スペインで働くために知っておきたい5つのこと

スペインと聞くと、どんな言葉を思い浮かべますか?
フラメンコや闘牛といった「情熱の国」のイメージでしょうか?
暮らす、そして働くのであれば知っておきたい、「情熱の国」という一言では表現できない、奥深いスペインの本当の姿を紹介します。

スペインは1つの国ではない?!

スペインで「あなたは何人ですか?」と聞くと、場所によっては「スペイン人です。」という答えが返ってこないことがあります。
日本と比べ、地方自治権の強いスペインは、地方によって雰囲気はもちろん、時には使う言語まで違います。
特に独立志向の強い、カタルーニャ地方やバスク地方などでは、スペイン人である前に、それぞれ「カタルーニャ人」、「バスク人」であると考えている人々も多いぐらいです。

例えば、教育に関して言えば、教科ごとの時間数など、それぞれの自治州の裁量で決まる部分も多く、引越し先で、国が変わったような印象を受けたという声も時々聞きます。

また、言語では、カタルーニャ地方で公務員になるためには、たとえ音楽の先生でもカタルーニャ語の公的資格が必要となります。

スペインで仕事をする場合は、お金にシビアなカタルーニャ人、働き者のバスク人、アバウトという表現が一番似合うアンダルシア人など、地方によって仕事へのスタンスも違うので、その土地の雰囲気を早く察知することが大切です。

スペインは、1つの国というよりも、個性的な17の自治州の集合体といったとらえかたが正解かもしれません。
それぞれの地方の人々が地元を誇りに、そして大切に思うからこそ、文化が守られ、その多様性がスペインの魅力ともなっています。

暮らしは快適なスペイン

気候は諸島部も含め、どこへ行っても快適で過ごしやすく、人々は感じがよく、日本と同じような生鮮食材がスーパーに並ぶスペイン。
暮らすには絶好の国といえます。

英語に関して言えば、都市部や観光地を除きあまり通じないと考えた方がいいでしょう。
感覚的には英語の浸透具合は日本と同じ位ではないでしょうか。

スペインと真剣に付き合いたい、というのであれば、ある程度のスペイン語は身に付ける必要があります。

インターネット状況は悪くはありません。
街中に無料のWi-fiスポットがよくあります。
しかし、予告なしの停電などが突然起こることがあるので、オンラインで働くのであれば、注意が必要です。

また治安ですが、都市部を中心に盗難は多いものの、殺人などの凶悪犯罪は大変少ないため、良好といえるでしょう。

最低賃金は全国一律655ユーロ(76,727円)。
スペイン統計局の2013年のデータでは年収の平均は女性は14,501ユーロ(約1,699,000円)、男性は17,498ユーロ(約2,047,000円)です。

現在のマドリッドの物価を参考までにあげておきます。
カタルーニャ、バスク以外の地方都市はこれより安い場合がほとんどです。

マドリッドの価格例

賃貸料:1m211.2€
市バス:1乗車1.50€
牛乳:約1.15ユーロ€(1L)
缶ビール:0.55~0.80€(330ml)
コーヒー(エスプレッソ):1.37ユーロ

特殊なスペインの勤労事情

スペインは他の欧州諸国と比べ、残念ながら柔軟な働き方はあまり普及していません。
昔から仕事をするなら、フルタイム勤務、または自営業という二者択一的な雰囲気があります。
それゆえパートタイムや単発・短期のアルバイトの求人は大変少ない状況です。

例えば、子供を持つ女性就労者のうちパートタイム勤務者の割合は、オランダでは79%、ドイツ・フランスなどの他の欧州諸国も6割以上であるのに対し、スペインは30%となっています。

また、雇用形態が6種類もあるため、EUよりもっとシンプルにするよう指導をうけています。

リモートワーク率に関しては、2013年のデータでは、イギリスの24.1%、フランスの19.5%に対しスペインは7.5%です。

全国紙に「リモートワークは、ソファーでパジャマを着てする仕事ではない」という見出しが出るように、まだまだリモートワークの認知は低いです。
実際私も、自分のリモートワークをスペイン人に話すと、不思議な表情をされることが多いです。

しかし、このリモートワークは、2006年の約5%から、わずかながら毎年上昇しているので、これから伸びしろがある働き方といえるでしょう。

柔軟な働き方に関してスペインが寛大なのは、兼業についてです。
公務員でも許可をとっていれば兼業が可能です。

話題のスタートアップビザ、その魅力と難関

他の欧州諸国と比べて物価も安く、暮らしやすいスペインで起業できると、日本でも話題のスペインのスタートアップビザ。
この制度の魅力は合法的にスペインで暮らすことができる滞在許可が、スタートアップビザがとれると、自動的に付帯することです。

スペイン側がこのスタートアップビザを設定した2つの目的をご存知ですか?
外国資本の流入とスペイン人に対する雇用機会の拡大です。

また、前述のスペインの特殊な雇用形態にEUから指導が入ったため、開かれたスペイン市場をアピールするためにも、この制度が作られたといわれています。

つまり、この2つの最低1つが明確でないと、ビザがおりる可能性は大変低くなります。
例えば日本料理店をやりたいという場合、労働者は日本人でまかなうという場合は、ビザはまずおりないでしょう。

しかし、同じ日本料理店であっていも、将来的にフランチャイズ形式でスペイン人を店長とし、スタッフもスペイン人から雇用するとあれば、ビザがおりる可能性があがります。

スペインで労働許可を得るための4つの方法

1. 現地雇用主を見つける

不可能ではありませんが、なかなか根気がいります。
まず、スペイン雇用主は外国人であれば労働許可をもつ人を採用したがります。
しかし、労働許可は雇用主が決まっていないと申請できません。
つまり、にわとりが先か卵が先かという、堂々巡りになりがちです。

2. 日系企業をみつける

数は少ないですが、日系企業であれば、その後の就労許可の申請もスムーズに行きます。
日本にいながらでも主にインターネットなどで探すことも可能です。

3. 自営業

労働許可を持っていれば、自営業の申請も比較的簡単ですが、労働許可を持っていない場合は前述のスタートアップビザの申請となります。
なお自営業に関しては、最低月々264ユーロ(2016年6月現在約30,925円)の社会保障費等の支払いが必要です。

4. スペイン人と結婚

もしご縁があるのであれば、実はこれが一番簡単です。

スペインで暮らすとき、働くときに、座右の銘にしたい言葉

スペインはとてもアバウトな国です。
日本の感覚でいるとイライラしてしまうことも多いかもしれません。
そんなスペインでカルチャーショックをうけたときに、密かにつぶやきたい言葉を最後に紹介します。

  • 絶対あきらめない
  • 捨てる神れば、拾う神あり
  • くどすぎるくらい確認
  • 押してだめなら引いてみよう
  • 信じるものは救われる
  • 持つべきものは友
参考
http://economia.elpais.com/economia/2015/07/12/actualidad/1436725432_048159.html
http://economia.elpais.com/economia/2016/03/07/actualidad/1457361565_392141.html
http://www.elmundo.es/economia/2015/03/15/5503200a268e3e301a8b456e.html
http://www.lavanguardia.com/20151118/30217300427/cual-es-el-salario-medio-en-cada-provincia-de-espana.html
http://ccaa.elpais.com/ccaa/2016/01/28/madrid/1454004662_566009.html
http://www.abc.es/20110408/sociedad/abci-precio-cafe-cerveza-201104081048.html
http://www.investinspain.org/invest/es/invertir-en-espana/programa-de-residencia-ley-de-emprendedores/index.html
http://extranjeros.empleo.gob.es/es/InformacionInteres/InformacionProcedimientos/Ciudadanosnocomunitarios/index.html
http://extranjeros.empleo.gob.es/es/InformacionInteres/InformacionProcedimientos/Ciudadanosnocomunitarios/residirtrabajar.html

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