモートワークは「バランスホイール」と相性のいい働き方であると言えます。

リモートワークの「働きすぎ」問題はこう解決する

リモートワークの「働きすぎ」の問題は「バランスホイール」を意識したゴール設定をすることで解決できます。

どうしても「仕事、キャリアのゴール」に傾きがちなところを、意識的に他のゴールを設定し、仕事と同じくらい他のゴールも大切にすればよいでしょう。

そのような「バランスホイール」が満たされる生き方は、自由度の高いリモートワークのほうがかえって容易に達成できるのです。

Image credit: Jon Ottosson via unsplash

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